現役大学院生がきく”CIジャパンスタッフの「世界を舞台に働く」”とは 第3回目 浦口あや vol.1
こんにちは。CIインターンの菊池です。
これからCIジャパンスタッフのインタビュー記事を連載していきます!
CIジャパンでインターンを始めてまず驚いたのが、スタッフがなんと9人しかいないこと!
そして、一人ひとりが何かのプロフェッショナルで、異なる経験と能力を持ち、ユニークで魅力的なのです。そんな彼らが新宿の小さなオフィスから、世界規模の問題に立ち向かうなんて、まるで何かの映画のストーリーのようですよね。
でも、これはフィクションではありません。
彼らのリアリティと魅力をお伝えすることで、CIジャパンのことを少しでも近くに感じて頂ければと思います!!
でも、これはフィクションではありません。
彼らのリアリティと魅力をお伝えすることで、CIジャパンのことを少しでも近くに感じて頂ければと思います!!
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What’s CI?
コンサベーション・インターナショナル(CI)は、地球が長い年月をかけて育んできた自然遺産である生物多様性を保全し、人間社会が自然と調和して生きる道を具体的に示すことをミッションとして設立された国際NGOです。
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今回のインタビューは“浦口あや”さんにお願いしました!東京で育った都会っ子の彼女が、なぜ環境問題に興味を持ち現在の仕事に就くことに決めたのか・・CIに至るまでと現在のお仕事についてインタビューしました!
浦口あや Aya Uraguchi, PhD
コンサベーション・インターナショナル ジャパン
専門は森林生態学(博士/北海道大学)。三菱総研にて、国内外の炭素クレジットを活用した森林プロジェクト形成の支援、森林モニタリング技術に関する研究などに携わる。2010年より現職にて、森林プロジェクト、気候変動分野を担当する。
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菊池:なぜ環境問題に携わろうと思ったのですか?
浦口:きっかけは高校生の時に“石油が枯渇するから大変だ!”ということを聞いたこと。それは大変だ!と思って、資源について勉強しようと思いました。でも、資源探査には必要な物理の“波”の分野がどうしても理解できなくて、断念しました。次に興味を持ったのが“砂漠の緑化”でした。それを、両親に相談したら、環境・生物的なことに関わりたいのであればまず基礎を勉強した方がいいのではと勧められました。確かにそうすれば後から生物を土台とした別の分野にもいけるだろうなと思って生物を勉強することにしました。
菊池:そして、国際基督教大学で生物学を学んだ浦口さんは、その後北海道大学大学院の地球環境科学研究科(博士)で生態学を学びました。大学院での勉強はいかがでしたか?
浦口:大学院まで行って“森林生態学”を勉強したんですけど、それで研究に関してはおなか一杯になってしまって。他にも優秀な研究者はいっぱいるから私でもなくてもなって思ったんです。
これは、全然ネガティブな意味ではなくて、
「自分の人生をかけるならば、もう少し実社会とつながっている仕事がしたいと思った」
だからといって、ドクターまで行ってしまったので、周りに普通の就職をした人もいなくて。“持続可能な土地利用”というのにとても興味があったからそれなら公務員になるのがいいかなと思っていました。
「森林ってすごいシステムだと思いませんか?」
森林や土壌って、それが失われてしまってからでは、人間の力では回復できないんです。
そういうものは戦略的に使っていくべきだと思いました。
その目的ならば環境省かなとも考えたのですが、三菱総研にご縁があって、そこでも“持続可能な土地利用”についての仕事ができるかもしれないと思い就職することになりました。
「その頃に“文明崩壊”という本に出会いました」
ジャレド・ダイアモンド(銃・病原菌・鉄の作者としても有名)が書いた本なんですけど。
そこには、いろいろな文明がどのように崩壊したかということが書かれていて、とても面白くておススメです。
文明が崩壊する理由はいろいろなんですが、その一つとして、森が失われて、耕地としての土地がなくなった・土壌がなくなったというのがあって。
「ああ、これはすごい。こういう問題はこれまで偉大な文明も負け続けてきた、未だに解決ができていない課題なんだと思って」
また一層、持続可能な土地利用に対しての関心が高まりました。
菊池:ありがとうございます。では現在のお仕事について教えてください!
浦口:肩書は“政策パートナーシップシニアマネージャー”というもの。
仕事は大きく分けると二つあって、
「企業との橋渡し」 と 「REDD+」 が私の仕事です。
ひとつ目の、「企業との橋渡し」というのは、CIの窓口となってドナーとなってくださる日本の企業さんとお話をするという仕事です。
こんなことがやりたい、という企業さんと話をして、CIを好きになってもらって、いざプロジェクトが始まったら実際具体的に何をして予算はどれくらいなのかなど事務的・具体的なことをつめてゆきます。その後、フィールドでのプロジェクトの様子を報告書としてドナーの企業さんにお伝えしたり、諸々のコミュニケーションをしたりしています。
ふたつ目の、「REDD+」は、森林を守ることで気候変動を抑制するための国際的な取り組みのことです。
今、世界的にCO2の排出を抑えなければいけないのですが、実は統計によると“世界のCO2排出の10-20%が森林破壊に由来する”といわれています。そこで森林を守ってCO2を減らしたいところなのですが、それは森林破壊の進む途上国の力だけでは難しい。
一方で、先進国はCO2の排出削減の義務を負っています。
一方で、先進国はCO2の排出削減の義務を負っています。
そこで、先進国が経済な支援をして途上国の森林を守ることでCO2を削減できた場合、その分を自国の追うCO2排出削減としてカウントすることができる、という仕組みがREDD+です。
「CIは森林を保全したい。でも、それにはお金がかかる。」
森林を守るための予算の確保の仕方はいろいろありますが、そのひとつとしてこの「REDD+」があります。
「日本でもたくさんのCO2を排出しているから、日本の市場とREDD+を実践することに大きなポテンシャルを感じています。」
日本国内でREDD+を盛り上げたり、技術的な問題を解決するためのお手伝いをしています。
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More about
REDD+
森から世界を変えようとしている「REDD+」についてもっと知りたい方はこちらのリンクをご覧ください!
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菊池:大学院(博士)を卒業されてから(株)三菱総合研究に入社し国内外の炭素クレジットを活用した森林プロジェクトや、生物多様性や環境問題に関する調査などに携わっていた浦口さんですが、その後2010年4月に現職であるCIジャパンに転職されました。転職して変わったことをお聞きしました。
浦口:前の仕事もすごくやりがいのある仕事でした。
違うところは、まず前職は“株式会社”であったこと。株式会社って、株主の利益を優先しなければいけないのだけど、その部分にあまりピンと来なくて。
「NGOであるCIに転職してからは、株主のことを考えなくてよくなった。
そして、CIと私のミッションがバッチリ一致しているので、そこがとてもシンプルになりました。」
また、以前は対外的に自分の考えたことを発信するときに、何を代表して言えばいいのかというのが難しかった。会社を代表してというには会社が大きすぎたし、お客様の代表というのもそんなに簡単ではないし、
「でも、CIではCIのミッションさえ理解すれば、自分の意見を対外的に発信しやすい。」
その点は楽になりました。
あとは、海外とのやり取りが飛躍的に増えました。世界中にオフィスがあるので。
「同僚がいろいろな文化的背景を持っていて、いろいろな文化に配慮しなければ成り立たないというのが面白いです。」
菊池:CIで働くことの“やりがい”ってどんなところですか?
浦口:私の仕事は、基本PCの前に座っているか、いろいろなパートナーに会っているかなので、仕事内容としては普通の会社員とそれほど変わらないんですよね。でも、たまにフィールドに行くと、ああ、私は“これ”を実現する一部なんだなって実感できる。
「フィールドに行って地元の人たちに会うと、とても喜ばれて、それがどれだけ大切なことかっていうのを肌身で感じます。そして、それは地球全体の課題解決につながっている。そこに携われているっていうことにやりがいを感じます。」
あとはCIのフィールドの人たちがかっこいい。
メールなんかでやり取りとかしていると、期待通りの返信が返ってこなかったりするんですが、いざ一緒にフィールドに行くと、地元の人たちとの関係の築き方とか、どのように情報を引き出すかとかがものすごくプロフェッショナルで。
「たぶん、すごくいろんな難しさを日々解決しながら、日々悩みながらやっているんだろうな。というのを見ると、かっこいいなあと思う。」
もうひとつ。私は新しいことを知ることが好きなんですけど、この仕事をしていると日本にいると全く想像できないような文化や自然について知る機会が多くて。例えば、プロジェクトの報告について調べたり文献を読んでいるうちに、アフリカの文化の中でこことここがつながっているんだ、というのが見えたりすることがすごく面白い・・
「これは、やりがいというより、面白いと感じることですね。新しいことを学べて面白い。」
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森林というシステムに魅せられて、そして“持続可能な土地利用”につながる仕事に就くことを決心した浦口さん。
今回のインタビューで印象的だったのは浦口さんの“すごい”“面白い”とあらゆることを追求していく姿勢でした。そして、その中で知った感動や学びを実社会に役に立てたい、他の人にも知ってもらいたいという情熱も、インタビューのいたるところからひしひしと(いやビシビシと!)感じました。
次回は、そんな浦口さんの人柄にもっと迫るべく、お仕事以外のお話も聞いていきたいと思います!
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