【COP16番外編】今回の会合での「女性力」

初めにお断りしますが、私は女性運動推進派ではありません。むしろ、職場は男女比率が均等なほうが、バランスのとれた成果が生まれると思うタイプです。一方、今回のカンクン会合における各国政府代表団含む、女性の活躍には、正直脱帽してしまいました。特に、COP議長のエスピノザ大臣の「公平なプロセス第一優先」の進め方は、果たして成功をもたらすのかどうか、最後まで心配していました。多くの先進国もやきもきしていたと思います。

一方、エスピノザ大臣は、各国から「今更こんなことを」と思うような意見の収集を、ストックテーキングの場で継続させる一方で、閣僚級会合が始まってから途中でCOP議長の座を副議長に譲り、退席していました。思い返せば、その時間を利用して、最終文書案の準備に参加していたのでしょう。そして、COPの最後の最後で、採択一歩手前でボリビアが反対を唱え、会場中が凍りついた時。「これだけの時間とプロセスをかけ、多くの国が賛同しているのだから、これ以上の遅延は議長として呑むことはできない。ボリビアの発言を記録には残すが、採択する」と言い放ち、文書を採択したのです。まさに、泣く子も黙らせる、母親力の貫禄のようなものを感じました。

昨年のCOP15以降、UNFCCCのプロセス事態への不満や限界説まで出る中、ダーバンに向けて新たな命を生み出したのです。「同じ中南米諸国だから、強引な採択に反論できなかった」と言う人もいました。でも、実はエスピノザ大臣のシナリオ通りで物事が進んだ、と思う人も多いのです。実際、CIで途上国側の政府代表団に入っているスタッフは、「最後の最後でサプライズがあるかもしれない」と言い続けていました。UNFCCCのフィゲレス事務局長の演説も、毎回圧巻の迫力でした。次世代がより大きな被害を受ける気候変動問題を協議する会合で、母親でもある女性達がこのように第一線で活躍しているのは、大変素晴らしいことです。

一方、少子化が進む中、子供を産んで普通に働くことの難しさが、メディアで報道され続ける日本の現実。気候変動とは全く別の意味で、日本の将来に、不安を感じた会議でもありました。


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