「コンテンツ<コンテキスト」 東京おもちゃ美術館のNPO経営
Yasuです。
ロハスクラブ評議会の定例会に行ってきました。いつもの会場と違い、今回は新宿区四谷にある東京おもちゃ美術館での定例会。
5月に行われるロハスデザイン大賞の概要についての報告のあと、東京おもちゃ美術館の館内ツアーと多田館長からのお話がありました。
四谷の廃校舎に入っている東京おもちゃ美術館は、単におもちゃを展示してるだけでなく(もちろん、展示してあるおもちゃ見てるだけでも、結構楽しいんだけどね。図書コーナーには、僕が小学校のころ夢中になって遊んだミクロマンの本もあった!)、子どもからお年寄りまで楽しめるような展示・活動や、特に木のおもちゃにこだわりを持っておられるのです。もちろん、おもちゃで遊ぶことも出来るし、おもちゃの工作ワークショップなんかもあって、日中は子ども中心に大変な賑わいとか。
しかし、何がすごいって、まずは来場者数。年間12万人が来館するらしい。月平均1万人、一日平均400人弱。普通の美術館で、この数字はたいしたことないかもしれないけど、NPOが運営していて、有名建築家が設計したハコに入っているわけでもない、廃校舎に入ってる手作り感いっぱいの「美術館」にこれだけ人を集めてるのは、すごい。やっぱりハコじゃなくて、”コンテンツ”がモノ申すわけですね。
で、そのコンテンツ。展示してあるおもちゃとかも楽しいけど、200人以上いるというボランティアの「おもちゃ学芸員」の力がやっぱり大きいんだろうなぁと思います。いろんなワークショップの運営や、もちろん受付とか、ちょっとした案内とか、そういうことを老若男女からなるボランティアが支えてるというか、彼ら彼女らがコンテンツそのものですよね。
そしてそれは単なる「コンテンツ(内容)」ではなく、今の日本が抱えるさまざまな課題への東京おもちゃ美術館からのひとつの提案~赤ちゃんからお年寄りまでが交流できる場、コミュニティで子どもを育てるしかけ、シニア世代の社会参画、日本の森林の再生への貢献(国産の木のおもちゃへのこだわり)、閉塞感で疲れた大人たちのオアシス(笑)~という「コンテキスト(文脈)」の中に「コンテンツ」が位置づけられていて、ストーリーがある。だから、支持され、人が集まるんじゃないかなぁ。
また、この美術館での展示・活動だけでなく、全国各地の自治体と連携して、新生児への国産木のおもちゃのプレゼントとか、木のおもちゃの遊び場スペースを企業と連携して全国各地に設置したり(たとえば自動車ディーラーの店舗に木のおもちゃを使った子どもの遊び場のネットワークを作るとか)と、地理的な広がりを持ってるのも、すばらしいです。ミュージアムショップも国産のおもちゃ(日本のおもちゃ自給率はとても低いとのこと。ほとんど中国製とか)にこだわってて、それが各地の林産地やおもちゃ職人さんにも刺激を与えてるとか。
これらコンテキストに合わせたコンテンツもすばらしいけど、僕がもっとも関心したのは、リソース・モビライゼーション。平たく言えば、お金集めです。
一口館長制度というのがあって、一口1万円の寄付で、積み木に名前を彫ってそれを美術館入り口の壁に並べてるだけなんだけど、すでにウン千万円集まっているとか。みんな、どれだけ名前残したいんや!と。(そういえば、似たような取り組みがうちの近くの逗子海岸の整備でもやっています)
それから、立ち上げ期には、運営支援債とかいう一種の長期債権のようなものを一口ウン十万円で募って、やはりウン千万円調達して初期投資に充てたり。
で、それらの資金調達力を担保に信金から融資を受けたり(一種のプロジェクトファイナンスですね)。
とにかく、NPOというと、「お金じゃない、ハートが大事だ!」みたいな清廉潔白な人や組織が多い中で(それはそれでもちろん素晴らしいし、大事なことだが)、社会に貢献するための活動を”持続的”かつ”効果的”に実施していくための財務ストラテジーを持ち、それをビジネスマインドを持って推進しているところが、本当にすばらしい。驚嘆しました。尊敬です!
非営利組織経営の神様のドラッカーも感心すること間違いなし?久しぶりにドラッカーの本を読み直そうという気にもなりました。とにかく見習わせてもらうところが、たくさんありました。
さらに付け加えると、館長さんは、ボランティアさんたちが活動してくれる時間も、非常に得がたい「寄付」だということを強く仰ってました。In-kind donation(金銭以外の寄付、支援、サポートなど)ですね。それを、単に労働力としてみるのではなく、財務ストラテジーの中で考えておられるのが、すばらしい。
いやあ、とにかく同じく非営利組織を経営するものとして、大変刺激になった東京美術館訪問でした。
お子さんがいる人もいない人も、是非一度足を運んでみてください。
東京おもちゃ美術館のホームページはこちら → http://goodtoy.org/ttm/index.html
ロハスクラブのホームページはこちら → http://www.lohasclub.jp/
ロハスクラブ評議会の定例会に行ってきました。いつもの会場と違い、今回は新宿区四谷にある東京おもちゃ美術館での定例会。
5月に行われるロハスデザイン大賞の概要についての報告のあと、東京おもちゃ美術館の館内ツアーと多田館長からのお話がありました。
四谷の廃校舎に入っている東京おもちゃ美術館は、単におもちゃを展示してるだけでなく(もちろん、展示してあるおもちゃ見てるだけでも、結構楽しいんだけどね。図書コーナーには、僕が小学校のころ夢中になって遊んだミクロマンの本もあった!)、子どもからお年寄りまで楽しめるような展示・活動や、特に木のおもちゃにこだわりを持っておられるのです。もちろん、おもちゃで遊ぶことも出来るし、おもちゃの工作ワークショップなんかもあって、日中は子ども中心に大変な賑わいとか。
しかし、何がすごいって、まずは来場者数。年間12万人が来館するらしい。月平均1万人、一日平均400人弱。普通の美術館で、この数字はたいしたことないかもしれないけど、NPOが運営していて、有名建築家が設計したハコに入っているわけでもない、廃校舎に入ってる手作り感いっぱいの「美術館」にこれだけ人を集めてるのは、すごい。やっぱりハコじゃなくて、”コンテンツ”がモノ申すわけですね。
で、そのコンテンツ。展示してあるおもちゃとかも楽しいけど、200人以上いるというボランティアの「おもちゃ学芸員」の力がやっぱり大きいんだろうなぁと思います。いろんなワークショップの運営や、もちろん受付とか、ちょっとした案内とか、そういうことを老若男女からなるボランティアが支えてるというか、彼ら彼女らがコンテンツそのものですよね。
そしてそれは単なる「コンテンツ(内容)」ではなく、今の日本が抱えるさまざまな課題への東京おもちゃ美術館からのひとつの提案~赤ちゃんからお年寄りまでが交流できる場、コミュニティで子どもを育てるしかけ、シニア世代の社会参画、日本の森林の再生への貢献(国産の木のおもちゃへのこだわり)、閉塞感で疲れた大人たちのオアシス(笑)~という「コンテキスト(文脈)」の中に「コンテンツ」が位置づけられていて、ストーリーがある。だから、支持され、人が集まるんじゃないかなぁ。
また、この美術館での展示・活動だけでなく、全国各地の自治体と連携して、新生児への国産木のおもちゃのプレゼントとか、木のおもちゃの遊び場スペースを企業と連携して全国各地に設置したり(たとえば自動車ディーラーの店舗に木のおもちゃを使った子どもの遊び場のネットワークを作るとか)と、地理的な広がりを持ってるのも、すばらしいです。ミュージアムショップも国産のおもちゃ(日本のおもちゃ自給率はとても低いとのこと。ほとんど中国製とか)にこだわってて、それが各地の林産地やおもちゃ職人さんにも刺激を与えてるとか。
これらコンテキストに合わせたコンテンツもすばらしいけど、僕がもっとも関心したのは、リソース・モビライゼーション。平たく言えば、お金集めです。
一口館長制度というのがあって、一口1万円の寄付で、積み木に名前を彫ってそれを美術館入り口の壁に並べてるだけなんだけど、すでにウン千万円集まっているとか。みんな、どれだけ名前残したいんや!と。(そういえば、似たような取り組みがうちの近くの逗子海岸の整備でもやっています)
それから、立ち上げ期には、運営支援債とかいう一種の長期債権のようなものを一口ウン十万円で募って、やはりウン千万円調達して初期投資に充てたり。
で、それらの資金調達力を担保に信金から融資を受けたり(一種のプロジェクトファイナンスですね)。
とにかく、NPOというと、「お金じゃない、ハートが大事だ!」みたいな清廉潔白な人や組織が多い中で(それはそれでもちろん素晴らしいし、大事なことだが)、社会に貢献するための活動を”持続的”かつ”効果的”に実施していくための財務ストラテジーを持ち、それをビジネスマインドを持って推進しているところが、本当にすばらしい。驚嘆しました。尊敬です!
非営利組織経営の神様のドラッカーも感心すること間違いなし?久しぶりにドラッカーの本を読み直そうという気にもなりました。とにかく見習わせてもらうところが、たくさんありました。
さらに付け加えると、館長さんは、ボランティアさんたちが活動してくれる時間も、非常に得がたい「寄付」だということを強く仰ってました。In-kind donation(金銭以外の寄付、支援、サポートなど)ですね。それを、単に労働力としてみるのではなく、財務ストラテジーの中で考えておられるのが、すばらしい。
いやあ、とにかく同じく非営利組織を経営するものとして、大変刺激になった東京美術館訪問でした。
お子さんがいる人もいない人も、是非一度足を運んでみてください。
東京おもちゃ美術館のホームページはこちら → http://goodtoy.org/ttm/index.html
ロハスクラブのホームページはこちら → http://www.lohasclub.jp/
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