「ブルーカーボン」コロンビアで進展する新たな保全の手法
熱帯の沿岸地域を囲むマングローブは気候界のスーパースターです。マングローブの密集した絡み合う根には、1平方マイル(2.59 km²)あたり自動車9万台分の排出量に当たる二酸化炭素を貯留することができます。ただ、この「ブルーカーボン」、つまり沿岸の生態系に貯留される炭素は、これまで十分かつ正確には計測されていませんでした。そのため、マングローブは炭素市場への参入が叶わず、マングローブを守るための経済的なインセンティブを得ることができず、沿岸地域のコミュニティから潜在的な収入の機会を奪っていました。
しかし今、何十年にもわたって農業、エビの養殖、都市開発などによって破壊されてきたマングローブ林の存続に大きな影響を与える変化が起きようとしています。
最近開始されたブルーカーボンファイナンスプロジェクトでは、マングローブの木が幹や葉に蓄える炭素だけではなく、数千年に渡って土壌に蓄えられる炭素も評価されています。
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科学者たちは、シンプルかつ効果的な方法で熱帯の堆積物に蓄積された炭素を測定しました。マングローブ林の中へと入っていき、特殊なパイプを使って地下1メートルから3メートルの深さから土壌を採取し、その土に含まれる炭素を研究室で分析しました。
正確な土壌サンプルを得るために、コンサベーション・インターナショナルとINVEMARの現地チームは堆積物コアサンプラーを使って50センチメートルの深さまで採取し、炭素ストックと貯蔵期間を測定しています。(©APPLE) |
マングローブは炭素の貯蔵に加え、気温上昇の影響に対する強力な防御となります。また、海面上昇、高潮、洪水を緩衝する自然堤防の機能を持ち、沿岸コミュニティの何百万人もの人々のレジリエンス力を高めます。実際に、高潮が起きる開発途上国に関する調査では、マングローブによって、高潮の沿岸地域への影響を50%まで削減できることがわかっています。
「マングローブ林は私たちにたくさんのものを与えてくれます。風を避け、食料や資源を提供してくれます。」と、シスパタのサンアンテロ・コミュニティのリーダー、イグナシア・デ・ラ・ロザ・ペレスさんは言います。「私たちにとって、それは保護する母親のようなものです。私たちの目標は、将来のためにマングローブを守ることです」。
この記事はコンサベーション・インターナショナル本部ブログ "In Colombia, a new way to protect mangroves takes root" を日本向けに和訳・編集したものです。
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