気候変動を伝えるために立ち上がったハリウッドの大物たち:CI副理事ハリソン・フォード、A. シュワルツェネッガー、ジェームズ・キャメロン

 気候変動に関わる有名なアメリカのドキュメンタリーといえば、アル・ゴアの「不都合な真実」。2006年に公開されたこの映画は、アカデミー賞を受賞。さらにアル・ゴアは、気候変動などの環境問題を世に知らしめた功績により、ノーベル平和賞にも輝いた。当時は、気候変動を知らせることが評価されました。あれから8年・・・。世界の気候変動対策に大きな前進が見えない中、気候変動は世界中の色々な場所や問題に大きな影響を与えています。

 このままではいけない!と、今回、ハリウッドの大物や科学者が立ち上がり製作されたのが、超大作ドキュメンタリー「Years of Living Dangerously」(9回)。エクゼクティブ・プロデューサーの一人には、「アバター」「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が名を連ねています。"ハリウッド一の環境オタク監督"といわれるこの人がプロデューサーとして加わるからには、生半可な作品は許されません!期待どおり、久しぶりに見ごたえのあるドキュメンタリーです。今後放映されるエピソードには、マット・デイモン、A. シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事も出演予定。ちなみに、ハリウッドで自分と同じように泣かず飛ばずだった若き日のシュワルツェネッガーの出世作「ターミネーター」を監督し、カリフォルニア州知事を務めるほどのスターダムにのし上がらせたのも、ジェームズ・キャメロンです。本作品は、ハリウッドでは構想段階から、大物がひしめくドキュメンタリー作品として、知る人ぞ知る企画でした。そしてCIは、この番組の構想に、製作段階から大きく貢献してきました。

Years of Living Dangerously」には、CI副理事ハリソン・フォードが主演する他、CI会長のラス・ミッターマイヤー、科学部門トップのM.
サンジャヤンも出演。つきつけられた「気候変動」という問題を、分かりやすく解説していく役割を担っています。先日、アメリカでエピソード1が放映されました。(ただいま、こちらから視聴可能。)但し、全部英語・・・。そこで、ここで皆さんに、簡単に中身をご紹介します!


Years of Living Dangerously エピソード1

 エピソード1は、インドネシア、シリア、アメリカ・テキサス州、という全く異なる3つの場所から紡ぎだされる、気候変動問題のストーリー。
 ハリソンは冒頭のシーンで、戦闘機に乗り込む。まるで戦争映画かと思わせるようなオープニングと台詞。しかし、彼の今回のミッションは、大気中の温室効果ガス測定のためのサンプル集め。NASAの科学者は、気候変動の原因の20パーセントが森林伐採による温室効果ガスの排出である現実を指摘(ここで、スクリーンを多用し、科学的根拠をつきつけるシーンが凄い!)、ハリソンは、世界でもっとも森林伐採が起こっているインドネシアへと飛ぶ。空からの視界中に広がる森林伐採の現場、森林火災、そしてその後突然現れる、パームオイル畑。パームオイルを多く使用している先進国の一つは、日本だ。
 長く中東問題を追ってきたジャーナリスト、トム・フリードマン(3回のピューリッツア賞受賞、「フラット化する社会」等の著者)は、シリアで泥沼化している内戦の4年前、シリアの歴史上最悪の干ばつが起こり、それゆえ避難民が大量発生していた事実を知る。気候変動と国家の安全保障が直接的に結びつくという現実を、シリアの内戦をくぐりぬけながら丁寧に取材し、暴いていく。
 カメラは、アメリカ南部で起こる干ばつによって、放牧が不可能になり崩壊した町のストーリーをとらえる。しかしこの町の人々は、皆敬虔なクリスチャン。干ばつは神の思し召し。多くは熱心な共和党支持者でもある。自分たちの生活が崩壊しているのに、科学を信じようとしない。その保守的な町に、自分自身も敬虔なクリスチャンである気候変動科学者が、講演に訪れる。


 エピソード
1は、これから始まるシリーズの予告編的な役割を担っています。ハリウッドの大物が集い製作した、秀作ドキュメンタリー。
2015年、国連は全世界が参画する新しい気候変動対策への合意を達成しなければいけませんが、交渉は行き詰まりを見せています。人々の意識を変えようと立ち上がったハリウッド・スターのメッセージを、是非、皆さんにも見て頂きたいと思います。


(番組公式ウェブサイトはこちら)

こちらは「Years of Living Dangerously」番外編: ハリソン・フォードの"Why I Care"ビデオです。彼がなぜこの気候変動問題に関心を寄せているのかを、熱く語ります。あわせてお楽しみください!

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