現役大学生が聞く”CIジャパンスタッフの「世界を舞台に働く」とは” 第2回目 名取 洋司 vol.1
名取さんの仕事のなかみ
木勢:こんにちは。それでは早速自己紹介からお願いします!
名取:こんにちは。私はCI Japanで生態系政策マネージャーとして活動しています。分野としては生物多様性・自然資本に関すること全般を担当しています。生物多様性に関する条約の会議や世界公園会議といった保護地域に関する国際会議などが関係しますね。
木勢:「生物多様性」、「自然資本」をもう少しわかりやすく説明してもらえますか?
名取:生物多様性は一般的に、生態系と種と遺伝子の多様性のことを指します。人間の視点からいうと、人間が自然から受けている恩恵を、「自然の恵み」といったり「生態系サービス」といったりしますが、それを生み出すものが生物多様性といってもいいかな。直接恩恵のないものもつくりだしているので、自然をうまく機能させているもの、機能させているメカニズムともいえるでしょう。一方、自然資本は生物多様性よりも広い感じでしょうか。「資本」とついているように、自然環境・自然資源を社会に役立つ資本・元手として捉える見方です。資本なので、うまく使えばいろいろなものを得ることができますが、使い方が悪いとリターンがどんどん減ってします。逆にうまく使えば、自分たちの生活を支えられているし、発展していくための元手となります。人間の生活は、自然からの恵みなしに成り立たないものなので、大事に使うかどうかは、「好み」の問題ではなく、必須なことなのです。例えば、財布の中身や銀行の貯金を使い尽くしたら、次の日の生活に困ることは誰でも分かると思いますが、自然資本も同じです。ただし、自然資本を使い尽くしたら、貯金を使い作るよりも大変だろうな。
木勢:なるほど。明快な解説ですっきりです!続いて、具体的にお
仕事で何をなさっているのか、記憶に残る出来事はありますか?
仕事で何をなさっているのか、記憶に残る出来事はありますか?
名取:直近の活動でいうと、フィリピンのキリノ州での森林再生プロジェクトですね。ものすごくたくさんの課題を克服する必要があったプロジェクトだったのですが、CCBスタンダードの認証をとれたことは大きな成果だと考えています。CCBスタンダードという国際プログラムで決められている基準をクリアして、気候変動対策、コミュニティー支援、生物多様性保全を同時に達成する質の高いプロジェクトであることが、レインフォーレスト・アライアンスによる第三者審査で立証されたのです。改訂されたCCBスタンダードではアジアで初、かつゴールド認証をもらったものです。10年後、20年後、プロジェクト地には立派な森林が再生していて、それを大事にするコミュニティーの人たちが森林からの恩恵を受けると同時に、持続可能な社会を構築していることを楽しみにしています。
木勢:ご勤務する中でコンサベーション・インターナショナルの強みなど感じましたでしょうか?
名取:CIはオフィスがいろんな国にあって、CIジャパンはその多くとプロジェクトを通じた直接的な連携があります。現場の話ができる一方で、国際条約を扱っているので世界の動きの話が得られたり、科学的な情報をどんどん生み出している科学部門の情報を活用したりできることはすごい強みですね。CIの活動の柱として、「パートナーシップ」、「サイエンス」、「現場での実践」の3つはすごく重要です。長年踏襲しているからこそ、国際交渉に行って情報発信しても説得力のあるものになるのかなと。私から話をするときでも、CIが全体で積み上げてきた実績があるからできることがすごく多いのです。
フィールドで調査中の名取さん |
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【備忘録】
2014年1月に連載企画第一弾としてCIジャパン代表の日比さんを特集しました。
今回は同じくCIジャパンで世界中を飛び回る名取さんを複数回にわたって特集します!
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