2014年7月20日日曜日

連載:SDGs実施課題への外部経済性に基づくアプローチ ‒ 第1回 SDGsの概要 ‒

CIジャパンより>これより4回にわたり、CIジャパン客員研究員の武末勝氏がまとめた、持続可能な開発目標に関する記事を連載します。7月19日に国連総会に出される文書が合意されましたが、その前の議論・背景、提言などをお伝えします。


連載 by CIジャパン客員研究員 武末勝

はじめに
本連載は、国連を中心として現在検討中の持続可能な発展のゴール(Sustainable Development Goals, SDGs) に焦点をあて、SDGsの概要 (第1回)、SDGs実施の資金的課題 (第2回)、外部経済性の評価 (第3回)、およびSDGs実施資金創出のための制度 (第4回)、 について述べる。第1回のSDGsの概要では、SDGsの背景、狙い、および検討グループであるオープン作業グループ (Open Working Group, OWG) とその支援組織を概説し、最後にSDGs検討の途中結果を示す。

1.1  SDGsの背景
持続可能な発展の枠組は、国連人間環境会議 (United Nations, 1972) から始まっている。この会議の成果であるストックホルム人間環境宣言を作成するための議論では、地球規模の環境保全を主張する先進国と経済発展が緊急の課題である発展途上国が対立した(亀山 2010)(南北対立:図1.1の「初期の枠組」参照)。

持続可能な発展の概念は、世界環境開発会議 (The World Commission on Environment and Development, WCED, 1983)での成果で1987年に発表された「我ら共通の未来」の主要概念である。国連環境開発会議 (UN Conference on Environment and Development, UNCED.  UN, 1992)では、その後の環境政策に大きな影響を与えたリオ宣言およびその行動計画であるアジェンダ21が採択されたが、持続可能な発展の枠組は図1.1の「初期の枠組」のままであった。

持続可能性の枠組が図1.1の「現在の枠組」に示す経済・社会の発展と環境の保全から成る3本柱の持続可能な発展に変更されたのは、2002年に開催された持続可能な発展に関する世界首脳会議 (World Summit on Sustainable Development, WSSD.  UN, 2002) で採択されたヨハネスブルグ宣言においてであった。この3本柱の枠組は、南北対立を軽減するための妥協案と推測できる。国連持続可能発展会議 (UN Conference on Sustainable Development, UNCSD.  リオ+20とも呼ばれる) (UN, 2012)の成果文書である「我らが望む未来」では、この妥協案に沿って、貧困撲滅とそのためのガバナンス改善などの発展途上国に対する援助策が最優先の課題となった。

SDGs検討のもう一つの背景は、国連ミレニアム宣言 (UN, 2000) とそれに基づき策定されたミレニアム開発ゴール (Millennium Development Goals, MDGs.  World Summit, 2005) である。ミレニアム宣言は国連憲章と世界人権宣言に基づいて、人間開発のための包括的な宣言となっている。MDGs (図1.2参照) は、8ゴール、21ターゲット、60指標の階層構成を採っている。ゴール8を除いては人権項目に焦点を当てたゴールになっており、ゴール7では自然環境資源・生物多様性の損失回復に対するターゲット・指標を設けている。





1.2  SDGsのねらい
    MDGsは2015年に第1フェーズを終了予定であり、また国連主導の持続可能な発展の枠組は2015年より後の持続可能な発展のアジェンダ (Post-2015 Development Agenda) を定める計画になっている。MDGsを拡張しその後継のゴールを提供すると共にPost-2015 Agendaの核を提供するため、SDGs設定が議論され (UN GA, 2012、A/67/257; Rio+20、 2012成果文書)、その検討グループとしてオープン作業グループ (Open Working Group, OWG)の設立が決定された (UN GA, 2013,  A/67/L.48/Rev.1)。

OWGのSDGs検討プロセスを支援する組織の一つであるPost-2015 Development Agenda に関する国連システム・タスク・チーム (UNTT) は、Post-2015 Development Agenda (従ってSDGs) の展望・課題を次のように報告している (UNTT, 2012)。

Post-2015 Development Agendaの中心課題は、グローバル化が現在と未来の人々のための明確な力になることを保証することである。グローバル化は大きな機会を提供するが、現在のところ、その便益は非常に不公平に分配されている。これを改善するには、従来通りのやり方は選択肢には成り得ず、変形・変質的 (transformative) な変化を必要とし、新しい、より全体論的 (holistic) なアプローチを必要とする。Post-2015 Development Agendaの検討には、人権、平等、および持続可能性の3つの基本的価値に基づく未来展望が必要であり、ゴール・ターゲットを定義するための核としては、包括的社会発展、包括的経済発展、自然環境の持続可能性、および平和と安全から成るより全体論的な4つの次元が望まれる (UNTT, 2012)。

1.3   OWGの構成、検討プロセス、支援組織
    OWGは、グループ当たり1~4国から成る30のメンバー国グループの各々から代表1国を抽出した30メンバー国から構成され、代表1国の交代は随時可能である。(UN GA, A/67/L. 48/Rev. 1, 2013) 。メンバー国は、国連の5つの地域 (アフリカ、アジア・太平洋、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ&カリビアン、および西ヨーロッパ&その他) から選ばれている。これ以外に、オブザーバーとして、専門部局・関連組織の代表および国連経済社会理事会 (ECOSOC) の審議資格を持つNGOの代表が参加できる (UN OWG, 2013)。

    OWGの検討プロセスは2フェーズから成り、総計13回の会議が開かれる。第1フェーズは2013年当初までで、もっぱら情報収集のみを行う。2014年の4月から8月までの第2フェーズで、SDGsの草案をまとめ、9月の第68回国連総会で報告する (UN Statistics Division, 2013)。

OWGの情報収集フェーズでは、以下に示す包括的な利害関係者からの情報を収集する(同上)。

(1)    High-Level Panel of Eminent Persons on the Post-2015 Development Agenda (HLPEP):
2015年より後の全地球的な発展の枠組についてのアドバイスを行うための27メンバーから成り、市民社会、民間部門、学者、地方行政、および政府の指導的な代表を招集する。主として極度の貧困撲滅の展望から、5つの変形・変質的な変化の必要性を報告:① 誰も取り残されることはないこと、② 持続可能な発展を中核に据えること、③ 経済を雇用と包括的成長のために変形・変質すること、④ 平和と全ての人々にとって効果的でオープンで説明責任を有する組織を確立すること、⑤ 新しい全地球的なパートナーシップを創り出すこと (UN HLPEP, 2013)。

HLPEPの仕事は、OWGの仕事と密接に調整される。

(2)    UN System Task Team on the Post-2015 Development Agenda (UNTT):
分析的な見解や本質的な情報をOWGに提供するため、60の国連部局と国際機構を招集する。次の3つ課題に対する各々に対し作業グループを設立して検討して報告書を出す計画がある:① 発展に関する一新された地球的パートナーシップ、② モニタリングと指標、③ 持続可能な発展のための資金。また、技術支援チームをUNTT内に設立し、問題点の概要をOWGとHLPEPの会議に提供している。

(3)    National, global and thematic consultations:
包括的な地球規模の対話を支援するため、国連開発グループが国および世界レベルの審議会と11のテーマ毎の審議会を開始した。Post-2015 Development Agendaについての国レベル審議会が70以上の国で進行中であり、また次のテーマでテーマ別審議会が招集された: 教育、不平等、健康、ガバナンス、紛争と脆弱性、成長と雇用、環境の持続可能性、飢餓・栄養・食の安全、人口増加、エネルギー、および水。審議会の目的は、このようなテーマが新しい枠組みの中で占め得る役割、それ等に最適に取り組む多様な方法、およびそれ等の間の相互関係を探ることである。

(4)    Regional consultations:
Post-2015 Development Agendaに関する地域的な展望の報告書を提出する。

(5)    Sustainable Development Solutions Networks (SDSN):
ビジネス、社会団体、国連機関、および他の国際機構を含む利害関係者と協働する研究センター、大学、技術機関から成る全地球的な独立したネットワークである。SDSNは、第一段階として、持続可能な発展の10個の重要分野の全地球的課題の解決支援のために10の全地球的専門家グループを創設する予定である。また、SDSNはHLPEPに技術的支援を提供する。

(6)    UN Global Compact:
UN Global Compactは、ビジネスおよび民間部門の見解と貢献に関する情報をpost-2015プロセスに確実に提供することに積極的に携わっている。

1.4   SDGs検討の途中結果
SDGsの検討は現在、第1フェーズで収集した入力情報を基にゴールとターゲットをまとめる段階にある。表1.1に2014年5月のOWGの会議でまとまったゴール・ターゲットの途中結果 (UN OWG, 2014) を示す。このSDGs案に対する主なグループと他の利害関係者から聴取した意見に基づく改訂が6月のOWG会議を待たずに6月2日に出されているが、大きな変更はないので、この連載では下記リスト (5月バージョン) を用いて議論を進める。(なお、最終版の翻訳は、機会を見つけて別途掲載する予定である。)

SDGsの途中結果

焦点分野1: 貧困撲滅、繁栄共有、平等促進
ゴール1: 全世界のあらゆる形の貧困の終焉
  1. 2030年までに極度の貧困を撲滅
  2. 2030年までに国の貧困線未満で生活する人々の割合を減少
  3. 2030年までに、最も周辺に追いやられた人々に焦点を当て、国として適切で下限を含む社会保護手段を構築
  4. 貧困層に耐力を付け、災害に関連する死亡と経済損失をX%だけ減少
  5. 女性と若者を含む全ての人々に対し正規の生産的な雇用を達成
  6. すべての男女に対し経済的機会の平等を保証:これには、自身の土地・財産・他の生産に資する財産に対する確実な権利および資金サービスへのアクセスを含む
焦点分野2: 持続可能な農業、食糧保証、栄養摂取
ゴール2: 持続可能農業と改良食糧システムによる全ての人々に対する飢餓の終焉と栄養摂取の向上
  1. 全ての人々は年間を通じて十分な (安全、安価、多様、かつ栄養価の高い) 食糧にアクセス
  2. あらゆる種類の栄養不良、特に5歳未満児の発育阻害と衰弱、を終焉
  3. 2030年までに高収率の食糧生産システムを保証し、水、化学物質、およびエネルギーの使用を少なくとも各々X%、Y%、およびZ%だけ削減
  4. 2030年までに、特に女性と先住民に焦点を当て、小規模の農業者・漁業者に対し十分な情報、知識、生産資源、および金融サービス・市場へのアクセスを達成
  5. 2030年までに食糧供給チェーンでの損失・無駄の割合を50%だけ削減
  6. 2020年までにすべての国で持続可能な土地利用政策を施行、および2020年までに全ての干ばつ多発国でその予防政策を制定・施行
  7. 干ばつ、気候変動および自然災害を含む極端な天候への耐性があり、かつ適応可能なスマート (climate-smart) な農業を達成
  8. 2030年までに農業における生物多様性の保護を達成; その手段としては、食物多様性と農業における生物多様性に関連する実践と地方特有知識の使用を含む
焦点分野3: 健康と人口動態
ゴール3: 全ての人々の全年齢での健康生活
  1. 2030年までに妊婦の死亡率を10万人当たり40人未満に削減し、回避可能な新生児・幼児の死亡を終焉させ、幼児と妊婦の罹患率をX%だけ減少
  2. 2030年までにHIV/AIDS、結核、マラリア、および看過されている熱帯病の流行を終焉
  3. 非伝染性疾病 (Non-Communicable Disease, NCDs) と怪我からの時期尚早の死亡率をX%だけ減少させ、予防に重点をおいて精神的健康を促進
  4. 最も周辺に追いやられた人々に特に注意して普遍的健康保証範囲 (Universal Health Coverage, UHC) を達成:保証範囲には資金的リスク回避を含む
  5. 2030年までに全ての人々にとって手ごろな価格で不可欠な薬・ワクチンへの普遍的アクセスを保証
  6. 全ての人々に対し総合的な性的および生殖に関する健康への普遍的アクセスを保証; 現代的な家族計画法へのアクセスを含む
  7. 室内・室外の空気汚染および他の環境劣化に起因する死亡や疾病の数をX%だけ削減
  8. 麻薬や麻薬性物質を撲滅
焦点分野4: 教育と生涯学習
ゴール4: 全ての人々への良質な教育と生涯学習の提供
  1. 2030年までに全ての少年・少女に対し良質な初等・中等教育への普遍的、自由、かつ公平なアクセスとその完了を保証し、効果的な教育成果につなげ
  2. 障害者の包括的教育、スキル開発、および職業訓練へのアクセスを保証
  3. 2030年までに幼児が良質な初等前教育にアクセスし完了できる割合をX%だけ向上
  4. 2030年までに、女性と最も周辺に追いやられた人々に特に注意して、若者と成人の普遍的な読み書き能力を達成
  5. 2030年までに職業訓練を受け、技術的・工学的・科学的なスキルを持った若者・成人の男女の数をX%だけ増大
  6. 関連の知識やスキルを教育カリキュラムに統合; 関連知識・スキルには情報・通信技術 (ICT) スキル、持続可能な発展に対する教育、および持続可能な発展への文化の寄与に対する気づき喚起を含む
  7. 全ての学校は全ての学生に安全で健康的な教育環境を提供
焦点分野5: 性の平等と女性への権限付与
ゴール5: 性の平等と女性への権限付与の全世界での達成
  1. 2030年までに全ての年齢の女性に対する全ての形の差別を終焉
  2. 2030年までに女性と少女に対する全ての形の暴力を終焉
  3. 2030年までに全レベルの教育への平等なアクセスを保証
  4. 2030年までに女性に対する平等な雇用機会と同一労働同一賃金を保証
  5. 2030年までに自然資源管理を含む財産と資源への平等なアクセスとコントロールを保証
  6. 公的および私的な機関での意思決定における女性の平等な参加とリーダーシップを保証
  7. 2030年までに子供の早期の強制された結婚を終焉
  8. 2030年までに無給の介護労働の負担を軽減
  9. 2030年までに性的および生殖的な健康と生殖の権利への普遍的アクセスを保証
  10. 性差を意識した予算編成を含む両性間平等政策を改善するため、性差に関する個別データの利用可能性を促進
焦点分野6: 水と公衆衛生
ゴール6: 持続可能な世界のための水と公衆衛生
  1. 2030年までに、特に女性・少女のための安全で手ごろ価格の飲料水、衛生設備、および衛生学への普遍的アクセスを提供
  2. 2030年までに排水の管理、再生処理、および再利用をX%だけ改善
  3. 2030年までに、農業に特別な焦点を当て、全産業部門の水利用効率をX%だけ改善
  4. 適切な国・管区を跨ぐ協力を含む統合水資源管理を実施
  5. 2030年までに、水関連サービスを提供するため、新鮮水の採取と持続可能な供給を調和させ生態系を保護・回復
  6. 2030年までに水質を顕著に改善し、水域の汚染と水域への毒性物質の投棄を無くし、帯水層を保護
  7. 水の収集・蓄積技術に投資し、収集雨水の量を2030年までに倍増
  8. 2030年までに水関連の災害に起因する死亡・重症をX%だけ減少させ、経済損失を減少
焦点分野7: エネルギー
ゴール7: 全ての人々に対し手ごろ価格で持続可能な信頼性のある近代的エネルギーへのアクセスを保証
  1. 2030年までに持続可能な近代的エネルギー・サービスへの普遍的アクセスを保証
  2. 2030年までに世界のエネルギー比率における再生可能エネルギーの割合を倍増
  3. 2030年までに、建物、工業、農業、および輸送における効率を含む地球規模のエネルギー効率の改善率を倍増
  4. 2030年までに持続可能なバイオマスや先進の料理用レンジを含むクリーンで (GHGの) 排出が低いまたは無いエネルギー技術の割合をX%だけ増大
  5. 2030年までに不経済な消費を助長する化石燃料助成金を段階的に廃止
焦点分野8: 経済成長、雇用、およびインフラストラクチャ
ゴール8: 持続可能で包括的な持続する経済成長としかるべき仕事を全ての人々に対し促進
  1. 収入の不平等を縮小するため、2030年までに各国の収入分布の低位40%の収入の成長を維持
  2. 2030年までに、職を探している全ての人々に対し正規で生産的な雇用としかるべき仕事を達成:対象として、周辺に追いやられたグループも含む
  3. 2020年までに職に就かず、教育を受けず、あるいは訓練を受けていない若者の数を半減
  4. 2030年までに経済活動のエネルギー・資源生産性をX%だけ改善し、生産物単位当たりの廃棄物と(GHGの) 排出をY%だけ削減
  5. 2020年までに小中規模企業 (SMEs)、起業、革新のための適切な環境を生成
  6. 最も開発が進んでいない国々 (LDCs) に特別な焦点を当て、経済における高生産性の部門・活動の割合を増やし、技術改良とより大きな価値の付与によって生産能力を強化
  7. 特別な状況にある国々の必要性に注意を払いながら、全ての人々がアクセス可能な持続可能なインフラストラクチャを開発し、2030年までに100%の農村の人々に対し基本的なインフラストラクチャ・サービスへのアクセスを提供
  8. 国際労働機構 (ILO) の労働における基本的権利を遵守して、移民労働者を含む全ての労働者の権利を保護
  9. 2030年までに子供の労働を終焉
  10. 非公式部門の活動と雇用の公式化を奨励
焦点分野9: 工業化と国家間の平等の促進
ゴール9: 持続可能な工業化と国家間の平等の促進
  1. 工業の起業とSMEs (中小企業) を含めた企業形成の奨励を含む十分な政策空間とその助けとなる政策環境の保証
  2. 工業部門のしかるべき仕事を創成し、仕事に富んだ工業開発を促進
  3. 全ての国において工業部門に亘って高い生産性レベルを達成
  4. 2030年までに、高価値付加活動への移行に焦点を当て、特に発展途上国における工業的多様性を向上
  5. 2030年までに工業の資源効率をX%だけ向上させ、使用される有害化学物質と生成される廃棄物をY%だけ減少させ、工業部門からの炭素排出強度をZ%だけ削減
  6. GDPにおける環境的に持続可能な製品・サービスの割合をX倍だけ増加
  7. 2020年までに工業部門の技術能力を強化するための計画と手段を実施; 計画には、環境的に健全な工業技術・プロセスを開発・加速するための計画を含む
  8. エネルギー・資源効率の良い技術および環境的に健全な工業プロセスに基づき、2030年までに世界レベルで既存工業のX%を更新
焦点分野10: 持続可能な都市と人々の定住地
ゴール10: 包括的で安全かつ持続可能な都市と人々の定住地の建設
  1. 2030年までに全ての人々に対し適切で手ごろ価格の住宅と基本サービスへの普遍的アクセスを保証
  2. 2030年までに全ての人々に対し安全で手ごろ価格の利用し易く持続可能な輸送機関へのアクセスを提供し、道路の安全性と都市の空気の質を改善
  3. 統合化された都市計画と都市管理の能力を向上
  4. 2030年までに都市のエコロジカル・フットプリントをX%だけ削減
  5. 2020年までに気候変動と自然災害への耐性と適応に向けた政策や計画を採用・実施している都市の数をX%だけ向上
  6. 2030年までに社会的結合の緊密さと個人の安全性を向上させ、包括的かつ安全な公共空間への普遍的アクセスを保証
  7. 2030年までに全都市が障害者にとって便利で様々な機会を提供することを保証
  8. 世界の文化遺産と自然遺産を保護
焦点分野11: 持続可能な消費と生産
ゴール11: 持続可能な消費・生産パターンの促進
  1. 2030年までに自然資源の持続可能な管理と使用を達成
  2. 2030年までに予防、削減、再生利用、再使用によって廃棄物をX%だけ削減
  3. 2030年までに経済活動の資源生産性をX%だけ改善、手段として持続可能な供給チェーンを含む
  4. 2030年までに充足と持続可能な生活スタイルから成る文化の創成を喚起する努力を倍増、喚起努力には製品とサービスの持続可能性情報の提供を含む
  5. 2020年までに、製品のライフサイクル・アプローチによるものを含む持続可能な消費・生産パターンを促進する経済的インセンティブを奨励
  6. 2030年までに企業の社会的および環境的な責任に関する報告またはそれらの統合報告を行う企業の割合をXパーセント・ポイントだけ向上
  7. 2030年までに全ての金融部門の当事者は彼らのビジネス実践に持続可能な発展の原理を組み込む
  8. 持続可能なツーリズムに対するインセンティブを醸成
焦点分野12: 気候変動
ゴール12: 気候変動を緩和しそれに適応するため緊急で有意義な行動
  1. 国際合意に従い全地球的平均気温の上昇をX℃を下回る上昇に保持
  2. 気候に起因する障害・危険に対する耐性と適応能力を全ての脆弱な諸国に構築
  3. (気候変動への) 適応と (GHGの) 排出削減を開発計画および貧困削減戦略に統合
  4. インフラストラクチャ、工業、および他の部門での低炭素化対策への投資のための手段やインセンティブを導入
  5. 気候変動に関する教育と気づき喚起を改善
焦点分野13: 海洋資源、海洋、海の保存と持続可能な利用
ゴール13: 海洋資源、海洋、海の保存と持続可能な利用のための緊急で有意義な行動
  1. 2030年までに陸域からの活動によるものを含む海洋汚染および廃棄物・残留不要物の投棄を防止・統制しX%だけ削減
  2. 2030年までに海洋の酸性化を含む破壊から海洋生態系を回復・保護
  3. 2030年までに、魚類のストックを最高の持続可能な収穫を可能にする生態学的な安全レベルに回復するために漁獲量を規制し、持続可能な小規模漁業を支援
  4. 国の管轄権を超える領域の資源に対するものを含む現存の海洋管理の地域的・国際的な管理体制の完全実施を展開・保証
  5. 2020年までに非合法、無報告、かつ無秩序な (Illegal, Unreported, Unregulated, IUU) 漁業、および破壊的な漁業実践を排除
  6. 国際法と矛盾しない海洋保護領域 (Marine Protected Areas) を設立
  7. 2030年までに過剰能力や過剰漁獲につながる漁業助成金を排除
焦点分野14: 生態系と生物多様性
ゴール14: 陸域生態系を保護・再生し全ての生物多様性の損失を停止
  1. 2020年までに生息地を含む全ての生物多様性の喪失を停止させ、脅威に曝された種を保護
  2. 2020年までに劣化した重要な生態系の回復によるものを含む生態系の保護と持続可能な利用を保証
  3. 栽培種およびその野生亜種の両方の遺伝的多様性を維持
  4. 2030年までに全ての森林と山岳生態系の持続可能な管理を保証し、森林伐採を停止させ、再植林を増加
  5. 2030年までに土地劣化の無い世界を達成
  6. 遺伝的資源を含む自然資産からもたらされる便益の公正かつ平等な共有を保証
  7. 危機に曝された種の密猟・盗掘および取引を終焉
  8. 2030年までに侵入外来種を排除
  9. 意思決定における先住・地域の社会の参加を保証し、先住民の伝統的知識の使用を促進
焦点分野15: 持続可能な発展のための実施法/グローバル・パートナーシップ
ゴール15: 持続可能な発展のためのグローバル・パートナーシップの強化・実施法

貿易:
  1. 世界貿易機構 (WTO) ドーハ・ラウンドの農業規定の遵守を含む、開かれた、法に基づく、非差別的、かつ公平な多国籍間の貿易と資金システムを促進
  2. WTOの決定を守り、最も開発の遅れた国々 (LDCs) に一層大きな無関税かつ割り当て量無しの市場アクセスを提供
  3. 開発途上国、特にLDCsの農業的・工業的な輸出のための市場アクセスを改善し、2020年までに世界の輸出におけるLDCsからの輸出の割合を少なくとも倍増
技術移転、技術的潜在能力:
  1. 科学、技術、および革新・解決志向の研究のための北-南、北-北、および三国間の協力によるものを含む地域的・国際的協力を向上させ、知識共有を向上
  2. クリーンで環境的に健全な技術の発展途上国への移転と普及を推進
  3. LDCsのためのTechnology BankとSTI (Science, Technology and Innovation) Capacity Building Mechanismを完全に運用可能にする
  4. クリーンで環境的に健全な技術を含む技術の研究、開発、適用を行うため、開発途上国の組織を強化し能力を涵養
  5. 発展途上国、特にLDCsでありがちな疾病のためのワクチンや薬の研究開発を全面的に支援
融資と負債の持続可能性:
  1. 先進国のODAに関する公約を、合意済みのスケジュールと原則に基づいて完全に実施
  2. 多数の供給源からの追加的な融資資金を、送金コストを削減しながら流通させる
  3. 私企業からの長期の国外投資および包括的な資金融資を奨励
  4. 持続可能な発展への投資のための十分な融資資金を保証
  5. 負債の持続可能性と負債救済を保証
  6. 国内および国際の両レベルにおける包括的な参加型の意思決定を推進し、最終的に国際融資機関への開発途上国の効果的参加を増やすための改革を推進
  7. 国内資源流動化を強化; 強化手段には税徴収と公共支出効率の改善、税回避の縮小、隠し資産の回復向上、および投資のための国内貯蓄を活用するためのシステムの強化を含む
  8. 国の目標によるものを含む、持続可能な公共調達の推進
能力開発:
  1. 科学、工学、および経営に焦点を置き、LDCs出身の学生が先進国や他の発展途上国で高等教育プログラムに入学するための奨学金数を拡大
  2. 持続可能な発展のためのデータの収集と分析のための能力を、要素対応の時宜を得た高品質データの生成に焦点を当て持続的に強化
  3. 各国は、GDPを超える拡張された発展の尺度を漸進的に国の会計に導入; この支援として、発展途上国における統計処理能力を開発
  4. 発展途上国、特にLDCsにおいて持続可能な発展のゴールを実施する国家プランを支援する能力開発プログラムを開発・実施; 持続可能な発展のゴールには、農業、水、エネルギー、健康、および災害の防止・削減能力と持続可能な自然資源管理におけるゴールを含む
持続可能な発展のための強化されたグローバル・パートナーシップ
  1. SDGsの実施には全ての利害関係者 (stakeholders) を雇用; 雇用手段には金融資金を流動化させ、技術を開発し普及させ、かつ技術的専門知識を提供する政府と協力関係にあり、効果的・革新的で、説明責任を有するパートナーシップを含む
  2. 次の項目を含む共有された説明責任の枠組内で、SDGsの進展に関して定期的にモニタリングしその結果を報告:実施手段、メンバー国間のグローバル・パートナーシップ、複数利害関係者によるイニシャティブとパートナーシップ

焦点分野16: 平和で包括的な社会、法の支配、および有能な組織
ゴール16: 平和で包括的な社会、法の支配、および有能な組織

平和で包括的な社会の構築:
  1. 2030年までに特に子供と女性に対する犯罪、暴力、搾取をX%だけ削減; 手段として組織犯罪や人身売買の減少を含む
  2. 2030年までに社会的・政治的、経済的な分野での差別的な法・政策・慣行を排除し、周辺に追いやられたグループに権限を付与
  3. 2030年までに、次世代の関心を考慮に入れて、包括的な参加型の意思決定を確立; 地方政府も対象として含む
  4. 2020年までに非暴力の文化に関する情報と教育を提供
  5. 2030年までに計画的で管理された人口移動政策を実施

法の支配、有能な組織:
  1. 2030年までに全てのレベルで効果的で、説明責任を有し、かつ透明性のある組織を開発
  2. 2030年までに、財産・土地保有権、雇用、ビジネス、課税、貿易、資金に関するものを含む、独立した反応の速い司法制度への平等なアクセスを提供
  3. 2020年までに全ての人々に、法的身分の証明を含む、公共サービスを提供
  4. 公共資金管理、公共調達、および国家開発計画の実施に関する情報へのアクセスを改善
  5. 2030年までに全ての形の腐敗行為および違法な資金の流れをX%だけ減少
  6. メディア、組合・連合、および言論の自由に対する不必要な制限の廃止

1.5  まとめ

SDGsの検討体制、利害関係者、およびSDGsの展望・理念自体の全てが包括的である。利害関係者の包括性は、多様な課題とそれに対する多様な解決法の探索を可能とするので、非常に好ましい。包括的経済発展、包括的社会発展、環境の持続可能性および平和・安全の進展を求めるSDGsの実現に向けて、重要な課題は発展途上国への十分な資金の流れの確保、および先進国も対象とした雇用の確保などであり、現在とは質の異なる (trans- formative) 経済システムが要求される。


1.6 参照文献
  • 亀山康子、2010。新・地球環境政策。昭和堂。
  • The World Commission on Environment and Development (WCED), 1983.
  • United Nations Conference on the Human Environment, 1972.
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