危機にさらされるKBA ~アユモドキ生息地の例~

生態系政策マネージャーのYです。

日本列島が、世界的にみても生物多様性が特に豊かだけど危機にも瀕している地域として「生物多様性ホットスポット」に選ばれていること、皆さんはご存知ですか。この生物多様性への危機は、歴史と共に姿を変えながら、今だに続いています。

今、特に心配なのが、Satoyama的な環境(「里山」と書くと特定の環境を連想されてしまいますが、人の生活と生物多様性が共存している空間を一般に指す意味で、あえてローマ字で)です。人口減少、過疎、都市と地方の格差の拡大が進む中で、そのような環境が別のものに置き換わってしまう脅威が増大していると思います。長年続いてきた人間の活動が安定した環境を作ってきた場合、生物多様性を維持していくために、地域の活性化が必要なことがあります。しかし、地域活性化のために大規模な開発行為が選択肢とされると、自然とのバランスが崩れてしまいます。

その一例を紹介します。

京都府亀岡市には、世界で数箇所しか残されていない絶滅危惧種アユモドキが生息する地域があります。国際的に生物多様性保全の鍵となる地域(Key Biodiversity Area: KBA)の条件を満たし、国際的にも重要な地域です。この地にサッカースタジアム(京都スタジアム(仮称))の建設が検討されています。当然、KBAといえる生息地を脅かすことが心配されています。

この度、CIジャパンは、京都府知事、亀岡市長、京都府公共事業に係る第三者委員会の委員の方々に対し、十分な科学的検討がなされ、アユモドキの自然下での存続が確保されることを期待する趣旨の意見書を提出いたしました。

この件は海外でも重要な課題と認識されています。国際自然保護連合(IUCN:本部スイス・グラン)の世界保護地域委員会および生物多様性観測ネットワーク(GEO BON)において淡水生態系について中心的な役割を担っているイアン・ハリソン博士も、CIジャパンを通じて、関連行政機関に意見書(原文和訳)を出しています。

このような問題は、国内の多くのKBAでも起こりえることです。自然と人間生活が調和した社会を築く上で、非常に大きな問題で、従来の「自然保護」の枠組みだけでは解決できないものです。自然が持つ様々な価値がしっかり認識される仕組みがなければなりません。時には、その価値に応じた利益共有・分配の制度も必要になるでしょう。「自然を守ることは、人間を守ること」を合言葉とするCIにとって、その解決策を見つけていくことは、持続可能な社会を実現するためには避けて通れない課題だと認識しています。



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