スターバックスが業界の取り組みを変え始めた~最新のC.A.F.É. プラクティスレポートより~



本ブログは、CI本部ブログHuman Natureの”Coffee giant changing the sustainability game, report shows”を日本向けに和訳編集したものです。


コンサベーション・インターナショナルは、スターバックスの倫理的な調達プログラム、C.A.F.E.(Cofee And Farmer Equality)プラクティスがコーヒー業界において、分野をまたがり、想像以上の変化を引き起こしつつあることを、インパクトレポートで発表しました。

20年前にスターバックスとコンサベーション・インターナショナルが協働して開発したC.A.F.E.(Cofee And Farmer Equality)プラクティスは、自然を保全しながら、参加しているコーヒー農家や小規模農業に携わる人々にとって、より良い生活が提供されることを目的としたコーヒー豆生産及び調達のガイドラインです。このプログラムは2008年以降、 持続的に栽培可能なコーヒーの栽培面積を197%以上拡大し続けています。

スターバックスは利用するよりもさらに多くの影響をコーヒー業界へ与えています。例えば、同社は世界で供給されているアラビカコーヒーの約5%しか購入していませんでしたが、2015年にはその供給量の約18%がC.A.F.E.プラクティスによって生産されました。また、2017年のデータはC.A.F.E.プラクティスによって生産されたコーヒーが、世界の供給量の26%を占めていることを示しています。

さらには、C.A.F.E.プラクティスが実施されている23カ国では、計19,000 の土地を保全しています。このプログラム下で稼働している農場や工場では130万人もの労働者が雇われており、110万人の臨時労働者が最低賃金を上回っています。そして、2004年以降、C.A.F.E.プラクティスに従事している農場の99%がコーヒーを生産するために自然林を伐採していません。


最近の調査によると、需要の急増や気候変動の影響によりコーヒーの未来は、予測不可能であること分かっています。

他方、コンサベーション・インターナショナルの持続可能な市場と戦略担当のバイスプレジデントであるバンビ・セムロック は、前年度のC.A.F.E.プラクティス参加者の4分の3もの生産者が今年度もこのプログラムに参加しており、検証を受けた生産者の14%が改善していることなどから、C.A.F.E.プラクティスは順調に作用していると述べています。また、インパクトレポートはスターバックスの透明性の証拠になるだけではなく、同社による市場への並外れた効果についても述べています。


「スターバックスは、自社が購入するよりも多くのコーヒー、そして多くのコーヒー生産者に影響を与えていることは分かっています。そして、私たちはこの数字がとても重要な意味を示していることも分かっています。」とバンビ・セムロックは語っています。


また、スターバックスの倫理的調達プログラム担当ディレクターの、ケリー・グッドジョン氏はいいます。「私たちは、C.A.F.E.プラクティスが、コーヒーを栽培するための正しい方法だと信じています。そして、最終的に消費者がコーヒーを購入する行為そのものが、生産者にとって最高のサポートになるのです。」



理論から実践まで

持続可能な成長を遂げたコーヒーの生産者を評価し、報酬を与えるというスターバックスの一連の基準に関するアイディアは、誰もが“倫理的な調達”について考えもしなかった1990年代から、同社の中で根付いていました。

その後、スターバックスはコンサベーション・インターナショナルと協働して2004年に始動したC.A.F.E.プラクティスの前身となる基礎を発展させました。


C.A.F.E.プラクティスを用いることで、供給プロセスに入るコーヒーの経済的、社会的、そして環境的な側面を評価することができます。これらの側面は、供給プロセス全体の過程を考慮した200以上の社会的、経済的、環境的指標に対して評価されます。

現在までに、述べ23カ国のコーヒー生産者がプログラムに参加し、100万人以上の農家や農場労働者の所得や生活状況に影響を与えています。参加している農場では毎年、保全のために1210㎢を指定しています。スターバックスは2015 年にコーヒー全体の99%がこのプログラムを通して倫理的に調達されたことを発表し、同基準を達成する世界最大規模のコーヒー会社となりました。



次は何をするべきでしょうか?

次のステップは、インパクトレポートの調査結果を基にしているとセムロックはいいます。「私たちは、調査データが何を示しているのが、より深く考察したいと思っています。 また、どのように私たちがスターバックスの改善をサポートすることができるか考えることは、しいては業界全体の改善に繋がることだと信じています。」

これは、スターバックスによる環境業界への初の進出ではありません。同社は、パリで行われた2015年気候変動交渉の最中にロンチした、コーヒーを世界で初めて完全持続可能な農産物にすることを目指す、「サステイナブル・コーヒーチャレンジ」の創立メンバーです。チャレンジでは、持続可能なコーヒーの需要の増大と、「サステイナブル・コーヒーチャレンジ」への投資を促すために、生産者、トレーダー、ロースター、小売業者など、コーヒー業界全体から100以上の組織を集めています。

セムロックは、また、スターバックスやC.A.F.E.プラクティスのないサステイナブル・コーヒー・チャレンジは不可能だと述べます。

「私たちはC.A.F.E.プラクティスを信じています。また、コンサベーション・インターナショナルのロゴは、スターバックスのコーヒーパッケージに印字されています。私たちは我々のパートナーシップがこれからどう発展するのか、どうより良くできるのかを追求していきたいと思っています。」と彼女は語りました。


by BRUNO VANDER VELDE, Conservation International’s editorial director. 
June 13, 2018


翻訳協力:藤沢悠佳
編集:CIジャパン

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