コロナウイルスが気候交渉を中断させてしまうなら、他のやり方を見つけなければならない

CI staff participate in climate negotiations in Bonn, Germany, June 1-11, 2015 © Rowan Braybrook
※本ブログは、CI本部ブログの“If coronavirus halts climate convenings, ‘we must find other avenues for progress’” を日本向けに和訳編集したものです。

Written by Kiley Price

世界的なパンデミックに見舞われている真っ只中、気候変動を食い止めるための闘いに、新型コロナウイルスがどんな影響を及ぼしているのか、考える人はあまりいないかもしれません。

しかしながら、命にかかわるウイルスの感染が世界に瞬く間に広がり、現時点で400万以上の人々(2020年5月11日現在)が感染してしまった今こそ、私たちはこの重要な問題について考えるべきだと、気候の専門家は言います。

「新型コロナウイルスの爆発的な拡大は、各国が炭素排出削減を約束する大胆な目標を設けるための重要なプラットフォームである、主要な気候会議の計画を遅らせる可能性があります。しかし、人々が一つの場所で集まれないからといって、各国の責任がなくなるということではありません。」と、コンサベーション・インターナショナルの気候政策専門家、マギー・コムストックは話します。

「気候変動の最も深刻な影響を避けるには、もう10年間しか残っていません。2020年も、引き続き気候変動に取り組むべき年です。ウイルスの影響で、特に航空便の欠航・減便によって世界的な排出量は減少傾向にありますが、COVID-19の長期的な影響は、気候変動の進行を緩やかにするための取り組みをひっくり返してしまうかもしれません。」

既に、今年2月にローマで行われていたポスト2020生物多様性世界枠組みに関する第2回公開作業部会は、ヨーロッパにおける感染の急拡大によって多くの参加者が途中帰国するなど、影響を受けました。

「私たちは週の半ばで会議を去りました。全く来られなかった人達もいました。」
 コンサベーション・インターナショナル国際政策・バイスプレジデント、リナ・バレラ

感染の拡大で、スコットランド・グラスゴーで行われる予定だった2015年のパリ協定下での公約を成し遂げるために各国のリーダーが集まる、国連気候変動枠組み条約会議のプレナリーミーティングも同じように影響を受け、延期となってしまいました。

バーチャル会議で話し合い?でも同じではない

では、コロナウイルスの影響でこれらの交渉が行われなかったらどうなるでしょうか?

一つ目の選択肢として、バーチャル会議をすることができます。これによって会議を開催することができるものの、いくつかの障害がある、とコムストックは言います。

「私たちはバーチャルでの世界的会議に慣れなくてはいけません。試行錯誤しながら慣れるしかありませんが、私たちには失敗する時間がほとんど残されていません。これは交渉の場では特に難しいことです。」

「多くの途上国では、技術やインターネット接続へのアクセスが限られています。技術的な問題によって、彼らの声が失われてしまう可能性もあります。」

またコムストックは、バーチャル会議は気候危機に直面する世界のリーダーたちが、互いの妥協点を探るために重要な「個人的な関係」を築くことを妨げてしまうのでは、といいます。

「世界のリーダーたちが、同じ席についたり、代表者と廊下で会ったり、といった実際に会ってお互いとつながることはとても大切なのです。」

こういった交渉は重要ですが、世の中の感染拡大への関心が気候危機への関心を上回ることで、政治的な意思が弱くなってしまうことが懸念されています。それは、どんなに交渉をしても変えられないことです。

ブラッド・プラマー氏とヘンリー・ファウンテン氏は、ニューヨークタイムズ紙で、コロナウイルスや原油価格戦争などの経済的危機状況下では、人々の関心が気候問題よりも経済へ向くと書いています。

原油価格の暴落や感染拡大によって起きている旅行の自粛は、永久的に私たちの生活を変えてしまうものなのでしょうか?

企業は、再生可能エネルギーがリスクの少ない投資だと判断するでしょうか?
政府はこれを機に新たな気候政策を確立するでしょうか?

それは、時が経てばわかります。

希望の兆し?

コンサベーション・インターナショナルの気候変動バイスプレジデント、のシャイラ・ラガヴは、この世界的に気候会議が休止している中にも、一つ良い点があると言っています。

「様々な会議の延期は、こうした大規模の会議が成功するためには、どんなアプローチを取ったらいいのか、いつもと違った視点を与えてくれます。私たちはさらなる成功をもたらすような合意が形成されるよう、普段と異なる、もしくは従来のやり方ではない、つながりかたを見つけなければいけません。」

「コロナウイルスによる気候行動への影響で、私たちは、これまで行ってきたことの何が成功しているか、今後進んでいく上での課題は何か、気候危機にどのように適応させていくか、再評価せざるを得なくなっています。」

「私たちは改めて、気候行動への決意を取り戻して、地域の自治体とのつながりを強める必要があります。」

気候行動へ自治体を巻き込むことはとても重要です。

例えばアメリカの州、都市、企業が発表した方針が実行されれば、アメリカの排出量を2025年までに最低17%減少することができることが見込まれています。

トランプ政権が正式にパリ協定を離脱したとはいえ、2,700以上の都市、州、企業、団体が、気候変動の進行を緩やかにするために炭素排出量を削減すると誓いました。

「自治体、都市、企業は、国の政策を待つ必要はありません。今からでも変化をもたらすことができます。既に、多くの人々が行動を起こしています。」とラガヴ氏はコメントしています。

「気候変動対策を進めるには、グローバルなスケールで集まることが求められます。でも、もしコロナウィルス問題によって集まることが難しければ、私達は前進するための他のやり方を考えなければいけません。」


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