癒しを求めて宮古島・でも仕事になっちゃう旅 パート1

気候変動ディレクターのYです。
3月末納期の大きな仕事が一区切り。心が自然を欲している!と言い訳しつつ、宮古島を訪れてきました。宮古島は、CIジャパンが2011年に発表した、国際基準で選ばれた日本の「生物多様性の保全の鍵になる重要な地域(Key Biodiversity Area)」のひとつ。選定方法や、日本国内の指定場所等については、KBAの特設ウェブサイトを是非ご覧ください。http://kba.conservation.or.jp/index.html

今まで屋久島、奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島と様々なKBAを訪れてきましたが、それぞれ特有の生態系や生物種、文化と巡り合うことができました。今回もエコツアー三昧の日々でしたが、ほんの一部をご紹介します。

まずは、どの島でも必ず経験してきたシュノーケリング。近くても、島によって微妙に海洋生態系が異なります。今回の最大目標は、ウミガメとゆっくり
泳ぎ、生息環境をじっくり観察する事でした。地元のエコツアーのガイドさんとともに、見つかるかな、とどきどきしながら浜からエントリー。そしたら、ガイドさん、海に顔を入れたとたん「あ、いました!」と。こんなラッキーな事、滅多にないそうです。写真はまだ子供のウミガメだそうですが、私には充分大きかったです。丁度昼食の時間だったのか、とにかく海底から生えている柔らかい藻を食べるのに夢中。私たちの事は、全く無視。40分近く一緒に移動しながら、食事風景を観察することができました。前足を大きく動かして海面に上昇し、海面にぴょこんと顔を出し息継ぎする様子は、まるで海の中を泳ぐ鳥のようでした。一度、こちらを振り返り、私たちの事をつぶらな黒い瞳でじーっと観察していました。大きいカメだと、警戒心が強く、人間に気付くと逃げてしまう事もあるそうです。お互い1分近く観察し合った後、子ガメはまたご飯を食べるのに夢中になりました。私たちは、一体何だと思われたのでしょうか?

夜は、天然記念物で絶滅危惧種のヤシガニを探すツアーに参加。空港でレンタカーを借りる際、事務所で2m位あるヤシガニの剥製を見てびっくり。今回見つけたものは小ぶりでしたが、殻の表皮は赤や青が混ざり複雑なコントラストを織りなす、神秘的な生物でした。大きなヤシガニは、大きな穴の中深くに隠れていて、全体を見ることができませんでしたが、そのハサミの部分の大きさから、おそらく1m近くはあったのではと思います。天然記念物に指定されているものの、宮古島では未だにヤシガニが普通に居酒屋などで出されているそうです。ヤシガニには毒性があるので、毒抜きしてから特別な料理法で振舞われるとのことですが、日本でも絶滅の危機に瀕している生物が普通に食されていることを知り、驚きました。古来からの伝統文化を尊重することと、生物を取り巻く生息状況や環境の変化に順応していくことの難しさを目の当たりにしました。

真っ暗闇のジャングルで、懐中電灯を消してみます。そうすると、草むらの中に淡い光があるのが、目になじんできます。これは、宮古島の固有種であるミヤコマドボタルの幼虫。幼虫時代から光を発するとは、驚きです。

滞在中、宮古島絶好のシュノーケリングポイントと言われる新城(あらぐすく)海岸では、素晴らしいサンゴ礁と魚の群れに感動。一方、浅瀬が続く海岸でサンゴ礁が間近に迫るため、ライフベストを着用、サンゴを傷つけないように細心の注意を払いました。以前、サイパン島を訪問し、素晴らしいサンゴ礁に感動し、10年後に同じ場所を訪れたら、サンゴ礁が全てなくなっていた事があり、呆然とした事があります。ホテルの人に聞いたところ、全て人が傷つけたせいだとのこと。サンゴ礁の減少の原因には気候変動による海水温度の上昇とともに、このように直接的な人災の影響も多い事を忘れてはいけません。

美しい宮古島の自然と生態系が、どうかこのまま保全されますように・・・。そのためには、島で生活する人々、観光業を営む人々、訪問する人々全ての協力が重要です。宮古島が世界的にも重要な生物多様性を有する島、KBAであることを、少しでも多くの人に知ってもらえたらと思います。

続く

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