気候変動が海に与える5つの影響




By Jessica Pink


地球の70%を覆う生態系であるにもかかわらず、海は敬意を払われていません。海は私たちを養い、呼吸に必要な酸素の大部分を供給し、私たちを守っています。海がなければ、気候変動によって地球はすでに人が住むことができない状態になっていたでしょう。

でも、どうやって?

2016年の報告によると、1970年代以降、海は人間の引き起こした温度上昇の90%以上をひたすらに吸収してきたことがわかっています。 その熱が大気中に放出されていたとしたら、世界の平均気温は56℃近くまで上昇していたでしょう。

たしかに海は広大ですが、吸収できる量には限界があるということが明らかになりつつあります。 今日は、気候変動が海洋生物にどのように影響を与えるか、そしてそれが人類にとって何を意味するかを見ていきます。

1. 気温上昇は、魚にも、私たちにも悪影響を与える

継続的に上昇する気温は、海洋生物にさまざまな影響を及ぼしています。

考慮すべきこと:
  • 温暖な海域はサンゴの白化を引き起こし、海の生物多様性のほとんどが存在するとともに、人々に重要な食料源を提供するサンゴ礁の生態系に影響を与える
  • 温暖な海域は、給餌と産卵に適した条件を求める海洋生物の大量移動を引き起こす恐れがある。
  • 海水温の変化は、ほとんどの魚や頭足動物(タコやイカなど)の発育と成長に直接影響を与える可能性がある。
タンパク質の主な供給源を魚に依存している世界中の30億人の人々にとって、海の魚の数と、魚の大きさがますます小さくなるという見通しは問題です。

2.  極地の氷が溶けている

冬の北極海の海氷は、海水温が上昇するにつれて沈み続け、毎年やってくる悲惨な恒例儀式となってしまっています。 一方、南極大陸は、水没した氷が急速に溶けているため、海中から縮小していることが最近の研究によりわかっています。ホッキョクグマなどの象徴的な種に対する温暖化の影響は、文書で十分に裏付けられています。 しかし、海面下にも、同じくらい緊急性の高い問題があります。

考慮すべきこと:
  •  北極圏の食物網の基盤である藻類の生産は、海氷の存在に頼っている。 海氷が減少すると藻類も減少し、北極のタラからアザラシ、クジラ、クマにいたるまでの種に波及効果がある。
  • 海氷が減少すると、アザラシ、セイウチ、ペンギン、クジラ、その他の大型動物の重要な生息地が失われる。
  • 海氷は、南極海の多くの海鳥や哺乳類の食料源であるナンキョクオキアミにとって重要な生息地である。 近年、海氷の減少に伴い、ナンキョクオキアミの個体数が減少し、オキアミに依存する種が減少している。
これは私たちにとって、どういう意味を持つのでしょうか? 一つには、北極のタラ漁業への影響が連鎖的につながるカスケード効果をもたらし、人間と野生生物間の対立に至らせているということがあります。 海氷と水産食品の劇的な減少により、ホッキョクグマが食べものを求めて沿岸のコミュニティや狩猟キャンプに向かって押し寄せており、そこに住む人々にとっては迷惑かつ脅威となっています。

3. 海面上昇は、ゆっくりとした、一見止められない脅威である

気候変動は、海面に二重の脅威をもたらします。
1つ目は、極地において陸上の氷が溶けるとき、その水は海へと流れてしまうということです。 (一方、極海で形成される氷は、溶けても海面に影響を与えない。)2つ目は、水が温まると膨張し、より多くのスペースをとるということです。これが海面上昇の主な、かつあまり知られていない原因です。

海面上昇は、1年に約3.2ミリの割合で加速しているため、人類への影響は明らかです。
  • 世界の陸地のうち、海抜10メートル以下にあるのは、わずか2%だが、これらの地域には世界人口の10%がおり、その全員が海面上昇によって直接脅威にさらされている。
  • 太平洋にあるような小さな島国は、地図から一掃されることになる。 たとえば、キリバスの人々は、世界で最初の海面上昇による難民であり、国の2つの島はほとんど海の中に姿を消している。
海面上昇が、野生生物に与える影響についてはあまり調査されていませんが、同様に重要です。
  • サンゴ礁や、マングローブ、海草、その他の重要な生息地を形成する種の生存は、浅瀬に移動する能力にかかっている。 成長の遅い種は、海面上昇に追いつくことができない可能性が最も高い。
  • 海面が上昇すると、重要な沿岸生息地(たとえば、ウミガメの営巣地であるビーチ)が失われる。 崖、防波堤、沿岸開発などの自然の、または人工的な障壁が、さらに内陸への移動の妨げになっている。

4. 温暖化する海は、海流を変化させる

気候変動は、海水温と風のパターンに影響を与える。これらを統合すると、海流が変化する可能性があります。

これは野生生物にどんな影響を与えるのでしょうか?

先程お話したように、多くの海洋生物の移動パターンは、彼らがたどる海流が変わると同時に変化する可能性があります。そして、繁殖と栄養を海流に頼っている多くの種が影響を受けます。たとえば、多くの造礁サンゴやサンゴ礁に生息する魚の稚魚の分散は、海流に依存しています

海流は地球の気候を維持する上で主要な役割を果たすため、海流の変化が人類に与える影響は深刻である可能性があります。たとえば、ヨーロッパの比較的穏やかな気候は、現在「前代未聞の減速」をしているメキシコ湾流と呼ばれる大西洋海流(メキシコ湾に発し、フロリダ海峡を通って大西洋に入り、アメリカの東海岸沿いを北上する強い暖流)によって維持されています。これらの海流の変化は、降雨量の変化(一部の地域では雨量が多く、他の地域ではかなり少ない)や気温など、世界中の気候に大きな影響を及ぼします。こういった変化は、人間を含む無数の種に劇的な影響を与えます。

5. 気候変動は海水の化学的性質に影響を及ぼす

大気中の温室効果ガスレベルを増加させる化石燃料は、海水の化学組成も変化させ、酸性度を高めます。海は大気中の二酸化炭素の30%を吸収していますが、その炭素が水に溶けると、炭酸を形成します。

これは海洋生物に多くの影響を与えています。

サンゴ、ホタテ、ロブスター、カニなどの炭酸カルシウムの殻を作る海洋生物や、海全体の食物網の基盤であるいくつかの微細なプランクトンを直接酸性化させてしまうのです。これらの殻を形成する生物は、他の生物に重要な生息地と食料源を提供しています。酸性化は、特定の魚が捕食者を検出する能力を制限して、食物連鎖を破壊させる可能性もあります。

サンゴ礁と甲殻類の破壊は、主に海の食材に依存している人々にとっては、食料が少なくなるという形で深刻な影響を及ぼすでしょう。



冒頭写真:シカツノサンゴ。マーシャル諸島の無人島にて。( ©Andre Seale/Marine Photobank)

この記事はコンサベーション・インターナショナル本部ブログ "5 ways that climate change affects the ocean" を日本向けに和訳・編集したものです。

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