蝶が教えてくれる環境の変化


身のまわりの蝶が減った、と感じたことはありませんか?


アサギマダラ(ぐんま昆虫の森)



今回CIジャパンがカンボジアで実施している蝶飼育プロジェクトの一貫として、山梨県富士吉田市の富士山自然保護センター、環境省生物多様性センター、そして韮崎市の甘利山倶楽部で蝶の保全活動や調査を行っている方々を訪問させていただきました。

蝶飼育プロジェクトは、蝶の飼育には食草の育つ環境が必要であることから、環境保全、環境教育、そして女性が収入を得られる仕組みづくりとして実施されています。



蝶の減少の原因や課題についてお話しを伺う中で、蝶が環境の変化の指標となること、そして蝶の減少は、私たちの生活に影響を及ぼす課題であることを実感しました。

そのような蝶の減少が意味する、3つの課題について述べたいと思います。




1.里山保全

日本は国土の2/3を森林が占め、そのうち人工林は森林全体の約40%を占めています。人工林は継続的に手を入れる必要がありますが、林業が低迷し、間伐されずに荒廃した結果、「緑の砂漠」と呼ばれ、生物多様性の無い環境になっています。蝶の育つ環境には定期的な草刈りや火入れなどによる里山などの草原環境が必要になります。



2.気候変動

温暖化の影響による気温や食草の変化に伴い、南方性の蝶が北上し生息地を拡大する一方で、高山性の蝶は生息地を失い減少する傾向が見られます。また、積雪量の減少からシカの越冬が容易になり、3のような食害が発生しています。



3.シカの摂食による食草の減少

蝶の成虫は花の蜜を好みますが、温暖化の影響で越冬が容易になったためシカが急増し、蝶の食草である草花をほとんど食べ尽してしまい、蝶の生育環境が失われています。シカによる食害を抑えるために鹿柵や狩猟が実施されているものの、対策がボランティアによる活動では人員や資金面で追いついていません。



以上のように、蝶の減少は昆虫や動物だけではなく、人間にとっても生活しづらい環境に変化していることを意味します。このような課題に対して、里山の保全活動が有志ボランティアの方々によって実施されています。山梨県西部の甘利山にあるつつじ苑を拠点に活動をしている甘利山倶楽部の方々は、甘利山のつつじ保全の為に1ヘクタールに鹿柵を設置し、定期的な草刈りや生息している蝶をまとめた写真集を作成。加えて希少な植物の盗掘に対処する為のパトロールや環境教育も行っています。ボランティアでの活動なので資金面や人手不足などの課題もあるとのことでしたが、「自分たちの生活につながっているから」と、みなさんとても温かく、楽しそうに活動されていました。


実際に甘利山に登ってみると、美しい里山環境で登りやすく、眺めもとても良かったので、美しい山には手を入れて下さっている方々の存在に感謝しなければならないと感じました。6月頃につつじの花が咲くそうなので、是非伺ってみてください。また、可能であれば保全活動にも参加したいです。


甘利山倶楽部のみなさんと

インターンとしての活動は短期的ですが、地球環境の変化はこれから人類が向き合わなければならない課題だと思います。訪問を通じて、里山保全の持続可能なサイクルを生み出すことが必要だと感じました。今後も私自身が地球の自然の一部として、継続的に里山の保全活動に関わっていきたいです。



CIジャパン インターン生 牧瀬里桜

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