パンデミックの中の希望ー森林保全が人々にもたらしたもの


南米ペルーでは、新型コロナウイルスのパンデミックによって何百万人もの人々が職を失いました。しかし、アマゾンとアンデス山脈がつながる地域に位置するアルトマヨ森林保護区のコーヒー生産者たちは違いました。都心から離れた森林で暮らすアルトマヨのコーヒー生産者たちは、2020年に336トンのオーガニックフェアトレードコーヒーをヨーロッパ、ニュージーランド、アメリカに輸出し、前年の30%以上の収益を生み出しました。

コーヒー生産者たちは国連が支援するREDD+に支えられました。このプログラムは、森林を守ることで、森林破壊によって排出される二酸化炭素の排出を防ぎ、コミュニティや地域、国にインセンティブをもたらします。アルトマヨのREDD+プログラムは、コンサベーション・インターナショナル(CI)の支援のもと、地域コミュニティやペルー政府とのパートナーシップにより、カーボンクレジットの販売による収益を自主的な自然保護協定の資金として活用しています。協定は、コミュニティの支援を活性化することを目的としています。それにより、保護された森林で暮らすコーヒー生産者に農業支援とファイナンスのスキル構築の機会をもたらし、コーヒーの専門市場への参画を可能にしました。こういった便益と引き換えに、コーヒー生産者は森林破壊実質ゼロにコミットしています。


© CI/photo by Bailey Evans


182,000ヘクタールにも渡るアルトマヨ森林保護区はニューヨーク市の2倍もあり、絶滅危惧種の動物や植物の生息地で、地域の250,000人に水を供給する重要な地域です。アルトマヨは保護区であるものの、農地の拡大や、非持続的なコーヒー農園、違法伐採の影響で森林破壊が進んでいました。

CIはこの負のサイクルを止めるために、森林が気候危機を緩和し、清潔な水を供給し、地域コミュニティに持続可能な生計手段を提供する力に経済的価値をつけるために地域コミュニティと取り組みました。2020年までに840メトリックトンの温室効果ガスの排出を防ぐことができました。これは、毎年15万台の車が路上からなくなるのと同じ効果があります。

©Alex Bryce

カーボンクレジットの利益は自然保護協定を締結した1,100世帯の生計を支えています。コーヒー生産者の一人Carrasoさんは、10人兄弟の長男です。Carrasoさんは高等教育を受けることができませんでしたが、コーヒー生産による収入で20歳の息子を大学に通わせ、環境工学の学士を得ることができました。

「自然保護協定を締結してコーヒー生産がスタートしてから人生の質が高まりました。以前のような長時間労働もなくなり、穏やかに過ごしています。収入が向上したことで息子が大学に入ることもでき、娘も小学校に通っています。今までではあり得なかったことです。今では、コーヒー以外の作物も育てています。」

CIは世界中で自然を守ることを通して人々の生活を支える取り組みを行っています。地球規模の課題を解決するためには、地域レベルでの取り組みが必要不可欠です。現地コミュニティにとって便益があり、世界的なインパクトをもたらすことのできる自然環境を守り続けるために、CIはこれからも皆さまと一緒に活動し続けます。

冒頭写真:コーヒーができるまで。ペルー、アルトマヨ森林保護区にて(©Alex Bryce)

本記事は本部ブログ"As pandemic pounded Peru, one region thrived on coffee, carbon"を和訳・編集したものです。

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