マンタを守る「マンタ・メジャー」

 


マンタは、海の中で最も高度な知能を持つ魚であり、絶滅の危機に瀕している魚でもあります。

近年、この神秘的で、まるで翼のようなヒレを持つマンタの個体数は、乱獲または混獲が原因で、一部の地域では最大95%まで激減しているため、科学者達はマンタのより良い理解と保護に奔走しています。


そしてこの度、マンタの健康状態、繁殖状況、寿命、個体数の増減などに関する重要なデータを得るための、新しい測定技術が開発されました。

コンサベーション・インターナショナルと共同で開発されたこの技術は、シンプルで効果的です。海面を泳ぐマンタの近くに、PVC(ポリ塩化ビニル)パイプを浮かべて大きさの基準とし、上空からドローンで撮影して、パイプに対するマンタの大きさを記録するのです。

「これは巨大な定規のようなもので、2メートルほどの長さです。私たちはこれを“マンタ・メジャー”と呼んでいます。」とコンサベーション・インターナショナルの海洋生物学者マーク・アードマン (Mark Erdmann) 博士は言います。

マンタを測定する方法の多くは、訓練を受けたスキューバダイバーが水中レーザーやステレオカメラを使って目視で測定するものですが、この方法には危険も多く潜んでいます。ダイバーがマンタの近くを泳ぐ必要があるため、もしマンタが恐怖を感じると、食事や個体間の交流、交尾までも妨害してしまう可能性があります。一方、“マンタ・メジャー”は、 コスト効率が高く、高精度で、危害を与える可能性も低いため、マンタにストレスを与えることなく、大きさを正確に計測することができ、保護活動に不可欠な情報を提供することができます。




「体長から、群れの中の成魚と幼魚の割合や個体の成長速度など、マンタの生態について多くのことがわかります。」とアードマン博士は言います。「これらの情報は、マンタ保護において、漁業や気候変動、その他の脅威による潜在的な影響に関する洞察を与えてくれます。最終的には、各国が立てた目標に沿って展開する保護活動の効果を長期にわたってモニタリングするのに役立ちます。」

“マンタ・メジャー”は、現在ニュージーランドで使用されており、太平洋地域の他の国々にも拡大する可能性があります。空撮用ドローンは、大きな餌場のマンタ個体数の計測や、ボートからでは事実上不可能な育児場所を特定することもできます。

「最もシンプルな戦略こそが、自然保護に大きな影響を与えることがあるのです。」とコンサベーション・インターナショナルのコンサルタントで、“マンタ・メジャー”を幅広くフィールドテストした海洋学者エディ・セティワン(Edy Setyawan)は言います。

「私たちはこの技術を今はニュージランドに生息するマンタに使用していますが、いずれは他の地域に生息するマンタや、サメやクジラなど他の絶滅危惧種にも応用していきたいと考えています。」

 

カバー写真© Shawn Heinrichs
記事翻訳:CIジャパンインターン 佐伯栞

この記事はコンサベーション・インターナショナル本部ブログ “A ‘mantra ray ruler’ could help protect these gentle giants” を日本向けに和訳・編集したものです。

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