京都スタジアム(仮称)整備事業についての意見(アユモドキ存続のために)
以前もこちらのブログで、京都スタジアム(仮称)整備事業とアユモドキの存続の危機について書きました。先週、関連のパブコメが行われ、CIジャパンも意見を提出しました。委員会が開かれた後になってしまいましたが、今後の議論の何らかの参考になればと思い、アップいたします。
「京都府公共事業評価に係る第三者委員会」事務局 御中
公共事業評価に係る第三者委員会 評価予定案件として、京都スタジアム(仮称)整備事業について意見が求められているので、下記の通り、当方の意見を提出いたします。
コンサベーション・インターナショナル・ジャパンは、本年3月4日付けで代表理事名にて本件に関する意見書を京都府知事、亀岡市長、京都府公共事業評価に係る第三者委員会委員長・各委員宛に提出させていただきました。その中でもっとも強調したのは、「アユモドキ等への影響を最小化し、生息地の保全を確実なものとするために必要なデータや対策の方法論について未だ解明、検討されるべき課題が残されている状況と理解しています。当該地域の世界的な重要性に鑑み、十分な科学的情報を収集し、自然下で生息する絶滅危惧種の個体群の存続が確保されることを期待します。」ということです。意見募集に添えられた資料を拝見した後も、同様の意見です。
また、3月13日には、国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会の下にある淡水魚類専門家グループ(FFSG)の技術オフィサー、同世界保護地域委員会の淡水分野タスクフォースの共同代表、ならびに生物多様性観測ネットワーク(GEO BON)の淡水生態系変化に関するワーキンググループの共同議長を務めるイアン・ハリソン博士からの意見を翻訳を沿えてお届けしました。博士が強調したのは下記です。
• IUCNがまとめる世界のレッドリストでは、アユモドキは「情報不足(DD)」(※)と記載されていますが、これは1996年の情報であり、現状を表していない。これに対し、「ここに、アユモドキは世界レベルで絶滅が最も危惧される種であることを強調いたします」とし、「すでに極度に狭い地域にしか生息しなくなっている種にとって、いかに些細な脅威であろうと非常に深刻です。さらに、この種への脅威を増大させることは、全世界で合意されている『2020年までに、既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され、また 特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される』という愛知目標12に反することになります」と指摘。
• 「アユモドキについては、生息環境のすぐそばの開発事業が個体群に対して影響を与えないと結論付けるには、個体と生息地のさらなるモニタリングが必要」と指摘。
• スタジアム建設の件は、種の絶滅を引き起こす脅威になると指摘。一方、国際的に推奨されるプロトコルや自然の保護と持続可能な利用について合意されている目標を尊重しながら、保全のための方針が早期になされれば、良識ある地元およびより広域の意思決定が国際政策を正しい方向に導くモデルとなる、と期待。この地にスタジアムを建設しないという正しい判断を求る。
※IUCNレッドリストにおけるアユモドキの評価については、更新作業がなされる予定であること、付記しておきます。
事業の及ぼし得る影響について、予防原則に基づく慎重な検討を望みます。従って、野外の実証実験とその実験結果に基づくアユモドキ等への基本的な影響評価がまだ実施されておらず、個体群の絶滅が強く危惧される現段階で、スタジアムの建設に繋がる京都府の予算を計上すべきではないと考えます。保全対策の検討に十分な経費を予算化し、実証実験や科学的な影響評価や保全対策の検討をさらに進めるべきと考えます。
アユモドキだけが重要なのではなく、アユモドキが生存できる自然(長年にわたる地域の方々との関わりも含め)が残されていることが重要と考えます。自然を守ることは人間・社会を守ることであることが認識され、悪影響の懸念が払拭されない段階での事業費の予算化は見送られることを求めます。
「京都府公共事業評価に係る第三者委員会」事務局 御中
一般社団法人コンサベーション・インターナショナル・ジャパン
代表理事 日比保史
生態系政策マネージャー 名取洋司
公共事業評価に係る第三者委員会 評価予定案件として、京都スタジアム(仮称)整備事業について意見が求められているので、下記の通り、当方の意見を提出いたします。
コンサベーション・インターナショナル・ジャパンは、本年3月4日付けで代表理事名にて本件に関する意見書を京都府知事、亀岡市長、京都府公共事業評価に係る第三者委員会委員長・各委員宛に提出させていただきました。その中でもっとも強調したのは、「アユモドキ等への影響を最小化し、生息地の保全を確実なものとするために必要なデータや対策の方法論について未だ解明、検討されるべき課題が残されている状況と理解しています。当該地域の世界的な重要性に鑑み、十分な科学的情報を収集し、自然下で生息する絶滅危惧種の個体群の存続が確保されることを期待します。」ということです。意見募集に添えられた資料を拝見した後も、同様の意見です。
また、3月13日には、国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会の下にある淡水魚類専門家グループ(FFSG)の技術オフィサー、同世界保護地域委員会の淡水分野タスクフォースの共同代表、ならびに生物多様性観測ネットワーク(GEO BON)の淡水生態系変化に関するワーキンググループの共同議長を務めるイアン・ハリソン博士からの意見を翻訳を沿えてお届けしました。博士が強調したのは下記です。
• IUCNがまとめる世界のレッドリストでは、アユモドキは「情報不足(DD)」(※)と記載されていますが、これは1996年の情報であり、現状を表していない。これに対し、「ここに、アユモドキは世界レベルで絶滅が最も危惧される種であることを強調いたします」とし、「すでに極度に狭い地域にしか生息しなくなっている種にとって、いかに些細な脅威であろうと非常に深刻です。さらに、この種への脅威を増大させることは、全世界で合意されている『2020年までに、既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され、また 特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される』という愛知目標12に反することになります」と指摘。
• 「アユモドキについては、生息環境のすぐそばの開発事業が個体群に対して影響を与えないと結論付けるには、個体と生息地のさらなるモニタリングが必要」と指摘。
• スタジアム建設の件は、種の絶滅を引き起こす脅威になると指摘。一方、国際的に推奨されるプロトコルや自然の保護と持続可能な利用について合意されている目標を尊重しながら、保全のための方針が早期になされれば、良識ある地元およびより広域の意思決定が国際政策を正しい方向に導くモデルとなる、と期待。この地にスタジアムを建設しないという正しい判断を求る。
※IUCNレッドリストにおけるアユモドキの評価については、更新作業がなされる予定であること、付記しておきます。
事業の及ぼし得る影響について、予防原則に基づく慎重な検討を望みます。従って、野外の実証実験とその実験結果に基づくアユモドキ等への基本的な影響評価がまだ実施されておらず、個体群の絶滅が強く危惧される現段階で、スタジアムの建設に繋がる京都府の予算を計上すべきではないと考えます。保全対策の検討に十分な経費を予算化し、実証実験や科学的な影響評価や保全対策の検討をさらに進めるべきと考えます。
アユモドキだけが重要なのではなく、アユモドキが生存できる自然(長年にわたる地域の方々との関わりも含め)が残されていることが重要と考えます。自然を守ることは人間・社会を守ることであることが認識され、悪影響の懸念が払拭されない段階での事業費の予算化は見送られることを求めます。
(以上)
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