OHI目標解説 その2 「食糧供給」
広報の磯部です。
CIスタッフが解説する、「海洋健全度指数(Ocean Health Index:OHI)」を構成する10の目標。それぞれの目標は、人が海から得ている“便益”という観点で設定されています。第2回目にご紹介する目標は、「食糧供給」についてです。
私たち日本人にとって食卓にならぶ魚介類は、古くから馴染みのある日常的な食べ物です。日本人の一人当たりの魚介類摂取量は、世界で第6位となっており(※1)、魚介類は私たちの生活に欠かせない食料の一つですが、日本人だけでなく、魚介類は世界人口の約半分以上にたんぱく源を供給しており、4人に一人は、毎日の必要なたんぱく源を魚介類から摂取しています。
昨年世界人口が70億人を突破し、食料として魚介類への依存が今後ますます強まるなか、持続可能な漁業が重要なのは言うまでもありません。
OHIの「食料供給」目標の評価は、「天然漁獲量」と「養殖漁獲量」の二つに分けてデータを使用します。持続可能な状態で漁獲されている、または、養殖されていれば、スコアは100点満点となるわけですが、では“持続可能な”漁業とは、具体的にどのよう評価されるのでしょうか?
「天然漁獲量」では、複数種最大持続可能漁獲量(multispecies Maximum Sustainable Yield:mMSY)を参照しますが、mMSYが過大評価だった場合を考慮し、mMSYで指定された漁獲量の25%をマイナスした75%を基準点として、スコアを算出します。天然魚介類は、現在の主要な食料供給源となっていますが、持続可能な漁業は、長きにわたり海が継続的に魚類を生み出し続けることができるためにとても重要です。
「養殖漁獲量」では、単位面積あたりの養殖量を、同種で世界最大の養殖量の最大値と比較して評価されます。
世界の天然水産資源の漁獲量は下降の一途を辿っており、87%は過剰に獲られているか既に枯渇しているといわれています。
漁業は、そのやり方によって、海洋に大きな影響をもたらします。特に、大型漁船によるトロール漁や巻き網漁などによる混獲は深刻で、目的の魚を獲るために、毎年約730トンもの魚が混獲され、海に投棄されています。例えば、1キロのエビを獲るために、2~10キロの魚が捨てられるのです。また、途上国などの小規模漁業でも、シアン化物という毒を使って魚を獲る漁法や、ダイナマイト爆弾を水中で使って魚を獲るダイナマイト漁も、海を大きく傷つけます。OHIでは、そうしたマイナスの要因を“Pressure(圧力)”として、逆に、圧力を排除または軽減することにより、正の影響を与える生態学的な要因や、社会的措置(政策、法律など)を、“Resilience(回復力)”として計算式に組み込み、現在の海洋の状態を数値化します。
”回復力”には、現在193カ国が参加している生物多様性条約や、海洋保護区政策、漁場管理など社会的な項目が含まれます。
「食糧供給」目標では、グローバルスコアが24点のところ、日本は56点と第4位です。上位の国は第1位がフランスで72点、中国とカナダが63点、と養殖技術の高い国が上位にランクしているようです。が、OHIの目的は、ランク付けをすることではありません!天然の水産資源が枯渇してしまう前に、漁業のあり方を見直し、そして、増える人口を賄うためにも、持続可能な養殖は不可欠です。
今後、スコアは毎年更新されていきますので、私たちの取り組みがどう状況に変化を及ぼしたかを知ることができます。
海の恵みである魚介類をこれからも食べられるよう、皆で考え取り組むことが必要です。今日の食事に感謝しながら、その魚がどこからどのように来たのか・・・考えてみましょう。食べることが悪いのではなく、やり方が重要なのです。
※1・・農林水産庁発表資料より
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/gyokai/g_kenko/tokucyo/index.html
CIスタッフが解説する、「海洋健全度指数(Ocean Health Index:OHI)」を構成する10の目標。それぞれの目標は、人が海から得ている“便益”という観点で設定されています。第2回目にご紹介する目標は、「食糧供給」についてです。
私たち日本人にとって食卓にならぶ魚介類は、古くから馴染みのある日常的な食べ物です。日本人の一人当たりの魚介類摂取量は、世界で第6位となっており(※1)、魚介類は私たちの生活に欠かせない食料の一つですが、日本人だけでなく、魚介類は世界人口の約半分以上にたんぱく源を供給しており、4人に一人は、毎日の必要なたんぱく源を魚介類から摂取しています。
昨年世界人口が70億人を突破し、食料として魚介類への依存が今後ますます強まるなか、持続可能な漁業が重要なのは言うまでもありません。
OHIの「食料供給」目標の評価は、「天然漁獲量」と「養殖漁獲量」の二つに分けてデータを使用します。持続可能な状態で漁獲されている、または、養殖されていれば、スコアは100点満点となるわけですが、では“持続可能な”漁業とは、具体的にどのよう評価されるのでしょうか?
「天然漁獲量」では、複数種最大持続可能漁獲量(multispecies Maximum Sustainable Yield:mMSY)を参照しますが、mMSYが過大評価だった場合を考慮し、mMSYで指定された漁獲量の25%をマイナスした75%を基準点として、スコアを算出します。天然魚介類は、現在の主要な食料供給源となっていますが、持続可能な漁業は、長きにわたり海が継続的に魚類を生み出し続けることができるためにとても重要です。
「養殖漁獲量」では、単位面積あたりの養殖量を、同種で世界最大の養殖量の最大値と比較して評価されます。
世界の天然水産資源の漁獲量は下降の一途を辿っており、87%は過剰に獲られているか既に枯渇しているといわれています。
漁業は、そのやり方によって、海洋に大きな影響をもたらします。特に、大型漁船によるトロール漁や巻き網漁などによる混獲は深刻で、目的の魚を獲るために、毎年約730トンもの魚が混獲され、海に投棄されています。例えば、1キロのエビを獲るために、2~10キロの魚が捨てられるのです。また、途上国などの小規模漁業でも、シアン化物という毒を使って魚を獲る漁法や、ダイナマイト爆弾を水中で使って魚を獲るダイナマイト漁も、海を大きく傷つけます。OHIでは、そうしたマイナスの要因を“Pressure(圧力)”として、逆に、圧力を排除または軽減することにより、正の影響を与える生態学的な要因や、社会的措置(政策、法律など)を、“Resilience(回復力)”として計算式に組み込み、現在の海洋の状態を数値化します。
”回復力”には、現在193カ国が参加している生物多様性条約や、海洋保護区政策、漁場管理など社会的な項目が含まれます。
「食糧供給」目標では、グローバルスコアが24点のところ、日本は56点と第4位です。上位の国は第1位がフランスで72点、中国とカナダが63点、と養殖技術の高い国が上位にランクしているようです。が、OHIの目的は、ランク付けをすることではありません!天然の水産資源が枯渇してしまう前に、漁業のあり方を見直し、そして、増える人口を賄うためにも、持続可能な養殖は不可欠です。
今後、スコアは毎年更新されていきますので、私たちの取り組みがどう状況に変化を及ぼしたかを知ることができます。
海の恵みである魚介類をこれからも食べられるよう、皆で考え取り組むことが必要です。今日の食事に感謝しながら、その魚がどこからどのように来たのか・・・考えてみましょう。食べることが悪いのではなく、やり方が重要なのです。
※1・・農林水産庁発表資料より
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/gyokai/g_kenko/tokucyo/index.html