ゾウが最高な母親である3つの理由


母親ゾウは2年近くも赤ちゃんゾウを身ごもります。赤ちゃんゾウが産まれると、赤ちゃんに最適な栄養を含んだ母乳を与えて育て、生きていくために必要なスキル、厳しい状況下で群れを率いる方法を教えます。

ゾウたちは、母親ゾウたちが物事をよくわかっていることを認識しているようです。なぜならゾウの群れは母系社会だからです。最年長のメスゾウは、群れの社会的ネットワークを統率し、一家が生き延びていくために重要な役割を果たしています。

ゾウの群れが、みな幸運に恵まれているわけではありません。母親ゾウが象牙を狙った密猟など人間との対立によって命を落としてしまうと、残された若いゾウは生き延びることが難しくなってしまうのです。コンサベーション・インターナショナルのVR映像「My Africa」でも取り上げている、ケニアのレテティ・エレファント・サンクチュアリ-は、アフリカ初のコミュニティ主導型ゾウの孤児院です。孤児となったゾウを野生に帰すまで世話する取り組みは、絶滅危惧種であるゾウたちを守る希望の兆しとなっています。

もちろん、一番良いのは、密猟や争いを止めて、子ゾウが地球で最も忙しい母親ゾウから直接生きる術を教えてもらうことです。

なぜゾウが最高な母親なのか、3つの理由についてご紹介します。

母親ゾウは最高の「食事」を生み出す

赤ちゃんゾウは、生まれてから毎日2ポンド(907グラムほど)成長します。母親ゾウの母乳は離乳期間まで赤ちゃんの成長に合わせ4回も成分が変わります。

ケニヤのレテティ・エレファント・サンクチュアリでは、孤児ゾウたちが必要な栄養をしっかり摂ることができるよう、飼育員がゾウごとに特別なミルクを配合します。飼育員はゾウたちが健康でいられるように一日8回食事を与えています。母親ゾウの母乳の代わりとなるのは人間の赤ちゃんの粉ミルク。タンパク質、脂肪、ビタミンがたっぷり含まれています。

歯が生え始める痛みが強い時期には、赤ちゃんの痛みを和らげるために母親ゾウの母乳も変わります。母親ゾウは、歯が生えてきた赤ちゃんを助けるために抗炎症作用がある植物を食べます。サンクチュアリでは、飼育員が地域の植物に関する知識を生かして母親ゾウが与えるものと同じ種類の栄養分を模倣した自然の薬を赤ちゃんに与えています。

母親ゾウは最高の教師

ゾウたちは食べることのできる植物の選び方、捕食者から身を守る方法、険しい斜面をどう乗り越えたらいいのかなど、全てを母親から学びます

レテティサンクチュアリでは、飼育員が若いゾウを自然環境に適応させることで、最終的に野生に帰すことを目指しています。しかし人間である飼育員だけではどうしても教えることができないことがあります。

そこでシャバの出番です。

サンクチュアリ最年長のメスゾウ、シャバは15ヶ月のときに親が密猟者に殺され、サンクチュアリに来ました。今3歳ほどになったシャバは、レテティの群れのメスのリーダーとして毎日茂みの周りを歩くときに群れを率いて、新しい孤児ゾウが来ると最初に挨拶をする役割を果たしています。そのおかげで孤児ゾウたちもメスのロールモデルを学ぶことができるのです。

メスのリーダーは最高のリーダー

干ばつによっていつもの水飲み場が乾ききってしまうと、最年長のメスゾウは、何百キロも旅をして何年も前に水があった場所まで群れを率います。メスのリーダーは場所をしっかりと覚えているからです。危機的な状況下では、年配の、大きなメスのリーダーがいる群れほど記憶力が良いので、生き延びる確率が高いのです。
場合によっては水源がもうなくなってしまっていたり、人間の開発に進行を邪魔されてしまうこともあります。衛星機能がついた首輪をゾウにつけ、行動を追うことで、自然保護活動に取り組んでいる人々はゾウたちの水飲み場を確保し、人間との衝突を最小限にするためにゾウについて深く学んでいます。

衛星機能のある機器によって、ゾウの行動と移動がリアルタイムで分かるようになりました。ゾウの生態行動を調べるためにデータを活用するだけでなく、こういったテクノロジーはゾウの命を救うことにもつながります。特定のゾウが不自然な形で動かなくなった時、ゾウが密猟者に襲われている可能性があります。研究者は近くでパトロールをしているレンジャーにメッセージを送って、ゾウに危害を加えようとしている密猟者を阻止することができます。


食事を与えること、教えること、導くこと。すべては母親ゾウの日常なのです。


冒頭写真:赤ちゃんゾウと母親ゾウ。ケニア、マサイマラ国立保護区にて。(© Jon McCormack )
当記事はCI本部ブログ3 reasons elephants make the best mothers を日本向けに和訳・編集したものです。

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