種の絶滅問題に希望の光をもたらす、保護成功のお話
※本ブログ記事は、CI本部の記事を日本語にしたものです。
http://blog.conservation.org/2015/06/species-success-stories-offer-glimmer-of-hope-amid-extinction-crisis/
文:Molly Bergen 〔Human Nature 編集責任者〕
アフリカライオン、アジアホテイラン、ニュージーランドアシカ ― 彼らは象徴的な動物でありながら、固有種でもあります。そして、彼らは皆、絶滅の危機に直面しています。
IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストは、最低でも年に一度更新されますが、その内容は良いものばかりではありません。2015年6月23日に発表された世界中の種の国際的な評価は、恐竜の絶滅期以来のスケールで、世界的に大量絶滅が起こっていることを示唆しています。
種の絶滅はライフサイクルの中で起こる自然の一つの摂理ですが、環境破壊や過剰狩猟のような人間の活動は、絶滅の速度を通常よりも100~1000倍も速めてしまっています。
以下は最新のレッドリストで発表された主な調査結果です。
・IUCNによって評価された種のほぼ30%が絶滅の危機に瀕している。そのうち約85%の危機の要因は、生息環境の損失と減衰によるものである。
・個体数が低下もしくは減衰している種に含まれる、アフリカゴールデンキャットやニュージーランドアシカ、アフリカライオンは、熱心な保護活動にも関わらず、危急種(絶滅危惧Ⅱ類)のままである。
・生息環境の損失は多くの種にとって危機的な課題であるが、それだけではない。違法な売買がアジアホテイランにとって最も大きな脅威であるように、多くの薬草もまた、過剰採集によって脅かされている。
種の消失は、動物と植物の存続危機だけではありません。それはまた、温室効果ガスの吸収から飲み水の濾過まで、私たち人間が生きるために依存している“自然生態系の劣化”という悩ましい問題でもあるのです。
CIの執行副理事長、ラッセル・ミッターマイヤーは最近のブログで「種の働きには、まだ私たちの知らないたくさんの役割があります。私たちを悩ませている問題解決策をもっているものもあれば、さらに効率のよい成果を生む計画を導いてくれるものもあるでしょう。」と指摘しています。
しかし、悪いニュースばかりではありません。熱心な保護活動のおかげで、スペインオオヤマネコの個体数は、2002年から2012年にかけて3倍にもなり、レッドリストでは、絶滅寸前(絶滅危惧ⅠA類)から絶滅危機(絶滅危惧ⅡB類)にランクが下がりました。また、2012年時点で156もの種が絶滅の危機にあったものの、南スペインやポルトガルにおけるウサギの個体数の回復と、オオヤマネコが主に生息している地域の地主たちと生息地の確保を交渉するなどの努力によって、オオヤマネコの個体数は回復してきています。
「この世界的な絶滅の波は、私たちの惑星の生態系の、危険な状態をあらわす不吉な兆しです。」とIUCNの種の保存委員会霊長類専門家グループ会長であるミッターマイヤ-は言います。
「一方で、スペインオオヤマネコの成功例は、保全家と地元のコミュニティーが協力しあえば、流れを変えることもまた可能だということを証明しています。」
関連記事
・That’s a RAP: On the ground with ‘an ecological SWAT team’
・Why do we need species? Fighting climate change, for one
・A mysterious island reveals its secrets — and new species
翻訳協力:名倉麻梨香(CIジャパンインターン)
http://blog.conservation.org/2015/06/species-success-stories-offer-glimmer-of-hope-amid-extinction-crisis/
文:Molly Bergen 〔Human Nature 編集責任者〕
スペインのスペインオオヤマネコのこどもたち。
一連の保護活動の成果によって、この種は10年間で3倍の個体数となり、
絶滅の指標となる、絶滅危惧種に関する
IUCNレッドリストにおいて、「絶滅寸前」から「絶滅危機」に下がるのに十分なほど増加した。
一連の保護活動の成果によって、この種は10年間で3倍の個体数となり、
絶滅の指標となる、絶滅危惧種に関する
IUCNレッドリストにおいて、「絶滅寸前」から「絶滅危機」に下がるのに十分なほど増加した。
アフリカライオン、アジアホテイラン、ニュージーランドアシカ ― 彼らは象徴的な動物でありながら、固有種でもあります。そして、彼らは皆、絶滅の危機に直面しています。
IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストは、最低でも年に一度更新されますが、その内容は良いものばかりではありません。2015年6月23日に発表された世界中の種の国際的な評価は、恐竜の絶滅期以来のスケールで、世界的に大量絶滅が起こっていることを示唆しています。
種の絶滅はライフサイクルの中で起こる自然の一つの摂理ですが、環境破壊や過剰狩猟のような人間の活動は、絶滅の速度を通常よりも100~1000倍も速めてしまっています。
以下は最新のレッドリストで発表された主な調査結果です。
・IUCNによって評価された種のほぼ30%が絶滅の危機に瀕している。そのうち約85%の危機の要因は、生息環境の損失と減衰によるものである。
・個体数が低下もしくは減衰している種に含まれる、アフリカゴールデンキャットやニュージーランドアシカ、アフリカライオンは、熱心な保護活動にも関わらず、危急種(絶滅危惧Ⅱ類)のままである。
・生息環境の損失は多くの種にとって危機的な課題であるが、それだけではない。違法な売買がアジアホテイランにとって最も大きな脅威であるように、多くの薬草もまた、過剰採集によって脅かされている。
種の消失は、動物と植物の存続危機だけではありません。それはまた、温室効果ガスの吸収から飲み水の濾過まで、私たち人間が生きるために依存している“自然生態系の劣化”という悩ましい問題でもあるのです。
CIの執行副理事長、ラッセル・ミッターマイヤーは最近のブログで「種の働きには、まだ私たちの知らないたくさんの役割があります。私たちを悩ませている問題解決策をもっているものもあれば、さらに効率のよい成果を生む計画を導いてくれるものもあるでしょう。」と指摘しています。
しかし、悪いニュースばかりではありません。熱心な保護活動のおかげで、スペインオオヤマネコの個体数は、2002年から2012年にかけて3倍にもなり、レッドリストでは、絶滅寸前(絶滅危惧ⅠA類)から絶滅危機(絶滅危惧ⅡB類)にランクが下がりました。また、2012年時点で156もの種が絶滅の危機にあったものの、南スペインやポルトガルにおけるウサギの個体数の回復と、オオヤマネコが主に生息している地域の地主たちと生息地の確保を交渉するなどの努力によって、オオヤマネコの個体数は回復してきています。
「この世界的な絶滅の波は、私たちの惑星の生態系の、危険な状態をあらわす不吉な兆しです。」とIUCNの種の保存委員会霊長類専門家グループ会長であるミッターマイヤ-は言います。
「一方で、スペインオオヤマネコの成功例は、保全家と地元のコミュニティーが協力しあえば、流れを変えることもまた可能だということを証明しています。」
関連記事
・That’s a RAP: On the ground with ‘an ecological SWAT team’
・Why do we need species? Fighting climate change, for one
・A mysterious island reveals its secrets — and new species
コメント
コメントを投稿
ご感想やご意見をコメントしてください。