COVID19の発生と自然との関係について ~5つのレポートより~

Alto Mayo Protected Forest. San Martin, Peru © Cl/photo by Bailey Evans

エディターズノート: COVID-19のパンデミックは、世界中に瞬く間に広がり、これまで260万人以上が感染し、18万人以上が亡くなっています(※2020年4月23日現在)。 一部の科学者は、自然を守ることが将来のパンデミックを防ぐために重要であると主張しています。ここでは、自然と人間の健康との関係を探る、5つの記事を紹介します。

1.気候変動への取り組みと新型コロナウィルス問題の類似性

COVID-19の感染拡大と、気候問題に関する世界的な取り組みの遅さには類似点があると、研究者らは主張

ストーリー:
ニューヨークタイムズの記事によると、政治的な抵抗と、人々が長期的な危機の影響を完全に把握できないことの心理的な無力さが、COVID-19のパンデミックと気候変動の両方に対処における世界的な取り組みの遅れに影響していると多くの専門家たちが同意しています。例えば、化学者のHolden Thorp氏によると、現在の米国政府は、近年の科学研究への連邦政府の資金提供、特に気候調査への資金提供を大幅に削減し、コロナウイルスのワクチン開発の取り組みを混乱させており、さらに、複数の行動科学者が現在のパンデミックと気候危機はともにマイナスの影響がより長い期間に及ぶことから、より対応に苦労していることに同意しています。

全体像:
「COVID-19と気候変動はどちらも、損失を最小限に抑えるために早期の積極的な行動が必要です」と気候学者のキム・コブは述べています。「私たちがリスクのある行動に出た結果、また、十分早くに対策を取らなかったことで失うものは、失った後で本当に理解することができるのです。」

2019年にオーストラリア全体で猛威を振るった山火事から、沿岸都市部での洪水の増加まで、気候危機の影響はすでに世界中の人々に影響を与えています。 しかし、2011年までに、平均気温上昇を摂氏1.5度未満に抑えられない場合、気候システムは崩壊し、今日癌や感染症で亡くなる人の数とほぼ同じ数の人が、気候問題によって死亡する可能性がある、と研究者たちは予測しています。

詳しくは  (The New York Times)

2. 次の新たな感染症を防ぐためにも、野生動物の取引は止めるべき 

もし各国が国際的な野生動物の取引を止めなければ、世界的な感染症はさらに発生するだろう、と専門家は警告

ストーリー:
 国際的な野生生物取引は、COVID-19などの動物性疾患の感染症拡大を促進している、と専門家は主張しています。ニューヨークタイムズ紙によると、今後、人畜共通の感染症発生を防ぐためには、数千億円規模の産業を止めなければならないと報告されています。
COVID-19パンデミックは、中国の生きたままの野生動物や魚を取引する市場で始まりましたが、同様の市場は世界中の国々に存在しています。科学者らが「病気の繁殖地」と揶揄するこれらの野生生物市場は、人と動物どちらも、自然界では自然に遭遇しなかったはずの細菌やウイルスにさらし、1人の人間が感染すると、世界中に瞬く間に広がる可能性があります。

全体像:
「熱帯の病は、病原を運ぶ生き物由来の病気であることが多くがあります。」「温帯性の病気よりも発生の頻度が高いので、熱帯種を野生動物取引市場などで、人々と密接に接触させることは災害の観点で非常に危険です。」と、CI気候変動シニアサイエンティストのリー・ハンナは最近のインタビューで答えました。 公衆衛生上の危機の観点から、中国は最近、野生生物の取引と消費の恒久的な禁止を発表しました。これは、将来のパンデミックの防止に役立つ決定です。東南アジアの国々はこれに追随し、世界中の野生生物取引を終わらせるべく、厳格な禁止を課すべきです。

詳しくは (The New York Times)

3. コロナウィルスのパンデミックは、どうCO2排出に影響しているか?

温室効果ガス排出量は、昨今のコロナウイルスのパンデミックに呼応して変動している

ストーリー:
世界中の人々が、COVID-19の蔓延を食い止めるために外出制限していることは、二酸化炭素排出に、プラスにもマイナスにも影響を与えている可能性があると、Scientific Americanは報告しています。 気象条件、地理的条件、およびライフスタイルに応じ、より多くの時間を家で過ごす人々は、より多くのエネルギーを使用し、時間の経過とともにより多くの個人による温室効果ガスを放出する可能性があります。例えば、寒い地域の人々は、在宅勤務中、家を暖かく保つために個別にヒーターを使用する必要がある、といった場合です。

全体像:
「このウイルスが持つ潜在的な最大の影響は、経済への影響です。」と気候政策専門家のクリストファー・ジョーンズは述べます。 「ウイルスが経済全体に影響を与えるとすれば、つまりそれは生産、消費、炭素排出にも影響を及ぼすのです。」
世界的な炭素排出を増加させることなく、経済を支えるためには、企業が持続可能なファンド—環境的、倫理的、社会的に配慮された—に、投資する必要があります。実際に、そうしたファンドの取り扱いは、最近の株式市場崩壊で、従来の伝統的なファンドを上回るようになっています。

詳しくは (Scientific American)

4. 専門家の助言:Covid-19のようなパンデミックを防ぐためには、自然を守ることが必要

自然を保つことは、将来の病気の発生を抑えるのに役立つことにつながる

ストーリー:
世界的に著名なCIの気候変動生物学、上席研究員のLee Hannahは、Conservation Newsのインタビューで、もし世界的な野生生物の取引が今後も継続し、開発がさらに熱帯林の奥地へ入り込めば、人間が野生動物や(それに伴う病原菌により)、感染が拡大していくだろうと答えました。 採掘や伐採など、人間活動が野生生物の生息環境を悪化させると、動物間のストレスが強くなり、そうなると病気に侵される可能性が高くなり、それは、人間と野生生物の集団間の病気の伝染をさらに促進することにつながります。

全体像:
「自然のエコシステムは、人体と似たように機能しています。もし自然が、頑丈で健康なら、つまり多様な種が織り交ざり、動物的集団に適切なスペースが保たれる場合、自然は、病気に対してより耐性があるのです。」とハンナは話します。「私たちは、自らを大切にするように、自然を大切にしなければなりません。」将来のパンデミック発生を未然に防ぎなら、自然を保護するためには、保護地域、国立公園の創設やコミュニティの保全の実施、および先住民族が管理する保護地域を導入などの手段があります。

詳しくは

5. コロナウイルスが気候変動の話し合いを止めてしまう場合、「取り組むを進めるため他の手段を見つけなければならない」

致命的なコロナウイルスが蔓延するにつれ、気候専門家たちは、コロナウィルスが世界的な気候交渉の多くを狂わせてしまうのではないかと恐れているが、常に希望はある

ストーリー:
COVID-19に反応した最近の世界的な排出量の減少にもかかわらず、ウイルスの長期的な影響により、気候変動対策への行動が台無しになる可能性があります。CIの気候政策担当マギー・コムストックは、コロナウイルスの急速な普及により、各国が炭素排出量削減の野心的な目標に取り組むための重要なプラットフォームとなっている、主な気候会議の多くが停滞する可能性がある、と話します。事務局はこれらの会議をバーチャルプラットフォームに移行することを検討していますが、そのことで、インターネットアクセスが制限されている発展途上国を除外したり、また、交渉中に、妥協案を模索するため個人的なつながりを築こうとする、世界のリーダーたちのチャンスを阻む可能性がある、と専門家らは危惧しています。

全体像:
「コロナウイルスによる気候行動への影響で、私たちは自分たちが正しく行ってきたこと、抱えている課題、そしてどのように気候変動の対応をローカライズできるのか、再評価せざるを得なくなるでしょう。」と、気候変動保護国際責任者、シャイラ・ラグロフは言います。COVID-19は国際的な会議を妨げる可能性がありますが、地域コミュニティ、企業、地方自治体は、引き続き炭素排出を削減したり、オンラインでの抗議活動に参加したり、野心的な気候政策に取り組むことで、気候行動に貢献することができます。

詳しくは

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いかがでしたか?未曽有の危機の最中、誰もがこの収束を心待ちにしていると思いますが、この後世界が大きく自然破壊を伴う経済開発へ向けてかじを取ってしまえば、地球環境が健全に保てないだけでなく、新たな感染症の発生のリスクも高まってしまいます。
今は、Stay Home, Stay Safeを第一に、自然との関わりを見直し、真に持続可能な社会の在り方を考えるべきときだと思います。

PEOPLE NEED NATURE TO THRIVE!
自然を守ることは、人間を守ること。


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