中国南西部山岳地帯におけるアグロフォレストリー事業(2015年4~6月)


のプロジェクトは、ダイキン工業の”空気をはぐくむ森”プロジェクトの一環として、ダイキン工業の支援により行っている取り組みです。この記事はダイキン工業へ提出したレポートを編集したものです。


プロジェクトサイトでの基礎調査

生物多様性と炭素貯蔵についての基礎調査を4月に行いました。中国科学院と西華師範大学の専門家の指導により、プロジェクトエリアだけでなく、その周辺の幼木林の鳥類や昆虫類のデータも集めました。データは、アグロフォレストリーシステムが導入された後のものと比較して、そのエリアの生物多様性が影響を受けたかどうかを調べるするために使われます。自然林、幼木林、また今後アグロフォレストリーが導入される可能性のある潅木地の三種類の土地の炭素貯蔵の基礎データが集められました。各土地のプロジェクト前後の炭素貯蔵量を比較することで、異なる生態系での炭素貯蔵量の変化がわかるようになります。


   
昆虫採集

炭素貯蔵量調査

アグロフォレストリー工事継続中!

アグロフォレストリーシステムの工事が続いていますが、予定地のほぼ全域がきれいに整えられました。土地改良のためのとうもろこしや大豆、雑草が生えてこないようにするための植物が植えられています。初めての大豆の収穫は7月末の予定です。化学肥料や農薬は使いません。オーダーメイドの害虫駆除用ライトや粘着トラップを試験的に取り入れて、効果を試しています。

大豆を植えている様子

ガンプ村の小学校で環境教育
ガンプ村唯一の小学校で、環境学習が行われました。人間と生態系、その中でも特に森林との関係に焦点を当てた学習です。ビデオを見たり、ゲームや実験をしたりして、自分たちの生活にとっての森林の重要性と、どうすればそれを健全に保てるかを学びました。学習のまとめとして、子どもたちは絵を描いたり、伝統的な切り絵を用いて、自分たちが思う健全な森のイメージを表現しました。
「クモの巣ゲーム」を楽しむ子どもたち
切り絵で作った森を見せる生徒たち

コミュニティとの保全契約
地元コミュニティと数回にわたって話し合い、保全契約の内容が決まりました。詳細な評価基準やコミュニティの責任が明確になりました。理県の環境保全森林局が、モニタリングと評価の責任をもちます。いよいよ、保全契約を通じた取組みが始まります!

アグロフォレストリーシステムの計画の改善
私たちと成都農林研究所のパートナーは、地元政府の担当者や住民たちと、アグロフォレストリーシステムの計画をどのように土地の現状に合わせて改善するか話し合いました。最新の計画を作成して理県に送り、道路や電気設備、豚小屋の工事をサポートする基金に応募します。
アグロフォレストリーデモンストレーションエリアの概観

コミュニケーション
基礎調査とアグロフォレストリーシステム建設過程の写真とビデオや、ガンプ村での環境学習の様子が、プロジェクトのニュースレターや紹介ビデオ用に撮影されました。

今後の予定
アグロフォレストリーシステムの工事を完成させます。アグロフォレストリーやエコフレンドリー農業を行っている農場へのスタディツアーを計画したり、果樹の害虫駆除のトレーニングもする計画です。異なったタイプの土地における水の損失をモニターする設備を造り、プロジェクトの記録やビデオ撮影のための機材の準備もすすめます。7月のオープニングセレモニーと保全契約への署名の様子は、次回ご報告します!

チベットの切り絵
チベットの様々な伝統的な芸術の中でも、切り絵は知られざる面が多い分野です。民芸品の形をとっていますが、自然への深い宗教心があらわれています。伝統的な図案は、地球、太陽、月、星が組み合わされて、チベット仏教の宇宙のとらえ方を表しています。その他にも、仏教の8つの縁起のよいシンボル、傘、二匹の金魚、ほら貝、蓮の花、勝利の旗、宝石鉢、法輪、宝結びが図案になったものもよくあります。一方で、動物の図案は、それがチベット仏教における最大のタブーである動物を殺めることを暗示するため、伝統的には禁じられています。今日でも、チベットの多くの地域で、神社や祭壇を飾るために切り絵が広く使われています。
  

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