生物多様性条約COP11報告No5 資金動員の合意により閉幕
COP11に参加していた生態系政策マネージャーのNです。COP11は、資金の議論が長引きましたが、大きな成果をあげて日付をまたいだ20日未明に閉幕しました。私は帰国のフライトの関係で最後までいられなかったのですが残念です。CIは早速プレスリリースを出しました。下記は和訳版です。
最終プレナリーの開始を待つ参加者 |
COP11で、約200カ国の代表は、2015年までに、先進国から途上国に流れる資金を倍増することに合意した。
インド・ハイデラバード(2012年10月20日) 生物多様性条約第11回締約国会議の閉幕に当たり、コンサベーション・インターナショナル(CI)は地球の生物多様性を守るために意味ある前進がなされたことを歓迎する。生物多様性は、人類の生活に不可欠な再生可能な自然資本である。同時にCIは、急速な生物多様性の損失を止めるには、2020年までにさらに多くの取り組みが必要とも主張する。
締約国は、先進国から途上国への国際資金フローを2015年までに倍にするという目標を設定した。同じレベルの投資は2020年まで維持される。
「この合意につながった建設的な姿勢と協力を評価し、愛知ターゲットの達成に向けて前進する勢いが得られたことをうれしく思うが、世界の生物多様性を守るために必要なリソースの大きさを考えると、投資レベルが実際にどうなり、それが十分なのかどうかについて懸念を持っている」と、CIの生物多様性・生態系サービス担当ディレクターのリナ・バレラは語る。
さらに、「必要とされる総額は数千億ドルであるが、我々の計算によると、今から2020年までの間、国際援助に向けられる公的資金を毎年平均で120億ドル、途上国を含めるすべての国における生物多様性のための予算を毎年平均で480億ドル増やすことで達成できます」と語る。
CI会長のラッセル・ミッターマイヤーは、「持続可能な開発と生物多様性をいっしょに考える意識が深まっていることは、明るい兆しです。長期的に持続可能な経済成長は、国家計画で自然資本の価値をしっかりと位置付けているかどうかにかかっています。」と語る。
この原則は、CIがボツワナ政府とともに開催したアフリカ持続可能性サミットで調印されたガボロネ宣言で支持されている。今年6月のリオ+20サミットでは、50を超える国と86の企業がこの 自然資本勘定の概念に賛同した。ハイデラバードのCOP11では、国連開発計画(UNDP)が愛知ターゲットの達成に強い支持を示した。「再生可能な自然資本はこれからの開発計画の中心になるという認識が広く受け入れられてきていると感じています。これは正しい方向への確実なステップです」とミッターマイヤーは語る。
また、「ここでの前進は価値あるものだが、明らかにまだ不十分です。韓国で2014年に開かれる次の締約国会議は、国連生物多様性の10年のほぼ中間点になります。この星が直面している状況はこれまでになく危機的で緊急の対応を要します。毎年絶滅が増加している状況で、愛知ターゲット達成に向けた世界中の国々が一丸となった取組の必要性が一段と高まっています」と語る。
バレラは、「いま自然に投資しなければ、世界の生物多様性とそこから得られる生態系サービスの損失は膨大になります。困難な課題から目をそらさず、自然を守れば、食料安全保障、人類の健康、きれいな空気や水、生計手段の確保、経済発展、貧困解消などの形で大きな利益となって返ってきます。私たち全員を支える地球を守るために、一丸となって行動を続けていかなければなりません」と結論した。
生物多様性条約事務局長ブラウリオ・ディアス氏と開催国であるインドのリーダーシップは称賛に値する。インドのマンモハン・シン首相の生物多様性保全のために5000万ドル用意するという発表は、途上国からの大きな貢献であり、すべての国が再生可能な自然資本に投資する必要があることを示したものとして歓迎された。インドは名古屋議定書も批准した。世界で7番目である。
「ディアス事務局長のリーダーシップと、議長国インドの再生可能な自然資本、特に国内にある4か所の生物多様性ホットスポットを守るための決意を楽しみにしている」とミッターマイヤーは語る。