新型コロナウイルスのようなパンデミックを防ぐためには、「自然を大切にすること」

ニューカレドニアのパニエ山 ©Shawn Heinrichs
※本ブログは、CI本部ブログの“Expert: To prevent pandemics like COVID-19, 'take care of nature'’” を日本向けに和訳編集したものです。

Written by Kiley Price


中国の家畜家禽および海鮮市場が発生源とされる新型コロナウイルスは、世界中に驚異的な速さで広がっています。多くの国では、都市の封鎖から企業の臨時休業まで、ウイルスの蔓延を防ぐための厳しい対策を講じています。しかし、どのようにしたら未来も起こりえる感染症の突発的な発生を防ぐことができるのでしょうか?

そのためにまずやらなければならないのは、「自然を守ること」だと、コンサベーション・インターナショナル、シニア気候変動科学者であり世界的な生態学の専門家であるリー・ハンナはいいます。

自然環境を保つことが、将来的な病気発生の抑制にどのように影響するのか、ハンナ博士に聞きました。
・・・

Q. 自然と病気の蔓延はどう関係しているのでしょうか?

A. 人類は家畜を飼ってきた長い歴史の中で、野生動物と様々な病気の交換も行ってきました。実際すでに存在する人間の病気の多くは、もともと野生動物から発生しています。例えば、インフルエンザはブタや鳥類から、結核は、エボラはチンパンジーやコウモリが起源です。

自然の生態系は、人間の体と同様に機能します。それらが頑丈で健康的な場合-つまり、種が多様で、健全な個体数が保たれている時-彼らは病気に対してより耐性があります。

豊かな生態系は、水から食べ物、肥沃な土壌まで、私たち人間に様々な利益をもたらしますが、森林伐採や採鉱などで人間活動が生態系に混乱を起こし劣化させた時、動物たちはより一層絆を強くせざるを得なくなり、また、ストレスで病気になりやすく、人びとと接触する可能性も高くなっていきます。こういった状況で、野生動物と人間の間で病気の行き来が発生するのです。

恐ろしいことに、自然の急速な破壊は、動物を媒介とする病気の発生頻度を高くさせるという研究もあります。


Q: 人と自然の関係は、パンデミックにどのように影響しますか?

A: 最も広く直接的な問題は、世界的な野生動物の取引きです。この取引きにより、野生動物たちには、自然に遭遇する可能性がなかった他の種、さらには他の病気への接触が引き起こされます。例えば、コウモリやセンザンコウから派生したといわれる新型コロナウイルスは、人間に感染する前に他の種にうつった可能性があります。そのため、外来の珍しい種類の動物たちを一箇所で販売する野生動物市場は、人畜共通感染症のこの上ない繁殖場となっています。

熱帯地域は温帯地域よりも病原体保菌動物が多い傾向があり、熱帯種を捕獲して野生動物市場で人々と接触させることは、最悪な状況といえるでしょう。また、この野生動物と野生動物の一部を取引きすることは、健全な生態系に重要な役割を果たす、ゾウやサイの個体数を減少させ、自然環境に破滅的な影響を及ぼします。

これに加えて、農業や森林伐採によって森林破壊率は世界中で急上昇しています。これは野生動物の生息地を減らすだけでなく、気候変動を加速させ、病気の蔓延にも影響する可能性があります。


Q. どんな影響ですか?

A:渡り鳥の移動の時期の変化から、私たちが日常飲むコーヒーまで、気候変動は全ての事に複雑な影響を与えてしまいます。

公衆衛生の観点からみると、気候危機はある種の病気の拡大と、他の病気の発生を防ぐための努力を複雑にするということです。「季節」と「気候」は、人間が罹るインフルエンザなどの病気の罹患率を左右する二つの主な要因です。現時点では、気候危機のCOVID-19の感染への影響は明らかになっていませんが、世界的な温度上昇が病気の発生のタイミング、分布、重症度を変えてしまうことが研究で予測されています。

例えば、私の研究では気温が上昇するにつれ野生動物が、暑さから逃れるために北極と南極の山の上へと移動しているということがわかっています。人間が野生動物の生息地に近づくことで、動物から感染するウイルスにさらされてしまうことが好ましくないように、野生動物の生息域が、人間と開発事業に近づくことも好ましくないです。

こういった状況を避けるために、私たちは気候崩壊を防ぐために努力し、もう避けることのできない気候変動の影響に、自然な形で適応できるように、自然を保たなければなりません。


Q:自然を守ることで、各国は将来発生する病気を抑制することができるということですか?

A:そうです。2020年後半には、今後10年間―温暖化の速度を緩め、生態系システムと脅威にさらされている種を守るべき時間―のロードマップを話し合うために、国連生物多様性条約締約国会議が開催されます。(開催日未定)

現時点で、100万以上の種が、人間活動が原因で絶滅の危機に瀕しています。なので、地球の野生動物を守るために、そして、大量絶滅を防ぐための大胆かつ適切な目標を持つことが重要です。


Q:どんな目標があるのか教えてください。

A:私たちの研究では、熱帯地域の30%を保護すると種の絶滅のリスクが半分になり、かつ、気候危機を遅らせることができることがわかっています。政府が活用できる保全のツールは多くあります。政府は、生物多様性を守りながら、保護区、国立公園、コミュニティによる保全、先住民コミュニティが管理している保全地域などを通して、土地から利益を受けることができます。

私たちは私たち自身を守るためにも自然を守るべきです。

ですが、こういった地域を創設するのは初期の段階であって、自然保護や人と野生動物が接しないようにするには、実際には、土地を管理すること、取り組みを支援することが重要です。

各国が自然を守り、動物由来の感染症を止めるために行うべきもう一つの取り組みは、世界的な野生動物の取引きを完全に廃止することです。世界のいくつかの地域では、文化的な要素があるため難しいことですが、絶対に必要なことです。私たちは自然との関りを根本的に考え直さなければいけません。

長い間、自然は強く、強靭だったので、人は自然を好きなように扱ってもまた回復すると考えていました。人口の増加と過度な搾取によって、私たちが自然に対して行うことが、永久的に影響を与えてしまうところまで来てしまいました。

自然は私たちのために多くの事をしてくれています。

私たちが自然が与えてくれる便益に対してできることは「自然を守ること」、
それだけです。


編集
CIジャパン

Cover image: A forest in New Caledonia (© Shawn Heinrichs)

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