中国南西部山岳地帯におけるアグロフォレストリー事業(2014年7~9月)
南西部山岳地帯の紹介
中国南西部の山岳地帯には、2千メートル以下の渓谷もあれば、7千5百メートルを超える山々もあります。このような複雑な地形と気候が、多様で豊かな生態系を育んでいます。ジャイアントパンダやレッサーパンダはこの山岳地帯の固有種です。
プロジェクトの概要
私たちは、地元の人々が森林保全に積極的に参加し、気候変動の悪影響に適応できるようになるため、アグロフォレストリーと呼ばれる取り組みを中心に活動を行います。アグロフォレストリーは、林業と農業技術を結びつけることによって、より多様で、生産性と収益性が高く、健全で持続可能な土地の利用を目指すものです。
プロジェクトでは、まず、活動を行う対象地を選びました。そして、活動の結果、土地の生産性がどのように変化したかについてデータを収集し、成果を評価する計画です。さらに、広報キャンペーンを行って、気候変動や環境に負荷の少ない農法について人々の意識を高めていきます。
プロジェクトサイトを決定!
私たちは複数の候補地で現地調査を行い、地元の人々や政府機関と話し合いを行いました。その結果、四川省アバ県のガンプ村がプロジェクトの対象地に選ばれました。この村には、249世帯、959人のチベット族の人々が生活しています。
現地調査の様子
ガンプ村の様子
ガンプ村は2008年の地震で大きな被害を受けました。地震後、地元政府は、再植林を通した植生の回復に取り組み、エコツーリズムと野菜栽培を通した生計の建て直しに努めています。
再植林プロジェクトでは、絶滅の危機にあるアバ県固有の針葉樹(Minjiang Cypress)が植えられました。しかし、若い葉っぱの多くが地元の住民が飼育するヤギによって食べられています。地方政府は森の中でのヤギの放し飼いを禁止していますが、法律の執行には課題が残っています。
放し飼いのヤギたち
白菜畑
四川省の研究所と一緒に基礎調査を行い、その結果を踏まえてプロジェクト全体の計画を作りました。私たちはガンプ村に対して、1)住民が共同で管理する保全地域を作り、非木材の製品を開発すること、2)環境によりやさしいアグロフォレストリー活動について住民と一緒に考えること、3)農産物を販売するための組合の設立を支援すること、4)住民と一緒に、より持続可能で環境にやさしい農業活動を進め、森林への脅威を減らすこと、を提案しています。
また、生物多様性や土壌、水、気温、気候、社会経済状況に関するデータも集め始めています。
家畜の飼料を集める農民
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