国際自然保護連合・世界自然保護会議(IUCN WCC 2016)

科学応用マネージャーのYです。

9月1日から5日まで、ハワイで開催された国際自然保護連合の総会、World Conservation Congress(WCC)に参加してきました。4年に一回開催される、自然保護に関する世界最大のイベントです。私は今回が3回目ですが、参加者が9000人を超えたといわれ、今までで最大規模でした。

今回のWCC参加の目的は大きく三つ。まず、自然資本の動きの把握です。自然資本に関する世界的な動きは、2012年の前回のWCCの後に開催されたRio+20で活性化されたため、WCCで自然
資本が扱われるには今回が初めてです。自然資本コアリションが、自然資本プロトコルのハワイ・ローンチ(発表イベント)を開催した他、その意義や役割について議論するワークショップや、実践的な使い方のトレーニングをするコンサベーション・キャンパスを開催していました。

二つ目は、SATOYAMAイニシアティブの推進です。SATOYAMAのアプローチは、生物多様性の保全と持続可能な利用のための取り組みとも、持続可能な開発のための自然資本の別の形の管理とも言えます。ワークショップと、コンサベーション・キャンパスの
セッションがありました。後者はCIジャパン主催だったので、ここで少し詳しくお伝えします。

コンサベーション・キャンパスとは、新しいスキルを身に着けるためのトレーニングのこと。私たちは、人が住み、生産活動に使っている景観(里山景観 *日本の里山のような特定なものではなく、農林水産業に使われる生産景観+生物多様性=里山景観、とご理解ください)におけるレジリエンス指標について9月5日に丸一日のトレーニングセッションを持ちました。内容は、実際のコミュニティーで行うパートを除けば、タイやマダガスカルで実施しているものと同じです。今回もGEF-Satoyamaプロジェクトの一環として開催しました。研究者や国際機関からの参加が多く、午前中は、トレーニングというより、レジリエンス指標を改善するためのワークショップのような側面もありました。非常に貴重な時間だったと思います。午後になると、参加者が減ってしまいましたが、それぞれが関係する里山景観の保全と持続可能な利用を実現するためにレジリエンス指標を実際にどう役立てられるのか、熱心な議論が行われました。

三つ目の目的は、世界のCIのスタッフとのネットワーキングです。開催地のハワイをはじめ、世界中のプログラムから60名を超えるスタッフが集まったので、ネットワークの場としては最適でした。また、IUCNの下に6つある委員会(Commission)の2つの議長に選出されました。SATOYAMAイニシアティブも深く関係する生態系管理委員会(Commission on Ecosystem Management:CEM)の議長にCIコロンビアのアンヘラ・アンドラーデ、先住民族やジェンダーの課題にも取り組む環境経済社会政策委員会(Commission on Environmental, Economic & Social Policy:CEESP)の議長にCI本部のクリステン・ウォーカー・ペイネミラです。CIジャパンとしても力を入れている分野であり、これからの4年間が楽しみです。

経団連自然保護協議会の二宮会長とCIのCEOペーター・セリグマンとの会談に通訳として同席したり、自然資本コアリション・エクゼクティブ・ディレクターのマーク・ゴーフ氏と日本でのシンポジウムの打ち合わせをしたり、体外的な活動も多く、充実した5日間でした。

ところで、ワイキキという世界的な観光地に行きながら、ビーチに行ったのは帰国する日の夜明け前の30分だけ。こんな時間にも、たくさんのサーファーがいるんですねー!

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