イオン環境財団主催、第6回 生物多様性日本アワード(国内賞)授賞式を見学してきました!
9/26(木)、国際連合大学で行われた、第6回 生物多様性日本アワード(国内賞)の授賞式を見学してきました。公益財団法人イオン環境財団が主催する本イベントは、2009年から2年に一度開催されており、今年で6回目です。
生物多様性日本アワード(国内賞)とは、①生物多様性の保全、②生物多様性の持続可能な利用、③生物多様性の普及・啓発を目的とする国内の取り組みを対象としており、審査委員会による審議のうえ、応募された取り組みの中から5団体を“優秀賞”、またその中から1団体を“グランプリ”として表彰するものです。
授賞式では、優秀賞を受賞された5団体による取り組み内容の発表と、グランプリの発表・授与式、そして青山学院大学 教授でおられます福岡伸一教授による記念講演が行われました。
2019年度のグランプリは、株式会社コクヨ工業滋賀の“ヨシで琵琶湖を守るリエデンプロジェクト”が受賞されました。琵琶湖周辺のヨシに関する“保全活動”と“活用”の両輪で、環境の保全・維持を目的とした事業を2007年から行ってこられました。
ヨシは、琵琶湖の水質浄化や魚や水鳥等の生態系の保全、そして波風・水流から湖岸の浸食を防ぐ役割も担っています。また、ヨシは伝統的に生活の中で活躍してきた植物であり、よしず(ヨシで作られたすだれ)やよしぶき屋根として利用されてきました。しかしながら、最近ではライフスタイルの変化により、ヨシは生活から離れていっているのが現状です。取り組み内容の発表の際には、琵琶湖周辺で伝統的に行われてきたヨシ産業の衰退と、それによって引き起こされるヨシ原の荒廃とヨシ文化の崩壊に問題意識を持ち、活動が始まったとお話しされていました。一方、滋賀県は琵琶湖とその周辺の環境保全のために、さまざまな条例を制定してきました。このような背景があり、ヨシの活用とヨシ文化と琵琶湖の環境の保護をめざしてプロジェクトは進められてきました。
また、ヨシを刈って琵琶湖周辺の環境を整備し、そして刈ったヨシは文房具製品へと作り替えるという取り組みの中で、様々な工夫が行われていることが説明されていました。130社もの会社とネットワークを構築し“地に足の着いた”活動を行っているということ、ヨシから作られた製品をキャラクターや地域文化とコラボレーションすることで、付加価値をつけて販売力をアップさせていること、そして多くのボランティアに参加してもらえるような魅力的な活動の実施やネットワークづくりに力を注いでおられることなどを、お話しくださいました。
地元(琵琶湖)の環境を守りたいという強い意志と、活動を持続させていくための工夫が伝わってくる、とても刺激になる発表でした。
式の後半では、青山学院大学 総合文化政策学部にご所属で、生物学者でもおられます福岡伸一教授から、「生命を捉えなおす」というテーマで記念講演が行われました。機械論的に生命を捉える従来の見方に対し、生命は、“合成と分解の絶え間ない均衡”であるとする“動的平衡的生命観”を提唱されました。この見方を環境保護・保全活動にも広げて、生命は長期的な合成・分解を通じて均衡を保っているという視野を持つことで、長期的で効果的な活動が可能になるのではないかとまとめられました。
今回の授賞式を見学させていただき、実際に行われている素晴らしい取り組みの数々に触れ、環境保護・保全活動のアプローチの多様性を感じられました。小学校で行われている取り組みや地域全体で支えている活動など、それぞれ工夫によって、活動の持続可能性を確保しているということも新たな発見でした。
また、実際の活動だけでなく、記念講演で拝聴したような、アカデミックなアプローチもこれからどんどん進められていくのではないかと感じました。
従来の見方にチャレンジしていくことと、自然環境や伝統を守っていくこと。これらが進められている現場に触れることができ、環境保護・保全に対して前向きな姿勢を知ることができる貴重な機会となりました。
CIジャパンインターン
齊藤
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