2012年3月27日火曜日

震災から学ぶこと ~自然生態系の強さ~

※本記事は、CIの本部(US)ブログにポストされた「日本の東日本大震災から一年」(3月9日付)の記事を翻訳したものです。事故から一年が経過し、日本人、そして自然環境がどのように復興してきているのか、CI本部の取材にCIジャパン生態系政策マネージャーが答えます。


Q: 巨大地震と津波が日本を襲ってから、一年が経過しました。震災前と比べて、日本はどのように変わったでしょうか?

A: 多くの生命が失われたあの大災害から復興するのに、一年という時間は短すぎます。完全に復興できるのかどうかさえ私には分かりません。地震と津波の災害は、原発事故でさらに複雑・深刻になり、対応が難しくなっています。放射能汚染や津波被害のため、住み慣れた場所や地域社会から離れて暮らさざるを得ない人たちがいまだに数十万人います。

 震災以後、反原発や再生可能エネルギーあるいは自然エネルギーの促進に関する議論が多く行ています。しかしながら、太陽光、風力、地熱、バイオマスといった自然由来のエネルギーの利用については、環境に取り返しのつかないダメージを与えないよう、慎重になるべきでしょう。便利さを追い求めるために、自然生態系を犠牲にすることはあってはなりません。

 自然エネルギーへ転向しようという話はよく聞きますが、使用するエネルギーを減らそうという話はあまり聞きません。原発事故後、電気を使うのは悪いことのようにみんなが節電に努めました。状況は変わらないはずなのに、今はどうでしょう?私たちが使っているエネルギーの量を減らしていくことが私たちの社会で優先されるべきことではないでしょうか。

 こういったことは、津波の被害を受けた地域だけの問題ではなく、国全体で向き合い、取り組むべき課題です。311の災害が悲劇であったことに間違いはないのですが、別な見方ができるとすれば、エネルギー問題を考え直す機会、そして、より持続可能な未来へ向けて動き出す機会が与えられたといえないでしょうか。

Q: 日本の生態系に津波はどのような影響を残したのでしょうか? 津波以後、生態系はどの程度回復し、また、どの程度未回復なのでしょうか?

A: 沿岸部の環境や平野部では、津波やそれで生じた瓦礫による被害がありました。これらの地域や、津波による甚大な被害があった地域での主要な土地利用形態は農業です。この地域の環境が回復するには、長い時間を要するでしょう。

昨年、CIジャパンは、日本の生物多様性重要地域(KBA)のリストを公表しました。このリストにある地域も津波の被害を受けています。私たちはこの被害をまとめる調査をしていませんが、地元の研究者からは、森林生態系は無事だったと聞きます。

 一方、沿岸地域や河口は、かなり大きな被害がありましたが、回復に向かっている例もあります。カキ養殖業の畠山重篤さん(国連森林フォーラム「森の英雄」賞を先月受賞)の例では、健全な森林には沿岸生態系を回復させる力があるという正の効果が実証されています。


Q:
 2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)では、CIをはじめ多くののパートナーが、SATOYAMAイニシアティブを発足させました。これは、二次的自然環境における生物多様性の保全を目的としたものです。このイニシアティブは現在どのような状況でしょうか?


A:
 SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)には、現在(3/9100以上のメンバーが加入しています。IPSIの第二回世界会議が、来週ナイロビで開催されます。私は3つのワーキンググループのうちの1つで共同ファシリテーターを務めます。また、このSATOYAMAイニシアティブが、津波の被害を受けた地域を含め、日本での緑の経済にどのように貢献できるか、世界の参加者と議論する予定です。

 世界のいたるところで、人間と自然が調和しながら共生している例がある一方、急速に変化し続ける世界の中で、人間と自然の関係も変わってきています。この変化に対応して持続可能性を確保する解決策を見つけ出す地域もあれば、課題に直面している地域もあります。今回の会議では、さまざまな教訓を共有して、革新的な解決策を議論し、地域社会を再生するための行動計画を作り出していきたいと思います。この会議の結果、津波の被害を受けた地域での復興の一助となるような知見を提供できれば、と思っています。



Q:
 津波被害は起こってしまいましたが、日本で良好な生態系を保護し回復させることの重要性は何でしょうか?


A:
 これだけ大きな災害に直面して、自然生態系が、災害を軽減させる役割を担っていたとは言いません。人間が作った防災インフラについても同様です。しかし、自然生態系は回復してきていると報告されています。持続可能性において、自然は必要不可欠なものです。自然生態系の強さや価値は、壊滅された状況からでも回復する力にあるのです。


元記事:A Year After Tragedy, Can Japan Build a More Sustainable Society?

0 件のコメント:

コメントを投稿

ご感想やご意見をコメントしてください。