シンポジウム「環境保全の現場から: 政策、資金、プロジェクトの最前線」総括


仙台で開催された第1回アジア国立公園会議に参加するため、多くの保護地域関係者が来日しました。この機会に、様々な場面でパートナーであるCIジャパン、地球環境ファシリティ(GEF)、世界銀行東京事務所および世界自然保護連合(IUCN)が、それぞれの関係者を集め、海外の保全活動の最前線の様子を、現地の活動関係者の生の声で伝えるシン​ポジウムを、1118日、世界銀行東京開発ラーニングセンターにて開催しました。お陰さまで、会場は40名を越える参加者で一杯になりました。
シンポジウム発表者
アジア各地で実施されているプロジェクトと、その実施に不可欠な政策・資金面の取り組みについて、7つの発表がありました。

冒頭でCIジャパンの日比保史が、生物多様性と自然資本の重要性とCIの資金援助の仕組みについて発表しました。GEFの渡辺陽子は、生物多様性分野におけるGEFの活動について解説しました。IUCNの世界保護地域プログラムのディレクター、トレバー・サンドウィスは、人々の幸福な生活にとって保護地域が重要な役割を果たしていることについて述べました。CIカンボジアのトビー・イーストウは、カンボジアの中央カルダモン保護林における森林保全プロジェクトの様々な課題について、またCIインドネシアのアンジェラ・ビアーは、インドネシア・パプア島西部のバーズヘッド・シースケープにあるラジャ・アンパットにおける、漁船を改造した移動教育施設を使った環境教育プロジェクトについて、それぞれ紹介しました。CIフィリピンのオリバー・コローザは、甚大な被害をもたらした先の大型台風のようなフィリピンの自然災害に対する脆弱性と自然環境の破壊の状況を踏まえ、マングローブや森林の再生プロジェクトなど、自然の力を活用した減災対策の重要性を強調しました。またCIジャパンのプロジェクトの中から、VCSおよびCCB認証プロジェクトであるフィリピンのキリノ州におけるカーボン・オフセット・プロジェクトのドナー・パートナーであるモア・トゥリーズの水谷伸吉氏より、モア・トゥリーズが取り組む森林関連の活動の紹介や、日本企業の気候変動や生物多様性保全への取り組みの傾向についてお話がありました。

発表の後の会場からの質問を交えた議論では、開発と保全が焦点になりました。発表の内容および質問に対する答えから、生物多様性や自然資本を守っていくためには、環境と開発あるいは企業活動が対立するものととらえるのではなく、行政、市民、NGO、企業のパートナーシップ、マルチステークホルダーの調整・協働、そして、環境保護関係者の枠を越え、伝えるべき相手を意識した効果的なコミュニケーションの重要性などが改めて浮き彫りになりました。

今後もこのように、皆様と環境保全についてご一緒に考えていただけるようなイベントを企画していきたいと考えておりますので、ぜひともご参加ください。
環境教育プログラムの解説中のCIインドネシア・アンジェラと会場の様子
コンサベーション・インターナショナル
コンサベーション・インターナショナル
(CI)は、「科学」、「パートナーシップ」、そして世界各地における「フィールド実践」に基づき、持続可能な社会を実現し、人間の幸福(Human Well-being)に貢献することを目指す国際環境NGOです。

GEFは、日本を含めた183か国のパートナーシップにより構成され、開発途上国や経済移行国が地球規模の環境問題(気候変動、生物多様性、国際水域、土地劣化、オゾン層破壊、水銀)に取り組むための活動を支援しています。

IUCN(国際自然保護連合)は、独特の世界的な協力関係のもと、1948年に設立された国家、政府機関、非政府機関で構成された国際的な自然保護機関です。

世界銀行は、188か国の加盟国からなり、貧困削減と持続的成長の実現に向けて、途上国政府に対し融資、技術協力、政策助言を提供する国際開発金融機関です。

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