OHI目標解説 その3 「場所のイメージ Sense of Place」


インターン生のFです。今回はOHIの目標の一つ「Sense of place」を紹介します。和訳が難しいのですが、日本語では「場所のイメージ」と訳しています。

私たちが文化的アイデンティティーの一部として大切にしている、沿岸および海洋システムを評価するものです。「場所のイメージ」には、次の2つの要素があります。

「象徴的な種」
以下の4つの項目の1つ以上が該当する、地域の文化的アイデンティティーを形成する動植物種のことです。
1) 釣りや狩猟といった伝統的な活用および商業利用
2) 地域における宗教的,民族的利用
3) そのものの存在価値
4) 地域における美的価値(観光の目玉になるクジラなど)



象徴種は、WWFがまとめた優先種(Priority Species:人の健康、生計、文化のために特に重要な種)とフラッグシップ種(よく知られている、人気がある種)のリストをもとに選んでいます。グローバルリストには、アホウドリ、サケ、サメ、クジラなどが載っています。全世界を対象に作成されたリストから、各国に関係する種を抽出して国別(EEZ別)リストを作っています。文化的な視点から全世界で種を評価したリストはOHIだけです。その種にIUCNのレッドリストのカテゴリーに基づいて、絶滅の心配が少ないLCと評価されている種は1.0点、逆に絶滅した種は0点、絶滅危惧のENの種は0.4点といった具合に点数を与え、平均します(結果は0から1の間の数字になります)。それぞれの種の個体群の傾向(増減)や脅威になるもの、講じられている対策の有無も加味して最終的な評価点が計算されます。

「特別な場所」  
「特別な場所」とは、美的、精神的、存在価値的、レクリエーション的価値をもつ「場所」のことです。それらが改変されたり破壊されたりしないように保護されているかどうかを定量化して評価します。「特別な場所」はどう選ぶかですが、そのようなものを世界全体で評価した資料はありません。そこで、保護地域がそれにあたるとしました。明らかに大雑把ですが、全く見当違いではないでしょう。問題は、参照点(目標)をどう設定するかです。今回は、世界中で、特別な場所の海岸域全体に対する割合は30%であると仮定しました。そして、現状の保護地域の割合が目標である30%にどれだけ近いか遠いかを評価しています(現状の%÷30%。結果は0から1の間の数字になります)。現状では、海岸の20%が保護されていれば、この要素の点数は0.66(20%÷30%)です。

「場所のイメージ」のスコアは、「象徴種」と「特別な場所」の平均×100です。

今年の発表では、グローバルスコアは55点、日本のスコアは77点です。




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