2013年2月15日金曜日

【CIインターンレポート】パヴァン・スクデフ氏講演「グリーンエコノミーを実現するために」に参加して

インターン生の藤田です。

昨年の12月に東京ビックサイトで行われたエコプロダクツ展でのシンポジウムに参加してきました。
今回のシンポジウムにはあのTEEB
The Economics of Ecosystems and Biodiversity)のパバン・ステグフ氏が来日され講演されました。


パバン・ステグフ氏は、TEEBの全体のリーダーをされています。また今一番力をいれていることは「Corporation 2020」(コーポレーション トゥエンティトゥエンティ)で、2020年に企業がどのようになっていくのか、その考え方をまとめ、そういった企業を世界中から探して応援する」といったものです。

今回の講演はJBIB(企業と生物多様性イニシアティブ)シンポジウムであり、「今日の企業が明日の経済を実現できるのか」という題目で講演されました。

JBIBについて詳しくは→http://www.jbib.org/

そういうわけで、聴講されている方も殆どが企業の方でした。パバン氏は「日本の企業がどのようにして企業がグリーンエコノミーを実現していくのか」について話されました。

まず、パバン氏はグリーンエコノミーを実現するためには4つの重要な基準があるといいます。
その4つとは、

①    人類の福祉を拡大・向上させること
    生態系の中の不足するもの(水の枯渇や土壌における養分など)の減少をくいとめること
    環境リスクを引き下げること
    社会的公正(貧富の格差を小さくすること

これらの項目が挙げられます。

パバン氏曰く、TEEBが公開されてから近年の気候変動や生物多様性の関心の高まりは広い意味ではグリーンエコノミーに世界が向かっていると言えます。世界のGDP2%をグリーン・エコノミーのために投資すること(エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの普及、公共交通機関におけるGHG排出の少ないものにする設備投資、生態系インフラの回復など)によって、グリーン・エコノミーを実現できるという試算があるそうです。しかし、経済の大部分はグリーン・エコノミーに向かっているとは到底言えない状況であるとパバン氏は語りました。

なぜ、世界の潮流がグリーン・エコノミーに向かっているにも関わらず実際経済はその流れにないのか、その理由は経済の大部分は民間企業(private sector)が担っており、その民間企業がグリーン・エコノミーに向かっていないのが原因であるということです。
アメリカではGDP75%が民間企業の創出であり世界のGDPをみてもその60%が民間企業の創出だそうです。

つまり、パバン氏が最も重要視するのは「グリーン・エコノミーに向かう民間企業を作ること!」というわけです。そこでパバン氏は前述の「Corporation 2020」を構想されました。

この「Corporation 2020」では、ここでも4つの重要な問題点の指摘がなされました。

まず1つめのポイントとは「BIG is Beautiful」。大きいことはいいことだ、という考え方です。 どの世界でも「大きい会社」というのは、同時に「成功の証」であるともいえます。企業が大きくなればなるほど、国際化し、多国籍企業になっていきます。
そしてそういった大企業、つまりGDP0.1%を担うような非常に大きな企業は1973年にはおよそ20社程度でしたが2012年には120社を超えているそうです。
そういった企業は貿易取引などを通じて環境負荷も大きくなっていきます。つまり輸送によって汚染や公害が拡大します。

 そして2つめのポイントとは「積極的なロビー活動を行うこと」これは言うまでもなく企業にとって有利な立場を作るために必要なことですが、こういった行動は時として資本市場を独占してしまうことにつながります。

 3つめのポイントとは、「倫理観のない広告をだすこと」です。私は当初この意味がよくわからなかったのですが、これは非常に重要なポイントであるといえます。パバン氏は「企業は人間の不安を煽る広告をだし、人々はその不安感を埋めるために商品を欲する、つまり人々の不安な気持ちをニーズに、需要にかえてしまう」とおっしゃいました。たしかに、不用意に欲しいという気持ちを煽ることは大量消費社会につながりかねません。

そして最後のポイントとは「無制限なレバレッジをかけること」です。これは企業はある程度の規模があればいくらでも銀行からお金を借りることができるので資本市場をあっさりと牛耳ることができます。そして借りる側はその資金で得た利益のみを享受し、リスクは銀行のみ負担してしまいその企業がなければ市場が立ち行かないという状況にまで追い詰められます。

 この4つのポイントは負の外部性を生み出します。こういった外部性を是正する必用があると語られました。この解決策としてマクロレベルで解決するためには大変な資金と社会そのもの変革が必用となってきますが、ミクロレベルでは解決策があると言います。

例えば、レバレッジを制限すること、広告に原産地の表示など消費者に商品を見える化することなどです。こういったことは全会一致で、2,020年までに行わねばならないとパバン氏は強く話されました。講演ではこの他に、グリーン経済へ向かっている企業、CIとパートナーシップを組んでいるウォールマート社などの対談についても言及し、企業のグリーン経済化の必要性を語られました。


~感想~

パバン・ステグフ氏が来日されるということで、そそくさと講演会にいかせていただいたのですが、グリーン・エコノミーという大きな課題についてパバン氏ならではのご講演だったのだと思います。
グリーン・エコノミーというからには、経済の話であるのは当たり前なのですが環境の保全と経済の発展がトレード・オフであるという常識からもパバン氏のご講演は核心をついたある意味画期的なご講演であったと思います。

初夏にはCorporation 2020の邦訳が出版されるそうなので、ぜひ読んでしっかり勉強したいと思います。