【UNFCCC COP18】CIサイドイベント REDD+における企業の役割

  気候変動プログラム・ディレクターのYです。交渉6日目、現地時間土曜日です。全てのSBSTALCAの協議が遅れに遅れ、本日午後早めに予定されていたSBSTAの報告セッションは、現時点で夜19時開始予定。が、これも本当にあるかどうか分かりません。LCAでは、現在クローズドで議長が各国からの意見を吸い上げる「ストック・テーキング」という会議を行っています。ということで、今日はまだ何も書く事がないので、今週木曜日に開催されたCI主催サイドイベント「企業によるREDD+への投資」の報告をします。以下の5名が参加し、発表を行いました。

1.  Agustin Silvani -  マネージング・ディレクター/カーボンファイナンス/ CI
森林減少による世界の年間温室効果ガス排出量が約16%を占める中、森林保全は最も効率的で費用対効果の高い気候変動対策。現時点では、森林由来のクレジットはボランタリー市場を中心にした取引が顕著。CIでは世界20カ国以上で様々な森林再生・保全イニシアチブを実施する他、REDD+の実施に必要な様々なツールを開発。現在、世界銀行IFCや民間金融機関等と、REDD+への投資を前提としたボンドを構想中。

2.  Eduardo Durand - Climate Change Lead ペルー政府
ペルー政府は、20106月にUNFCCC事務局に対し、「途上国による適切な緩和行動(NAMAs)」を提出。主にアマゾン地域を対象としたREDD+イニシアチブは、NAMAの中に明確に位置付けられている。REDD+イニシアチブとして、アルトマヨ地域(CIとの連携により、Verified Carbon Standards/VCSの有効化と検証を終了)、州レベル、国家レベルへとREDD+プログラムを展開していく「Tiered Approach」を採用。アルトマヨのREDD+イニシアチブには、CIの支援によりディズニー社が投資。

3.  Jorge Mario Rodriguez - Director General, FONAFIFO, コスタリカ政府
世界で初めて、「生態系サービスへの支払い(Payment for Ecosystem Services)」を法制化し、環境破壊の危機に瀕していたコスタリカの森林回復に成功。エコツーリズム、コーヒー栽培、森林保全に貢献する民間企業へのインセンティブなど、国を挙げた政策と民間の連携による成功例が既に実証されている。

4.  Mike Korchinsky - CEO, Wildlife Works
世界で初めてVCS/Climate, Community and Biodiversity Standardsの有効化に成功、ボランタリー市場でREDD+クレジットを生みだす。地元密着型の企業として、雇用を生み出し、生計向上や教育支援にも着手。地元の信頼を得た企業による取り組みの成功例を紹介。

5.  Naomi Swickard - AFOLU Manager VCS Association
ボランタリー市場で先行して使用されているVCSは、企業や政府等、多くのREDD+関係者に利用されている。プロジェクトから国家レベルへのボトムアップ・アプローチによるREDD+イニシアチブの展開は、ペルー等様々な国々でいくつか採用されている。

世界の森林破壊のスピードを少しでも食い止め、気候変動のみならず、森林地の生物多様性や人々の生活を守って行くために、出来る事から着実に始めていく、というこのような取り組みは、UNFCCCREDD+交渉においても、大変重要な参考例になります。世界的な合意形成をリードするような取り組みが、今、まさに求められているからです。UNFCCCにおける政策議論の進行と、現場の人々の今現在のニーズを考えながら、これからのREDD+の交渉への貴重なインプットとなるようなイニシアチブ形成に関わって行くことは大変重要だと感じました。


【CIサイドイベントの様子】

人気の投稿