2016年2月22日月曜日

シンポジウム「池上彰と考える気候変動と森林保全」に参加して(2)


1/27(水)に開催された、日経BP社主催の「池上彰と考える気候変動と森林保全」に関するシンポジウム。
今回のブログでは、森林保全の進め方について議論した、第二部の様子をお伝えします。

 第二部、「森林保全について考える」ではCIジャパンの代表理事 日比保史をはじめとして、森林総合研究所REDD研究開発センター 松本光朗氏、住友林業 佐藤裕隆氏、JICA
宍戸健一氏の、森林保全に関わる方々が登壇しました。登壇早々、途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減と森林炭素ストックの保全及び持続可能な森林経営ならびに森林炭素ストックの向上 REDD+(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries:+Conservation of Forest Carbon Stocks, Sustainable Management of Forest, Enhancement of Forest Carbon Stocks in Developing Countries )が判りにくいと池上氏から言われてしまうなど少し大変な幕開けでした。

 CIジャパンの日比は、CIのビデオシリーズ「Nature is Speaking~自然は語る~」 の中から「熱帯雨林 」を紹介し、「自然は、人間を必要としない。人間には、自然が必要。」という熱帯雨林からのメッセージを伝えました。また、途上国の 現地の人々にとっての森林の重要性、森林保全において現地の人々が果たす役割の重要性とそこでの取り組みについて紹介しました。

 松本氏はパリ協定の炭素の人為的な吸収と人為的な排出の均衡を目指すという目標の達成のために、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)で示されている3つの施策、①低炭素エネルギーの導入、②CCS(二酸化炭素の回収・貯留技術)、③回収・貯留付きのバイオマス発電(BECCS) を紹介し、デメリットを考慮しないままの大規模植林の実現可能性を危惧しました。大規模植林による単一のプランテーション化などを実行によるデメリットについて研究しないまま行うことは危険であり、その前に、既存の森林を守り、吸収を増やすことが重要だと強調しました。その上で、森林を取り巻く現地の人々の生活を考え、森林から得られる恵みの大切さを知ってもらうための能力開発の重要性も各パネリストが強調しました。

CIジャパンの日比から、現在の国際社会が、農業を進めたい現地の人々と、そこから供給される、例えばパームオイルやアサイーなどを消費したい日本を含めた消費国によって結果的に森林減少を促進する構図になっており、日本はいわば途上国から「森林破壊を輸入」しているとしました。また、日本の消費者が現在どのようなことが途上国に起こっているかを知り、その上で、どのような製品を買い求めるかを判断するための情報の提供の大切さ、例えばアグロフォレストリーで持続的に生産されたコーヒーやアサイー、カカオなどが、環境を守るとともに現地人々の生活の支えになることを 知ってもらうことの大切さについても触れました。さらに、一時国内の森林率が2割まで減ったが、森林で行われるエコツーリズムで生まれる利益が高いという価値観の向上を図り、現在では森林率が5割まで回復するとともに、高い経済成長も実現しているコスタリカの事例を挙げました。

 上記のようなアグロフォレストリーやエコツーリズムから得られる経済効果のように、現地の人々が森林からの恵みを感じられるような施策が求められます。その上で、現在、日本の森林は木材利用が減っているために荒廃していることから、そのような森林をしっかりと管理し、正しく使うことで、国内での木材供給を高め、途上国の森林伐採を減らす重要性なども議論されました。
 国内林、国外林を扱う住友林業の佐藤氏は、森林を守る上で重要なことは、①人、②お金、③ノウハウの3つであるとし、その中でも、お金の部分に関しては民間企業の役割が大きいと話しました。日本には人工衛星のような技術があり、日本で生まれる技術をいかし貢献していく取り組みが考えられます。また、違法伐採は確実に取り締まるべきだと議論されました。


 森林を守るために日本の人々ができることは何か、と池上氏からCI ジャパンの日比が問われ、「現地の人々も、森林からの恵みで生活をしているので、それを一方的に禁止するのは違う。それは、池上さんが、明日ジャーナリストをやめてくださいと突然言われることと同じ。もし自分だったらと考え、寄り添う気持ちが何よりも大切。その上で、森林を守りながらも現地の人たちの生活や生計も向上するようなアグロフォレストリーによって生産された商品を選ぶことは日本の人々次第。」と話しました。私は、その言葉にとても共感しました。現実を知ることと、それを受け止め行動すること、何より、それを受け止められる教養のようなものを持ち合わられる人が必要なのではないでしょうか。

 最後に全体のまとめとして、森林保全も前半と同じように「筋トレ」のような要素が必要であると池上氏は話しました。ただ保護と言って守る仕組みを作るだけでなく、現地の人々に寄り添い、時には負荷のようなものをも乗り越えることで問題解決へ前進するということです。
 
池上氏のナビゲーションはさすがなものであり、パネリストの方々の知見をよく引き出していたと思います。今回のように、メディアで活躍する方々が適切に関与することで、気候変動を問わず、社会的に環境問題への関心が高まることを私は期待します。

 今回、池上氏は「筋トレ」と表現しましたが、パリ協定を始めとする国際的な視点から日本の課題を考えること、熱帯雨林の保全のように、現在の日本の生活から国外の課題を考えること、この2つの方向性を持ち合わせ、今こそ、国、社会、個人、様々な立場から「筋トレ」の様に徐々にでも問題解決に向けて動き始める時ではないでしょうか。


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