【UNFCCC COP18】:地球温暖化交渉、ドーハで開幕!
気候変動プログラム・ディレクターのYです。11月26(月)から12月7(金)の予定でドーハ(カタール)で開催される気候変動枠組み条約会議第18回締約国会議(UNFCCC COP18)に参加しています。今回の会合では、交渉が大きく分けても、何と7つのトラックに分かれて進行されます。いくつか例を挙げると、科学的な知見から対応策を協議する「気候変動枠組条約第37回補助機関会合(SB37)」。SBからの報告を受け、正式に長期的な行動に向けた交渉文書を決定していく「条約の下での長期的協力の行動のための第15-2回特別作業部会(AWG-LCA15-2)」。日本が昨年のダーバンで開催されたCOP17で第2約束期間からの離脱を表明した京都議定書に関わる「京都議定書第8回締約国会合(AWG-KP18)」。さらに、昨年のCOP17で誕生した、全世界の参加を前提に2015年までに合意、2020年に発効を目指す「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」、等です。
特に、「長期的協力の行動(LCA)」は、2012年中にクローズされることが前提とされています。そして、昨年のCOP17で合意した「ダーバン合意」の具体的な交渉に突入、というのが本来の筋書きですが、昨日のLCA会合では、既に先進国と途上国によるLCAのクローズに向けた見解での対立が明確になりました。とはいえ、本年中のクローズを目前に時間がない中、コンタクト・グループやスピン・オフグループと呼ばれる小グループに分かれ、賛否両論の議長テキストを交渉していこう、という事にはなりました。UNFCCCでは、昨今このようにすぐに会議が「クローズ」になってしまい、私たちNGO等が交渉の内容を追う事の出来ない密室会議になってしまいます。そのため、現地で様々な交渉官の方々と意見交換をしながら交渉の内容に遅ればせながらも必死で追いつき、インプットをする努力がこれから2週間続くわけです。
私は、CIが多くの国で既に国の政策や実践活動を開始している「途上国の森林の減少と劣化に由来する排出の削減(REDD+)」のSBSTA、LCA、ダーバン・プラットフォーム(ADPと呼ばれます)等を追って報告していきます。マニアックな内容になりがちですが、生で会議に出ているからこその報告をしていきたいと思いますので、2週間、是非お付き合い下さい。
それにしても、今回の開催地であるドーハの会議場は今までにない斬新な建築デザインと最大規模じゃないかと思わされる広さです。同じ建物の中、会議場からサイドイベントの会場にたどり着くまでに、走って15分位かかります。最初は誰かについて行かないと、確実に迷子になります。街並みも奇抜な高層ビルが立ち並び、この国が途上国である事を忘れる程です。一方、会場間移動のバスのロジ等は混乱を極め、代表団が会議に時間通り到着できない、等という事も頻発しています。因みに、私の宿泊しているホテルは、直行でいけば30分で到達する距離なのに、大周回して走るため、夜ホテルに帰るのに1時間、バスの待ち時間が普通に30分、などという状況です。このため、昨日は全く顔も知らないウルグアイ交渉団とタクシーをシェアしようと即決、ホテルにたどりつきました。タクシー内では、共通の知り合いの話で盛り上がりました。何年かこの条約交渉に参加していると、このように全く見ず知らずの人たちでも必ず共通知り合いが見つかるため、妙な親近感がすぐ生まれ、友達になれるのも一つの特徴です。皆、同じ苦労を理解しあっている戦士、というところでしょうか。<続く>
写真:COP18会議場
写真:ドーハの高層ビル街