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持続可能な自然との関わりがもたらす雇用の機会

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By. Kiley Price 1. ペルー:森林再生のために動き始めた先住民女性コミュニティ お茶は、水の次に世界で 最も消費されている飲み物 です。コンサベーション・インターナショナル・ペループログラムの Cecilia は、中国から南米にかけて 世界の茶市場は毎年何十億ドルもの利益を生み出していて 、女性が茶市場を裏方で支えていると言います。「お茶を生産するために、多くの国で女性たちが最も骨の折れる丘陵の斜面での茶葉の収穫作業を、1日に何時間も手作業で行っています。それにも関わらず、お茶の生産に携わる多くの人々が、自分たちで管理できる土地や資源を所有していないため、森林破壊や土壌侵食の影響を受けやすいのです。」 © CI Peru/ Marlon del Águila  ペルーのアルトマヨ森林地域において、CIは先住民族であるアワユン族の女性たちと共にこの問題の解決に取り組んでいます。2015年にはアワユン族の人々が所有している森林の一部が、病気の治療や文化的な目的のために先祖代々大切にしてきた薬草を守り、再生したいという強い思いを持った70名以上の女性コミュニティに明け渡されました。その後、アワユン族の女性たちは、0.09平方キロメートルの「ヌワ森林」と呼ばれる地域で、100種類の薬草と39種類のキャッサバを回復させることに成功しました。 過去3年間で、アワユン族の女性たちは2つの薬草をハーブティーにし販売を通じた支援により森林と文化を守ってきました。 非営利団体 タキワシセンター とのパートナーシップと アンサンブル基金 からの支援では、CIは女性たちと協働し、ペルーのお茶専門市場にハーブティーが参入できるよう技術的な支援を行いました。2020年の12月には、アワユン族の女性たちのオリジナルブランドで、アマゾンの生姜、バニラ、ゴールデンベリーなどの植物を使用した 「ヌワ・インフュージョン」 が ペルー国内 で流通するようになりました。 「アワユンの女性たちは自らのビジネスを築き、管理し、ファイナンスのスキルを構築しています」と、このプログラムの管理を支援している Cecilia は話します。「このプロセスは、伝統的な知識を収入源に変え、大切な森林を守り、家族を支える素晴らしい女性たちのエンパワメントにつながりました。」 2.カンボジア:ギボンを守る ©

燃え広がる森林火災への希望

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こんにちは。CIジャパンでインターンをさせていただいている本木です。今回は森林火災と、カンボジアのトンレサップ湖で実施した「浸水林における火災防止を組み合わせた森林再生プロジェクト」についてご紹介します。 ※このプロジェクトは「トヨタ環境活動助成プログラム」にご支援いただき、2019年1月~2020年12月にかけて実施しました。 ©Kristin Harrison and Jeremy Ginsberg 本来、森林火災が大規模化あるいは長期化することは稀であり、日本だけでなく海外でも大規模な森林火災は珍しいものとされていたのです。しかし近年、相次いで大規模な森林火災が発生し、ミュンヘン再保険(Munich Re)によると、森林火災による被害額はここ数年で急激に増えています。 特にアメリカ南西部とオーストラリア南東部が最も被害が深刻です。また、気候変動が森林火災の被害を大きくしており、アメリカ南西部のカリフォルニアでの1930年以降に記録された森林火災のうち深刻なもののほとんどは2000年以降に発生しました。   森林火災の消火が追いついていないと言うニュースを目にしますが、当然森林火災に対して人々が行なってきたこともあります。アメリカでの森林火災への対策は、森林火災発生時に燃えるものを減らすために意図的に一部地域を焼き払う野焼きをしていました。また、オーストラリアでは、あらかじめ森林を伐採して防火帯を作ることで森林火災の深刻化を防いできました。このように野焼きや森林伐採による防火帯は、可燃物を無くしてしまうと言う面で森林火災の拡大を防ぐために有効です。 しかし、気候変動の影響によって対策が不十分になってしまっています。例えばアメリカでは平均気温が上昇し乾燥状態が続いたため野焼きを行えず、森林火災の対策が行えないという負のサイクルが起きています。 このように、昔から森林火災の対策を行なってきているものの、気候変動により深刻化した火災を完全には防げなかったり、そもそも森林火災への対策が不十分である地域も多くあります。特に気候変動によって森林火災の被害が拡大しているため、今までの対策では不十分になってしまっているのです。このような地域に森林火災の対策を共有することは大きな意味があります。 森林火災への対策の中でも今回はカンボジアのトンレサップ湖の周辺の森に焦点を当てて

私たちが海のために出来ること

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© Conservation International/ photo John Martin 初めまして!1月からCIジャパンでインターンをさせていただいている本木と申します。普段は、大学で生態系保全について学んでいますが、実際の社会ではどのような取り組みをしているのか知見を深めるためにCIジャパンへ参加させて頂きました。 突然ですが、皆さんは「里山」と聞いて何をイメージするでしょうか。 畑、水田、森、川などなど…。緑が多いイメージを持っている方がほとんどだと思います。実は、そんな里山は「SATOYAMA」として世界共通の言葉となっています。自然と人が共存している環境のことを言います。人の生活や生産活動の場であると同時に、多様な生きものの生息・生育空間である海辺もここに含まれます。人間は自然を利用しながら、暮らしを支えるサービスを手に入れる一方で、自然も、人間の手が入った環境に適した生態系へと変化し、その生態系は人間の手が入ることで維持されてきました。地域によって利用されている自然環境は、山や川、草原、または海洋沿岸もあったりと様々ですが、世界中で人の生産活動と自然の生態系の関わりによって生まれた環境「SATOYAMA」が見られます。 皆さんもご存知の通り、日本の多くの地域では山や川と共存してきました。世界には海と共存してきた地域もあります。 そこで今回は、2017年から2020年の3年間に行われたSATO YAMA UMIプロジェクトの一つについてお話をさせて頂きます。日本環境教育フォーラム、バードライフ・インターナショナル東京との協働プロジェクトで、CIの担当したフィールドは海洋沿岸地域でした。SATO YAMA UMIプロジェクトとして、サモア、ニューカレドニアで活動をしました。今日は、一風変わったサモアのユニークな教育プログラムをご紹介します。 サモア諸島は南太平洋に位置し、サモア独立国とアメリカ領サモアに分かれています。CIはこのうちサモア独立国で活動を行いました。サモアの人々の多くは沿岸部付近で生活していて、古くから航海術に長け、海の恵みに依存していました。 CIが注力する「パシフィックオーシャンスケープ」という海洋資源保護の連帯を目的とした、海洋保全プログラムに参加している各国。サモアはその一つ。 しかし近年、急激な人口増加や近代化によって過剰な漁業

「小さなモノにまつわる大きなコト」

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  ©Rohit Tandon  on Unsplash みなさんこんにちは。CIジャパンでインターンをしている井原祥太です。 突然ですが、みなさんは何を使ってこの記事を見ていますか? パソコンでしょうか、それともスマートフォンでしょうか。では、視線を自分の体の方に向けてみてください。あなたは何を着ていますか? Tシャツでしょうか、はたまたパジャマでしょうか。 パソコンしかり、服しかり、私たちは多くのモノに頼って生活しています。それがなければ、世界の情報にアクセスすることは難しくなり、体温を維持することもままなりません。 あなたは身の周りのモノについてどれほどのことを知っているでしょうか。 あなたが今みているモノは誰が、どこで、どのような環境で、何から作られているのか、考えたことはありますか? 第2回は、そんなモノにまつわるストーリーを自然資本の視点から見ていこうと思います。 (自然資本シリーズ第1回は こちら ) まずはパソコンとスマートフォンに目を向けてみます。どちらも、仕事や生活の多くの場面において愛用されるモノですね。昨今の豊かさは、こうしたハイテク製品なしには考えられないという方も多いのではないでしょうか。 そんなIT製品に欠かせないのがリチウムイオン電池です。リチウムイオン電池の製造にはレアメタルが用いられます。レアなメタル、つまり希少な金属と言われるだけあって、世界に偏在しており、埋蔵量は限られています。 レアメタルの1つ、リチウムの多くはアンデス山脈沿いに埋蔵されており、チリが最大の産出国です。乾燥した地域で長い時間をかけて地下水として濃縮され、リチウムは生成されます。そのため、地下から塩水を汲み上げ、それを蒸発させることでリチウムを採取することができます。つまり、リチウム採掘には大量の地下水の汲み上げが伴うのです。 世界的なIT化に押され、リチウムの産出量は増加の一途を辿っています。チリの乾燥地帯における大量の地下水の汲み上げ・蒸発は、その土地の生態系に多大な影響を及ぼしています。例えば、水環境の急な変化のために絶滅危惧種のアンデスフラミンゴの生息数が減ってしまいました。大量の地下水の汲み上げは、飲み水や生活用水の不足という、負の影響を地域住民にもたらしました。さらに2010年からの歴史的大旱魃はそれに拍車をかけ、手洗い用の水さえも十分に確保できな

値札なき富の源泉、哀しいかな自然資本

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© Doug Wertman   みなさん初めまして! 今年1月からインターン生として、CIジャパンの保全活動に参加している大学3年生の井原祥太と申します。私は今後、「自然資本」に関する記事をシリーズで執筆します。第1回目は、自然資本とは何か、それを巡る問題、そしてなぜ自然資本を守ることが私たち人間にとって切実であるのか、についてお伝えします。   @ Shota Ihara  自然資本とは、人間の社会活動を根底から支えるために自然から生み出される資源のことです。では、自然「資本」と「資源」は何が違うのでしょうか。「資源」とは人間の暮らしにもたらされる物資を指し、「資本」とは資源の中でも生産活動の元手を意味する経済的概念です。空気、水、森林、土壌、植物、動物、微生物、鉱物、化石燃料、これらは全て自然資源ですが、例えば森林を、テーブルを製作する際の「木材」として捉えると、それは自然資本とも言い表されます。  自然資本は、生態系からもたらされる人々への便益である生態系サービスと、生態学的プロセスに依存せず地質学的プロセスから起こる人々への便益である非生物的サービスをビジネスに提供しています。例えば森林は、生態的サービスとして企業に木材を供給します。他にも、繊維、花粉媒介、水調整、気候調整、レクリエーションなどがあります。一方、動植物の死骸が地中で変質してできた化石燃料は、非生物的サービスとして社会のエネルギー生産に貢献します。他にも鉱物、地熱、風、潮流などがあります。このように人間社会が生産活動を行うとき、それらは自然資本によって作られているのです。  しかし、短期的な利潤を追求する経済活動は、自然資本をなおざりにしてきました。なぜなら、金銭的価値のついていない自然資本を守ったところでビジネスにはならないと思われてきたからです。 © Shota Ihara  自然からもたらされるものには価格がつかない、では価値もないのでしょうか。ここでいう「価格」とは売買する物についている金額を指し、「価値」は物の重要性や大切さを表します。森林は、水源を豊かにし、土砂崩れを抑え、清浄な空気を私たちに与えてくれます。世界自然遺産に登録されている屋久島の縄文杉は、それに加えて、地域住民の精神的な拠り所として彼らの心を支えてきました。現在は多くの観光客が、縄文杉を始めとする風光明媚な自然を求