気候変動が熱帯雨林に影響を及ぼす3つの原因


アマゾンに暮らす、ナマケモノ ©Lucas Bustamante

全ての人々が熱帯雨林に住んでいるわけではありません。しかし、全ての人々が熱帯雨林から恩恵を受けています。 

熱帯雨林は地球上の約半分の植物と動物の生息地であり、大気中の二酸化炭素を吸収するのに必要不可欠な役割を果たしています。この熱帯雨林を伐採することは、二酸化炭素を大気中に放出し気候変動を引き起こすことに繋がります。実際に、森林破壊は人為的に誘発される炭素排出量の約15%を占めていることが分かっています。

複数の研究結果は、気候変動が熱帯雨林を害していることを示しました。しかし、まだ希望はあります。Human nature熱帯雨林保全のためのインターナショナルデーに、 3つの問題点と将来性のある解決策を調査しました。この 3つについて紹介していきます。


1.気候変動は森林劣化を引き起こす

2050年までにアマゾンの気温は23度上がり、干ばつが激化することが予測されています。

コンサベーション・インターナショナルのアーリーワーニングシステム担当ディレクターのキャリン・テイラーは「明らかに、干ばつの激化は山火事の原因となり、それは森林地域におけるさらなる炎の拡大を引き起ことが懸念され問題となっています。」と語っています。

アマゾン川流域の研究では、気温上昇は1020%の降雨量減少を誘引すると予測されています。気温が上昇するにつれて、森林火災も増えます。熱帯雨林の年間降水量は通常2540mmですが、年々減少しており、結果的に連鎖反応を生みだしています。

「特にアマゾンの熱帯地方では、森林は燃え尽きることはないほど広大です。そのため、一度でも森林が燃えてしまえば 炎はどんどん拡大していき森林は劣化してしまいます。また、一度山火事の起きた森林は再び燃えやすくなってしまいます。火を防ぎ、森林の回復力を強化することで、森林の健全性を保ち、劣化を防ぐことがとても大切です」とタボラは語ります。

グッドニュース:テイラーは森林火災の監視と警告のためのシステムである Firecastを開発しました(米航空宇宙局(NASA)が資金を提供) Firecastは人工衛星を利用して危険な火災気象条件に注意を喚起し、火災が広がる前に火災を検出します。「この人工衛星は火を検出し、数時間内に管理者へ火災の発生場所を警告します。」と彼女は言いました。技術革新は、科学とデータを用いて気候変動に対処できる方法となります。


2. 森林劣化が進むほど、食料不足が深刻に

研究では、1980年以降、毎年続く降雨の減少により、トウモロコシ、小麦、大豆、米の収穫量が着実に減少しています。地球全体の気温上昇の影響により、樹木や植物は以前よりも早く結実するようになりました。通常よりも早くできた実は十分に栄養を蓄えることができず、その実を食べる人々への栄養も行き渡らないことに繋がります。熱帯雨林はとても広大です。その広大な土地には、約12億人もの人々が生きるために熱帯雨林に頼っています。農熱帯雨林の農家は、一般に栽培されているコーヒー、バナナ、レモン、ピーナッツなどによる収入源を元に家族を養っています。

グッドニュース:保全グループは異常気象事象が引き起こす様々な問題に対処するため農家たちと協力しています。CIはリベリアで小さなコミュニティーとともに、CIは放棄された農場の跡地へ樹木作物を植えました。CIのリベリア事務所担当副責任者であり、CIリベリアの気候変動顧問であるピーター・ムルバ氏は「私たちが作った樹木作物苗床[ tree-cropnursery ]では、作物を栽培して販売する機会が増えていることを、Human Natureとのインタビューで政府に報告しました。 熱帯雨林に生活を頼る農家は、農業をもっとも気候に適応したやり方に変えるしかありません」と語りました。


3. 森林減少と食料不足は絶滅危惧種の数をさらに増やす要因になる

熱帯雨林には約3000万種の植物や動物が生息しており、生存のために他の植物に大きく依存しています。 植物の成長が減るにつれ、これらの動物は生存の危機にさらされてしまいます。

最も危惧されている種は生きるために花の蜜に依存している種、例えばハチミツとハチドリや、 木に実る果実に依存している種、例えばサルおよびオウムのような種です。

多くの種はその生存方法を環境に大きく左右されます。温度や降雨などの1つの要素が中断されると、その種の機能のサイクルが妨害される可能性があります。生物季節学では、気候が変わり続けるにつれて種は強制的に適応することが分かっています。 しかし調査によると、ほとんどの陸生動物は急速な気温上昇や気候変動などに対して十分に対応することができていません。


グッドニュース:保護区を設立することは、絶滅危惧種を守るカギとなります。 CI は保護区の種を研究するためにデータ解析を行う組織「Tropical Ecology Assessment and Monitoring」を立ち上げました。 この研究によると、動物種の17%が増加、22%は一定であり、22%は減少したと示されています。 絶滅危惧種は保護区域の重要性を示しています。


by Jessica Pink(コンサベーション・インターナショナル、インターン)


※本ブログ記事は2018年6月26日に投稿されたCI本部のブログ記事を和訳したものです。
3 ways climate change affects tropical rainforests


翻訳協力:藤澤悠佳
編集:CIジャパン

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