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6月22日はWorld Rainforest Day!(熱帯雨林の日)

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By コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 浦口 あや
梅雨の真ん中で夏至と一日違い。年に一回、熱帯雨林に思いを馳せるには最適な日です。

熱帯雨林と言えば?年間を通じて温暖で雨量の多い地域に形成される森は、多様性豊かな生き物の宝庫です。色とりどりのユニークで魅力的な生き物を紹介するテレビ番組は、観ていて飽きませんよね。熱帯雨林の魅力は、それだけではありません。気候変動問題の解決に重要なカギとなる、大量の二酸化炭素(CO2)の貯蔵庫でもあるのです。

その熱帯雨林は急速に減少しています。2018年の1年間に1,200万ヘクタールが失われました。これは日本の本州の約半分の面積に相当し、365日昼も夜も休まず、2秒ごとにサッカー場1個分の森が消えている計算になります。

熱帯雨林の破壊は、そこに暮らす生き物たちを絶滅に追いやるだけでなく、結果的に野生動物と人間の接触の機会を増やし、森にとどまっていた病原菌が人間社会に出てくる原因となっています。
また、前述の通り、熱帯雨林は大量のCO2を蓄えているので、伐採されると大量のCO2が大気中に放出されます。仮に熱帯国の森林減少量を「国」に例えると、その温室効果ガス排出量は中国、米国に続いて世界第3位にランクインし、その後に欧州連合、インド、ロシア、そして日本が続きます。かなりのインパクトです。
では、なぜ減少しているのでしょうか?世界で起こっている森林減少の8割は、農地の拡大が原因です。森林減少要因としてよく知られる、牛肉や大豆、パーム油、林産物といった農産物だけではなく、コーヒー、カカオ、ゴム、キャッサバといった、私たちの生活にも身近な熱帯原産植物の栽培にも広大な森が切り拓かれています。ちなみに、キャッサバはタピオカの材料です。

例えば、カンボジア。現在世界で最も森林減少率の高い国の一つです。ゴム、カシューナッツ、キャッサバ、サトウキビ、パーム油等の輸出用作物生産を目的とした森林減少が著しく、農村部に行くと、最近まで森林だった場所がカシューナッツ農園に転換されているのを多く目にします。実際、2018年から2019年にかけてカシューナッツの輸出量は倍増し、カンボジア政府はさらなる増産を目標に掲げています。多くの住民が貧困状態にあり、現金収入につながるスキルや機会を持たず、情報へのアクセスも限られている農村では、「カシューナッツが売…

伝統的知識なくして、気候の解決策はない

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本記事はCI本部ブログの “Without traditional knowledge, there is no climate change solution”を日本向けに和訳・編集したものです。
by ヒンドゥー・オウマロウ・イブラヒム
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世界は気候変動の現実に気付き始めています。

しかし私や世界の数百万人もの先住民にとっては、気候変動は目新しいものではありません。気候変動は私たちの人生なのです。

山や森に暮らしていたとしても、はたまた砂漠や氷で覆われている場所に暮らしているとしても、すべての先住民にとって、環境は、生活と生計に直接リンクしています。私たちは暮らす場所に生活を依存しているので、気候変動の影響で、私たちの場所と-そして未来もー危機に瀕しています。

先日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した地球温暖化の報告書は、地球の平均気温が1.5度以上上昇してしまったらどんなことが起こるのか、暗くなるような予測を書いていました。

問題なのは、現時点ではパリ協定の締結国は温暖化を2度未満に抑えることに合意していますが、その0.5度の違いが取り返しのつかない状況を産み出してしまう可能性があるということです。

このような未来に直面した今、過去を振り返るべき時だと私は思います。

先住民族が持つ伝統的知識は、世界の先住民コミュニティのためだけではなく、すべての人類が気候変動に適応し、緩和するためのカギです。伝統的知識と科学、テクノロジーを組み合わせて、イノベーションの基礎を自然におくことで、野心的で新たな炭素排出量の目標を達成することができる確率が非常に高くなるのです。

気候科学は、現代的なツールと、精細な予測とモデリングのシステムによって成り立っています。私のコミュニティでは、自然から情報を集め、そのデータを元に意思決定をします。木や、果物や、鳥の移動や、風の方向、星の位置を観察して、天気を予測することで、変化に適応します。また、参加型の3Dモデリングを利用した地図を作って、自然資源をより適切に管理することに役立てています。伝統的知識と科学はこうした形で組み合わさるのです。

コミュニティのリーダーに会う時も、国家首脳に会う時も、私はいつも同じ思いを抱きます。それは、私たちが持つこの伝統的知識が、気候変動や生態系破壊との戦いへ先住民族が貢献でき…

重要な熱帯地域を守れば、消滅の危機にある種の半数が救われる

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※本ブログは、CI本部ブログの“Study: Protecting tropics could savehalf of species on brink’” を日本向けに和訳編集したものです。Written by Kiley Price 2019年発表された国連の注目すべき報告書によると、人間活動と気候変動の影響で、100万もの種が絶滅の危機に瀕しているということが明らかになりました。

これまでになかった新たな研究の結果によると、消えゆく運命に陥っている種の半数が救えて、かつ気候崩壊の速度を緩めるためには、熱帯地域をたった30%を保全するだけで叶えうることが分かりました。
Ecography誌に発表されたこの研究は、種の絶滅リスクを下げるために最も重要な自然環境に関する包括的な地図を提供する初の研究で、ラテンアメリカ、アフリカ、東南アジアに存在する熱帯地域の莫大な価値を強調しています。

この研究の主筆で、コンサベーション・インターナショナルの気候変動シニアサイエンティストのリー・ハンナ博士に、研究の政治的・経済的な意味合いと、地球上の野生生物たちの未来にとってこれが何を意味するのか、話を聞きました。
Q:なぜ気候変動によって種が失われてしまうのでしょうか?
A: どんな種にも、独自の気候耐性と環境があります。例えば、ニューヨークではヤシの木を育てられません。生物の耐性は数十万年、または何百万年もかけてできたものなので、一夜にしてそれが変わることはほとんどありません。そのため、人間活動が気候変動を加速させると、種は新たな気候に適応するのではなく、自分に合った気候を求めて移動します。多くの種にとっては上方へと向かうことになります。しかしながら、最終的には行く場所がなくなってしまいます。私たちはこれを「絶滅のエスカレーター」と呼んでいます

Q:この研究とはどういった関係があるのでしょうか?
A:この新しい研究で、気候変動に反応した種が移動することが、私たちの保全能力にどのような影響を与えているのか、関連性を調べようと試みました。そのため私たちは、数十万の種が、様々な気候シナリオ下でどのような移動をするのかモデル化しました。それから、これらのモデルを数十万の種が生息している地域と組み合わせました。この組み合わせによって、現在生き物が生息している場所と、将来的に生き物が生息…

コロナウイルスが気候交渉を中断させてしまうなら、他のやり方を見つけなければならない

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※本ブログは、CI本部ブログの“If coronavirus halts climate convenings, ‘we must find other avenues for progress’” を日本向けに和訳編集したものです。

Written by Kiley Price

世界的なパンデミックに見舞われている真っ只中、気候変動を食い止めるための闘いに、新型コロナウイルスがどんな影響を及ぼしているのか、考える人はあまりいないかもしれません。

しかしながら、命にかかわるウイルスの感染が世界に瞬く間に広がり、現時点で400万以上の人々(2020年5月11日現在)が感染してしまった今こそ、私たちはこの重要な問題について考えるべきだと、気候の専門家は言います。

「新型コロナウイルスの爆発的な拡大は、各国が炭素排出削減を約束する大胆な目標を設けるための重要なプラットフォームである、主要な気候会議の計画を遅らせる可能性があります。しかし、人々が一つの場所で集まれないからといって、各国の責任がなくなるということではありません。」と、コンサベーション・インターナショナルの気候政策専門家、マギー・コムストックは話します。

「気候変動の最も深刻な影響を避けるには、もう10年間しか残っていません。2020年も、引き続き気候変動に取り組むべき年です。ウイルスの影響で、特に航空便の欠航・減便によって世界的な排出量は減少傾向にありますが、COVID-19の長期的な影響は、気候変動の進行を緩やかにするための取り組みをひっくり返してしまうかもしれません。」

既に、今年2月にローマで行われていたポスト2020生物多様性世界枠組みに関する第2回公開作業部会は、ヨーロッパにおける感染の急拡大によって多くの参加者が途中帰国するなど、影響を受けました。

「私たちは週の半ばで会議を去りました。全く来られなかった人達もいました。」
 コンサベーション・インターナショナル国際政策・バイスプレジデント、リナ・バレラ

感染の拡大で、スコットランド・グラスゴーで行われる予定だった2015年のパリ協定下での公約を成し遂げるために各国のリーダーが集まる、国連気候変動枠組み条約会議のプレナリーミーティングも同じように影響を受け、延期となってしまいました。

バーチャル会議で話し合い?でも同じではない

では、コロナウイルス…

新型コロナウイルスのようなパンデミックを防ぐためには、「自然を大切にすること」

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※本ブログは、CI本部ブログの“Expert: To prevent pandemics like COVID-19, 'take care of nature'’” を日本向けに和訳編集したものです。

Written by Kiley Price

中国の家畜家禽および海鮮市場が発生源とされる新型コロナウイルスは、世界中に驚異的な速さで広がっています。多くの国では、都市の封鎖から企業の臨時休業まで、ウイルスの蔓延を防ぐための厳しい対策を講じています。しかし、どのようにしたら未来も起こりえる感染症の突発的な発生を防ぐことができるのでしょうか?

そのためにまずやらなければならないのは、「自然を守ること」だと、コンサベーション・インターナショナル、シニア気候変動科学者であり世界的な生態学の専門家であるリー・ハンナはいいます。

自然環境を保つことが、将来的な病気発生の抑制にどのように影響するのか、ハンナ博士に聞きました。
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Q. 自然と病気の蔓延はどう関係しているのでしょうか?

A. 人類は家畜を飼ってきた長い歴史の中で、野生動物と様々な病気の交換も行ってきました。実際すでに存在する人間の病気の多くは、もともと野生動物から発生しています。例えば、インフルエンザはブタや鳥類から、結核は、エボラはチンパンジーやコウモリが起源です。

自然の生態系は、人間の体と同様に機能します。それらが頑丈で健康的な場合-つまり、種が多様で、健全な個体数が保たれている時-彼らは病気に対してより耐性があります。

豊かな生態系は、水から食べ物、肥沃な土壌まで、私たち人間に様々な利益をもたらしますが、森林伐採や採鉱などで人間活動が生態系に混乱を起こし劣化させた時、動物たちはより一層絆を強くせざるを得なくなり、また、ストレスで病気になりやすく、人びとと接触する可能性も高くなっていきます。こういった状況で、野生動物と人間の間で病気の行き来が発生するのです。

恐ろしいことに、自然の急速な破壊は、動物を媒介とする病気の発生頻度を高くさせるという研究もあります。


Q: 人と自然の関係は、パンデミックにどのように影響しますか?

A: 最も広く直接的な問題は、世界的な野生動物の取引きです。この取引きにより、野生動物たちには、自然に遭遇する可能性がなかった他の種、さらには他の病気への接触が引き起こさ…

COVID19の発生と自然との関係について ~5つのレポートより~

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エディターズノート: COVID-19のパンデミックは、世界中に瞬く間に広がり、これまで260万人以上が感染し、18万人以上が亡くなっています(※2020年4月23日現在)。 一部の科学者は、自然を守ることが将来のパンデミックを防ぐために重要であると主張しています。ここでは、自然と人間の健康との関係を探る、5つの記事を紹介します。1.気候変動への取り組みと新型コロナウィルス問題の類似性 COVID-19の感染拡大と、気候問題に関する世界的な取り組みの遅さには類似点があると、研究者らは主張 ストーリー:
ニューヨークタイムズの記事によると、政治的な抵抗と、人々が長期的な危機の影響を完全に把握できないことの心理的な無力さが、COVID-19のパンデミックと気候変動の両方に対処における世界的な取り組みの遅れに影響していると多くの専門家たちが同意しています。例えば、化学者のHolden Thorp氏によると、現在の米国政府は、近年の科学研究への連邦政府の資金提供、特に気候調査への資金提供を大幅に削減し、コロナウイルスのワクチン開発の取り組みを混乱させており、さらに、複数の行動科学者が現在のパンデミックと気候危機はともにマイナスの影響がより長い期間に及ぶことから、より対応に苦労していることに同意しています。

全体像:
「COVID-19と気候変動はどちらも、損失を最小限に抑えるために早期の積極的な行動が必要です」と気候学者のキム・コブは述べています。「私たちがリスクのある行動に出た結果、また、十分早くに対策を取らなかったことで失うものは、失った後で本当に理解することができるのです。」

2019年にオーストラリア全体で猛威を振るった山火事から、沿岸都市部での洪水の増加まで、気候危機の影響はすでに世界中の人々に影響を与えています。 しかし、2011年までに、平均気温上昇を摂氏1.5度未満に抑えられない場合、気候システムは崩壊し、今日癌や感染症で亡くなる人の数とほぼ同じ数の人が、気候問題によって死亡する可能性がある、と研究者たちは予測しています。

詳しくは  (The New York Times)

2. 次の新たな感染症を防ぐためにも、野生動物の取引は止めるべき もし各国が国際的な野生動物の取引を止めなければ、世界的な感染症はさらに発生するだろう、と専門家は警告

ストーリー:
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森と共生するビジネス ~チョウ類飼育販売事業~

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By コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 松本 由利子
カンボジア中央カルダモン山地にあるTa Tey Leu村では、半年ほど前からチョウの人工飼育が始まっています。チョウの人工飼育?と思われるかもしれませんが、食用でもなければ、標本用でもありません。欧米では広い温室の森林空間で、歩きながら生きたチョウと触れ合うことのできる蝶園に人気があり、そうした蝶園にチョウを供給するのが人工飼育の目的です[1]


チョウは種類毎にエサとなる食草(草や花蜜)が異なり、様々な種類のチョウが生息していくためには多様性豊かな森が必要です。そのため、チョウ飼育事業は途上国の低収入家庭にとって森林伐採に代わる現金収入手段となるだけでなく、地域住民の森林保全への関心を高めることが期待されます。タンザニアなど他国では、チョウ飼育事業が保全へ貢献しているという事例も見られます。
事業化可能性調査の一環で、2019年からTa Tey Leu村の5軒の農家がチョウのパイロット飼育を始めました。全員未経験者だったにも関わらず、約3カ月後、無事蛹の生産まで辿り着き、5カ月後には最初の出荷を行うことができました。これから事業化に向けて生産量の増加や生産者組合の形成などまだまだ道のりが長いですが、初めての収入に農家のモチベーションは高まっています。特にサラットさん(女性)はチョウの飼育を始めて生活に活気が出て来ました。小さな畑しかないサラットさんは誰よりも熱心に取り組んだ結果、今では飼育が一番上達し、新しい仕事を始めたことが楽しみにもなっています。はにかみながら、しかし自信を持ってチョウの説明を行うサラットさんの姿が印象的でした。

チョウの飼育は細かい作業を毎日2-3時間繰り返すため、決して楽な仕事とは言えません。ただ、彼女のように他の生計手段を持たない零細農家には貴重な収入源となります。加えて、チョウの飼育は家の周辺で子育てや家事の合間にできること、生き物なので丁寧な扱いが求められることから、農村女性向けの仕事としての可能性があります。

カンボジアでは森林率がここ20年ほどで急速に減少しました。様々な要因が挙げられるの中、地域住民の貧困は大きな要因の1つです。チョウ飼育事業を通してコミュニティレベルでの森林保全への意識を高めていくことが、将来世代の森林を守ることに繋がっていくと期待されます。