日本の支援とカンボジアの森林減少問題をつなぐ


気候変動ディレクターのYです。今週はカンボジアに出張しています。オリンピックで日本女子サッカーがカナダを、男子がスペインをくだし、日本中が沸いている事も、カンボジアにいると全く分かりません。因みに、カンボジアの人たちは、まだ猫ひろしさんがオリンピックでカンボジア代表としてマラソンに出場できると思いこんでいたり、オリンピックに関してはかなりの温度差です。その温度と言えば、今週は東京も大変暑いようですが、プノンペンの暑さの比較ではありません。外にいると、頭が焼け、こげつきそうです。

 さて、そんなカンボジアの新聞の一面で大きく報道されることが多いのが、国内に残された貴重な森林の伐採に関わる問題です。カンボジアのような最貧国では、気候変動の要因となる温室効果ガス排出量の多くが、森林が減少する事で、森林に蓄積されていた二酸化炭素(CO2)が大気中に放出される事で起こります。我々は現在、日本で発電に関わる排出量を論じていますが、カンボジアの山奥の村々には、電気は通っていません。そして、人々は原生林が与えてくれる様々な自然資源に依存し、時には生活のためにやむを得ず森林を開拓し、農地を拡大することで、毎日必死に生活しています。
 今回、CIジャパンでは減少を続けるカンボジアの森林を、現在気候変動枠組み条約で議論されている「途上国の森林減少及び森林劣化に由来する排出の削減(REDD+)」を活用することによって、同国で森林を守るための経済的インセンティブを作り出すプロジェクトに挑戦しています。
 CIは、世界全体で約40カ国、主に途上国を中心に活動しています。そして、その国の活動を担うほとんどのスタッフが、その国の人々です。そんな中、我々CIジャパンのスタッフは、様々な国に支援を実施するドナー国側のスタッフとして、様々な途上国のプロジェクトや政策立案への支援をつなぐため、CIの途上国プログラムと連携して活動しています。
 私たちの今回のカウンターパートであるCIカンボジアも、カンボジア人を中心とした精鋭隊です。NGOとして、森林局と正式に契約を締結しながら、森林局のスタッフとともに保護森の設定やパトロール活動、コミュニティへの生計支援等に取り組んでいます。そして現在、CIジャパンとともに日本の支援によりカンボジア最大の低地常緑林をREDD+のメカニズムにより保護するための計画に取り組んでいます。今回は、今後の活動のブリーフィングを兼ね、CIカンボジアのスタッフとともに会議も実施しました。一方、翌日にまさに森林保全の現場の一つあるカルダモン保護区に新設された、レンジャーステーションのオープニング・セレモニーが重なっていたため、多くのスタッフが「会議に出れなくてごめんね」、と言いながら山奥のフィールドに旅立って行きました。フィールド・プログラムのスタッフの強靭な体力と知見には、いつも敬意を覚えます。私たち日本人の生活は、もはやこのような途上国の資源なしには成り立ちません。カンボジアにも、続々と日本企業が進出してきています。資源のみならず、途上国に工場を作り、優秀な人材の貢献を得ることで、我々日本人の生活は成り立っています。
 そんな途上国に残された森林の保全は、もはや地球の気候変動問題の中心課題となっています。毎年、17%の温室効果ガスが、途上国の森林減少により排出されています。今年一年間、カンボジア人の方々と協議を重ね、カンボジアの方の視点で森を守って行くための方法を作り出し、日本の政策に反映させることが私たちの目標です。

【写真:CIカンボジアスタッフとの会議】

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