世界銀行のユースプログラム「健全な開発のためのユースの役割」に参加して
インターン横山です。
6/20に行なわれた世界銀行のユースプログラム「健全な開発のためのユースの役割」に参加してきました。タマール・アティンク人間開発総局副総裁の来日に合わせて、学生との意見交流を目的にしたイベントとなっていました。
http://go.worldbank.org/GJ65I9J850
主な内容は以下の3点でした。
・現在の世界銀行の活動
(特に2011年以降は 「 Education (教育)」分野を重視するよう方向転換を図ったこと)
・ユースの役割
(全人口の多くを若者世代が占めることや、若者の教育と雇用の問題などを例にして意義を再認)
・JANICの学生プレゼンテーターによる発表
(ITを利用した障がい者支援の取り組みと、そうした技術を途上国に活かすことへの課題)
環境問題については、ユース向けとは別のプログラムが用意されていたためか、リオ+20での取り組みには触れませんでした。あくまでも環境問題は 「Health (健康)」分野のひとつの要素として考慮しなければならない、という話でした。“人間のための開発”を掲げている世界銀行にとっては包括的な視点を尊重しているのでしょうか。
CIジャパンの活動に関わる分野での発見はありませんでしたが、せっかくですので、これまで世界銀行がリオ+20に対して掲げた6つのメッセージを振り返ってみたいと思います。
1:包括的なグリーン成長(Inclusive Green Growth)
「万人のためのグリーン成長」として、貧しい国々にも配慮した資源管理のインセンティブを与える必要があるという主張です。環境を汚染させる産業の在り方を見直し、豊かになって、綺麗な空気に戻す。そういったこれまでの経済成長パターンを変えていかなければならないとのことです。
2:自然資本会計(Natural Capital Accounting)
「自然資本を含めた国民経済計算」として、これまではGDPだけで経済活動の規模を測っていましたが、これからは自然資本の価値も考えていこうという主張です。もし実現できればCIがプッシュしてきた「グリーン経済」を考えるにあたって強力な指標となるのではないでしょうか。
3:海洋(Oceans)
海洋を強調したのは、食糧・汚染といった視点の下で海洋が危機的状況にあることの表れでしょう。今年2月に「海洋のためのグローバル・パートナーシップ」という今後10年間の枠組みも採択されています。未知の海洋生物は100万種以上とも言われており、早急な対応が求められています。
4:土地利用(Landscapes)
土地をいかに利用するかという問題も挙げられています。具体的には、農業や森林、淡水を取り巻く議論の重要性が指摘されています。なお、日本は、里山イニシアティブの下で、日本の里山をランドスケープモデルとして発信する立場を取っています。
5:都市開発(Urban Development)
途上国の経済発展に伴った農村部から都市への人口流出を問題視しています。世界の人口が70億を超えたニュースはまだ記憶に新しいですが、その大部分が途上国の人々であり、スモッグ・渋滞・スラムなどの問題と切り離せません。スマートシティへの転換を模索する必要があるようです。
6:持続可能なエネルギー(Sustainable Energy)
今の日本が直面している議論でもあります。世界銀行は現行のエネルギー問題を解決するために資金・市場を活用する姿勢を見せています。日本では、原発を巡って様々な立場がありますが、これを機にエネルギーの未来についてしっかりと考えたいものです。
以上6点が世界銀行がリオ+20に向けて発信したメッセージのポイントと補足説明(&コメント)となります。いずれも重要な論点ですが、いざ具体的に何かに取り組もうとすると、非常にハードルが高いように感じます。
しかし、20年前のリオサミットに比べてどうでしょうか。少しずつではありますが、地球環境を改善するための動きが大きくなっているような気がします。
また、ユースプログラムにて「常に若者が新しい世界を描き、実現してきた」というニュアンスの話がありました。ユースに限らない話ですが、日頃から個人が“これからの地球環境のあり方”を考えることで、世界が変わっていくのではないでしょうか。
あわただしい日々の生活に埋もれがちな「地球規模の問題」「世界の未来」について、改めて自分の立場を考える機会にしたいと思います。
※参考
High Stakes at Rio: The World Bank's Key Issues for Rio +20
http://go.worldbank.org/RY97L0WJX0
6/20に行なわれた世界銀行のユースプログラム「健全な開発のためのユースの役割」に参加してきました。タマール・アティンク人間開発総局副総裁の来日に合わせて、学生との意見交流を目的にしたイベントとなっていました。
http://go.worldbank.org/GJ65I9J850
主な内容は以下の3点でした。
・現在の世界銀行の活動
(特に2011年以降は 「 Education (教育)」分野を重視するよう方向転換を図ったこと)
・ユースの役割
(全人口の多くを若者世代が占めることや、若者の教育と雇用の問題などを例にして意義を再認)
・JANICの学生プレゼンテーターによる発表
(ITを利用した障がい者支援の取り組みと、そうした技術を途上国に活かすことへの課題)
環境問題については、ユース向けとは別のプログラムが用意されていたためか、リオ+20での取り組みには触れませんでした。あくまでも環境問題は 「Health (健康)」分野のひとつの要素として考慮しなければならない、という話でした。“人間のための開発”を掲げている世界銀行にとっては包括的な視点を尊重しているのでしょうか。
CIジャパンの活動に関わる分野での発見はありませんでしたが、せっかくですので、これまで世界銀行がリオ+20に対して掲げた6つのメッセージを振り返ってみたいと思います。
1:包括的なグリーン成長(Inclusive Green Growth)
「万人のためのグリーン成長」として、貧しい国々にも配慮した資源管理のインセンティブを与える必要があるという主張です。環境を汚染させる産業の在り方を見直し、豊かになって、綺麗な空気に戻す。そういったこれまでの経済成長パターンを変えていかなければならないとのことです。
2:自然資本会計(Natural Capital Accounting)
「自然資本を含めた国民経済計算」として、これまではGDPだけで経済活動の規模を測っていましたが、これからは自然資本の価値も考えていこうという主張です。もし実現できればCIがプッシュしてきた「グリーン経済」を考えるにあたって強力な指標となるのではないでしょうか。
3:海洋(Oceans)
海洋を強調したのは、食糧・汚染といった視点の下で海洋が危機的状況にあることの表れでしょう。今年2月に「海洋のためのグローバル・パートナーシップ」という今後10年間の枠組みも採択されています。未知の海洋生物は100万種以上とも言われており、早急な対応が求められています。
4:土地利用(Landscapes)
土地をいかに利用するかという問題も挙げられています。具体的には、農業や森林、淡水を取り巻く議論の重要性が指摘されています。なお、日本は、里山イニシアティブの下で、日本の里山をランドスケープモデルとして発信する立場を取っています。
5:都市開発(Urban Development)
途上国の経済発展に伴った農村部から都市への人口流出を問題視しています。世界の人口が70億を超えたニュースはまだ記憶に新しいですが、その大部分が途上国の人々であり、スモッグ・渋滞・スラムなどの問題と切り離せません。スマートシティへの転換を模索する必要があるようです。
6:持続可能なエネルギー(Sustainable Energy)
今の日本が直面している議論でもあります。世界銀行は現行のエネルギー問題を解決するために資金・市場を活用する姿勢を見せています。日本では、原発を巡って様々な立場がありますが、これを機にエネルギーの未来についてしっかりと考えたいものです。
以上6点が世界銀行がリオ+20に向けて発信したメッセージのポイントと補足説明(&コメント)となります。いずれも重要な論点ですが、いざ具体的に何かに取り組もうとすると、非常にハードルが高いように感じます。
しかし、20年前のリオサミットに比べてどうでしょうか。少しずつではありますが、地球環境を改善するための動きが大きくなっているような気がします。
また、ユースプログラムにて「常に若者が新しい世界を描き、実現してきた」というニュアンスの話がありました。ユースに限らない話ですが、日頃から個人が“これからの地球環境のあり方”を考えることで、世界が変わっていくのではないでしょうか。
あわただしい日々の生活に埋もれがちな「地球規模の問題」「世界の未来」について、改めて自分の立場を考える機会にしたいと思います。
※参考
High Stakes at Rio: The World Bank's Key Issues for Rio +20
http://go.worldbank.org/RY97L0WJX0