SDGsとチョコレートーみんなが美味しい笑顔なチョコレート
© Thomas Cristofoletti /Ruom for USAID/Flickr Creative Commons ボゴタベースのチョコレート会社カサ・ルーカ―の生産監督、ロビンソン・レンドン氏がプロセスされる前の乾いたカカオ豆を見せる。 |
明日はとうとうバレンタインデーですね!みなさんもう大切な方に贈るチョコレートは選ばれましたか?国によっては男性がお花をプレゼントするというようなところもあるようですが、日本では恋愛対象の方だけでなくお友達や家族、普段お世話になっている方にもお店で買ったチョコレートや手作りのチョコレートを贈る大きなイベントですよね。さて、みなさんが手にしたチョコレート、その先にあるのは笑顔でしょうか?それとも・・・?
先日J I C Aが開催していた「SDGsとチョコレート」というイベントに参加してきました。こちら実は「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」というカカオ産業を社会的・経済的・環境的に持続可能にしていくことを試みる新たな取り組みの第一弾のイベントでした。私はチョコレートが好きで普段からbean to barのものやフェアトレードのものを試してみたりすることはあったものの、カカオ産業の持続可能性についてじっくり考えてみたことがなかったので学んでみたいなあというのと、カカオ産業の持続可能性ってCIの目指すHuman well-beingの世界と重なるものがあるのではと思いお邪魔してきました。当日はカカオ産業に様々な切り口で携わっている各企業や団体の皆さんの取り組みについて聞く機会ができ良い学びの時となりました。「SDGsとチョコレート」で学んだこと、インスピレーションを受けた3つのポイントを皆さんにもちょっとだけシェアします!
1.チョコレート×森林保全
© Benjamin Drummond ガーナ・チェチウェレの熟れたカカオ |
チョコレートの原材料であるカカオはカカオベルトと呼ばれる地域で生産されています。皆さんお馴染みのガーナなどの西アフリカ諸国(生産量は実はコートジボワールが1位なのです)、マダガスカル、ベトナム、インドネシア、ブラジル、ペルー・・・。どの地域も生物多様性が非常に豊かで国土面積の熱帯雨林が占める部分が大きい国です。一方で森林破壊が進んでしまっている地域でもあります。現金収入になるカカオ生産のために農家の方が森林を切り拓くというのはこれらの地域では多くあることです。森を切り拓いてカカオの苗を植え、化学肥料や農薬なども利用する日向栽培の手法は一時的には生産量が増えるものの、徐々に土地が痩せていってしまって長期的にみると収量が落ちてしまう「持続不可能」な手法です。環境汚染だけではなく農家の方の健康面のリスクもあります。先日の登壇者の兼松株式会社さんは一時はカカオ生産量上位国だったギニアのファラナ州キシドゥグ県での活動についてお話しされていました。プロジェクトのあるギニア、ニジェール川の源流地域では森林減少が起きていて流域国の水環境への影響を懸念されているとのこと。焼畑耕作や野生動物の狩り、家庭用燃料となる薪炭材への利用などが課題だそうです。現地の農家の方にカカオの生産、収穫、加工技術のサポートを行いながらアグロフォレストリーに取り組んでいらっしゃるそうです。
森林を切り拓く代わりに木の間に苗を植えていく手法は手間がかかるものの森林の状態を保つことでそこを生息地にしている生き物や植物も守りつつ、生産量の安定・質を向上させながら森を守るというのは将来を見据えた理想的なカカオ生産のあり方だなあと思います。気候変動の対策のカギとなる森林を守ることで、現地の農家さんだけでなく地球規模でのインパクトがありますよね。兼松株式会社さんは現地の方への指導をされる時は日本のチョコレートを食べていただいて、日本について伝えながら気候変動の対策などもアピールされているそうです。
2. チョコレート×人口増加
© Thomas Cristofoletti / Ruom for USAID/Flickr Creative Commons コロンビアの 農家のホセ・ブランクイセツ氏。カカオポッドを切って湿った豆を取り出す。 |
兼松株式会社さんが一緒にプロジェクトをされている株式会社立花商店さんはギニアのカカオ豆は現時点で品質が低く、1キロ当たりの価格が安く、ほとんどのものがココアパウダーに加工されてしまうということをお話しされていました。加えて、ギニアの農家では正しい加工方法を知らないために品質が悪く、安く買い叩かれてしまうことを問題提起されていました。例えばガーナでは農家の家族間で発酵・乾燥などのノウハウが共有されていて、全ての農家が一定水準で加工を行うことができます。そのため、株式会社立花商店さんはギニアの生産者を技術サポートをすることで、高品質なカカオ豆の生産に取り組んでいるということです。チョコレートを消費する側としてはどうでしょうか。低品質のカカオ(「美味しくない」カカオ)へのアプローチは?今後世界人口は現在の77億人から2050年には97億人まで増えていくと言われています。チョコレートの需要も増えていくでしょう。兼松株式会社さんは日本と後進国では求められる品質が違うし、品質が悪いものも購入してサポートしていくことで、将来的に世界人口が増えていく中ギニアやシエラレオネなどまだあまり流通していない国でのカカオ生産を促していくことが大切だとおっしゃっていました。確かに、たまにこれはちょっと・・・というチョコレートに遭遇することありますよね。既に高品質なものは市場にあるし、もちろん消費者としては美味しいものが食べたい・・・ただ、これからもおいしいチョコレートを食べていくために、売り上げの何パーセントかが技術向上支援の取り組みに寄付されるチョコレートを買ってみたりすることを通して「投資」する責任が消費者にはあるのでは?
3. チョコレート×教育
ACEとデロイトトーマツ コンサルティング合同会社、NPO法人NEWVERYが手掛けた臼井俊介氏作画の児童労働撤廃のコミック |
ACEさんはこういった取り組みのほかデロイト トーマツ コンサルティング合同会社さんやガーナの政府を巻き込んで「チャイルド・レイバー・フリー・ゾーン」という児童労働のない地域の認証制度作りに携わっているそうです。「チャイルド・レイバー・フリー・ゾーン」で作られたチョコレートからは関税を無くし、児童労働をすると製造コストが上がり、児童労働をしないほうが儲かる仕組みを作ってしまい、大人が働くコストをオフセットするというお話もされていましたが目からうろこでした。とても印象に残ったのがデロイト トーマツ コンサルティング合同会社のご担当者の方がおっしゃっていた「世界は変えられる、まだ間に合う」という一言でした。
◆森林保全、人口増加、教育とチョコレートとSDGsに関することについていくつか触れてきました。SDGsとチョコレートで語られた取り組みに共通しているのは生産者も消費者も販売者もみんなが笑顔な未来を作りたいという思いかなと思います。経済的にも社会的にも豊かで持続可能であること。その過程で私たちの経済活動、社会活動を支える環境が守られ、豊かであること。アプローチは様々でも持続可能な未来を目指し進んでいくこと。誰一人取り残さない未来へ。どんな立場からでも皆さんの意思決定を通じて携わることができます。
ハッピーバレンタインデー。
By SA
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