2014年12月5日金曜日

地球規模で生物多様性保全を強力に推進するCEPFパトリシア・ズリタ事務局長来日インタビュー Vol.2


・・・前号から続く


-日本国政府との交渉のお話が出ましたので、ここで日本政府や日本の貢献について教えてください。
2001年に日本がCEPFに参加して以来、どのような関係でしたか?

パ:「日本国政府がCEPFへの参画を決定した背景には、おそらく世界銀行のお陰もあったと思います。当時は玉木さん (*玉木林太郎OECD事務次長) が、日本政府の世銀常任理事をされていて、財務省に戻られた頃でした。
私の印象では、玉木さんが説得してくださったお陰で、それまで前例のないCEPFへの資金援助が可能になったのだと思います。そして、2007年にフランス政府開発庁の参画にあたり、CEPFドナー協議会で唯一の国家政府ドナーである日本の存在が大きく貢献したことは間違いありません。玉木さんと当時のフランス政府開発庁トップだったサブリナさんと私とで、何度も協議を重ね、また日本とフランス両政府間でも何度もやり取りがあり、ようやくフランス政府はCEPF参画への意義を確信してくれたのです。

着任前の事情は、具体的にはよく分かりませんが、2007年に日本の第1次支援が終了し、前任のCEPF事務局長がその後の対策をどうするか、保留のまま、2010年に私が着任し、CEPF事務局長として最初の仕事が、日本政府との交渉でした。

実は着任当初、私は妊娠4ヶ月で、なんと双子であることが判明したばかりでした ()。でも、そんなことは言っていられません。どうしたら日本政府は追加支援に応じてくれるだろうと、考え続けました。そして着任翌月の20103月に来日し、玉木さんと協議したのですが、この時の玉木さんは素晴らしかった。なんと翌4月の世銀の春の会議の席で、日本政府はCEPFへの追加支援を決定したと公式発表してくれたのです!あの時はどれだけ安堵したことか・・・
私たちは日本のコミットメントを得たことで、今後の事業運営に安心して取り掛かれたのです。」


-日本政府との関係はどうですか?
パ:「そうですね、日本国政府に関してのチャレンジとしては、伝統的な政権交代と関係省庁の担当者が2年ごとに交代することです。そうした事情もあって、私はできるだけこまめに足を運んで、関係者と直接お会いして、関係構築を心がけてきました。CEPF事務局長に就任してから、私は毎年来日しています。CEPFにとって日本国政府はかけがえのないパートナーであり、重要なドナーである、ということをご理解いただくために、これはとても重要なことだと考えています。

そして折に触れて、担当者の皆さんをフィールドにお連れするようにもしています。CEPFの意思決定の一端を担う人々に、できるだけCEPFを身近で感じていただき、CEPFをもっと好きになっていただけるように。それに、CEPFの助成金受給団体側からCEPFを知って頂くいい機会にもなります。
日本の環境省には多大なご理解とご協力をいただくことができて、私たちは本当に幸運だったと思います。例えば、ドナー協議会やワーキンググループの会合はワシントンDC時間の朝8時開始なので、日本時間では深夜になってしまうのですけれど、皆さんそれもいとわず積極的に参加し、活発に意見を提供してくださるのです。

CEPFにとって、日本が重要なパートナーであるということをご理解いただけるよう、様々な努力もしてきましたけれど、その努力もこのようなポジティブな反応があればこそ、というものです。日本国政府側からこれだけのコミットメントを示していただいたことで、日本とCEPFの素晴らしいパートナーシップを構築できたと思います。先日も財務省での会議の折にお話したのですが、日本国政府の皆さんのご尽力のお陰で、CEPFはこれまで大きな実績を残すことができたのです。また日本国政府のコミットメントが、フランス政府を動かしたのです。

それに加えて、日本がこれだけの貢献をした結果がこのCEPFの成果である、ということを強調したいと思います。すべてのドナーの出資金合計7億ドル、それに受給団体がCEPFを通じてレバレッジできた合計3億ドルのうち、日本が確保した5000万ドルという額は生物多様性へのアウトプットとして素晴らしい貢献です。中国やミャンマーなどの途上国の本当に小さな市民社会団体、この支援なしには存在すらなしえなかった団体が、日本をはじめとしたCEPFドナーの貢献のお陰で設立され、生物多様性の保全活動を開始できたのです。」
-政府機関などのドナーとの緊密な調整は、CEPFとって重要ですね

パ:「そうですね。どのドナー機関の担当者とも、業務を通じて個人的な友人関係を築くことがCEPFにとっても非常に良い効果をもたらしていると思います。ドナーにできるだけ関与していただき、彼らの貢献がどれだけ助けになっているかをご理解いただくことで、ドナー側もより積極的に関与したいと思ってくれるのではないでしょうか。例えばCEPFの現場にお連れして、CEPFの助成金受給団体がCEPFの支援によってどれだけのことが可能になったかを見ていただくことで、よりCEPFへの理解が深まったのではないでしょうか。CEPFのインパクトを目の当たりにして、それを可能にした「CEPFファミリー」の一員であることを自信に思っていただけたら、素晴らしいと思います。」


-民間セクターについての考えを聞かせてください。

パ:「民間セクターとの連携は、CEPFにとって、新しい展開であることは間違いありません。今年1月のドナー協議会でも、多様な民間セクターによるCEPFパートナーシップへの参加を促していくことを提案しています。例えば、エコシステム・プロファイルを作成する際には、生物多様性ホットスポットにおける様々な事業の意思決定上、重要なアクターである民間セクターに、こうした戦略作りをサポートしてもらう必要があります。民間セクターに実際に参加してもらうことで、生物多様性保全戦略を自分たちのものとして、主体的に取り組んでもらう、このプロセスなしには、利害関係の対立などの問題から逃れられませんので、これは真っ先に取り組まなくてはならない課題だと考えています。」


-民間セクターを含めた資源動員は、韓国のCOP12でも話題になりました。公的支援だけでなく、民間セクターによる支援も含めて考えていかなければならないと。

パ:「そのとおりです。重要なポイントですし、大きなチャンスでもありますね。CEPFは民間セクターの信頼の元に、現地の人々に直接支援を届けることができるのです。多くの場合、出資されたお金が仲介業者などの第三者の手に渡って仲介料や運営資金などの名目で使われたりして、現地の人々や生態系保全に直接的に貢献できていないのでは?という疑念があったりするのですが、CEPFの場合、そういう問題は起こらないことを実績で証明できます。」


-つまり、CEPFの基金は、現場での実際の活動に届いている、ということですね?

パ:「その通りです。CEPFの基金のうち50パーセント以上が現場のフィールドに届きますが、こうした例は、他の基金では稀だと思います。今後はより多くの国やホットスポットで、必要な人や市民社会団体に直接支援が届くよう、更なるスケールアップを目指しています。」




・・・次号に続きます





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