COP15閉幕:今後は各国の行動を加速させるとき

 

Gorilla beringei graueri © Cl /photo by John Martin


By メアリー・ケイト・マッコイ(CI エディトリアルライター)

カナダ、モントリオールで開催された国連生物多様性締約国会議(COP15)が閉幕し、2030年までに生物多様性の減少を食い止めるための世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。約200カ国が、2030年までに3分の1の陸と海を保護する「30 by 30」 に合意しました。

今、生物多様性は、危機的状況です。100万種以上の生物が絶滅の危機に瀕しており、人類の幸福を支え、気候の脅威から身を守る生命維持システムの自然が崩壊する恐れにあるのです。

世界目標が採択された今、私たちは何をするべきでしょうか?コンサベーション・インターナショナル国際政策担当シニアディレクター、ジル・ヘップに話を聞きました。


Q:今回のCOP15の合意が生物多様性保全に意味することは?

COP15は、生態系の崩壊を防ぐための「ラストチャンス」と言われていました。今回の合意は、大きな成果だといえます。

大きな成果の一つは、2030年までに地球の30%を保護するという、非常に野心的な目標で、通称「30 by 30」と呼ばれています。これは、これまでにない規模で自然を保全することです。現在、保護されているのは、陸地の17パーセント、海の10パーセントにすぎません。

注目すべきは、今回の合意が、地球の生物多様性の80%を管理しているといわれる先住民の権利と貢献を正式に認めていることです。これまで先住民族は、環境保護活動とは切り離されていました。植民地主義の長い歴史と、場合によっては、“自然保護”の名の下に先住民族をその土地から追い出してきた政策を考えると、この認識の違いは極めて重要です。

もうひとつの重要な目標は、企業が環境に与える影響を開示するよう、各国に奨励していることです。国連によると、世界のGDPの半分以上は自然に依存しているので、これは重要なステップといえるでしょう。

また、湿地、熱帯雨林、サンゴ礁などの生態系管理の改善から、農薬や有害化学物質によるリスクを少なくとも半減するなど、全部で23の異なる目標に各国が合意しました。合意形成までは、簡単な道のりではありませんでしたが、ついに合意形成に到達したのです。


Q:資金調達に関する議論が難航することが予想されていました。どのように費用をまかなうのでしょうか?

JH:現在、生物多様性保全のための資金には7000億ドルのギャップがあると言われています。その資金源の一つが、生物多様性に悪影響を与える約5000億ドルの補助金を保全へ再配分することです。新枠組では、これらの補助金を廃止、段階的廃止、または改革することを検討しています。生物多様性の損失をもたらす行為に税金を使うのをやめようということです。

2023年に設立される「グローバル生物多様性枠組基金:Global Biodiversity Framework Fund (GBF Fund)」を含む、さまざまな資金源から資金を調達することになります。この基金は、政府、民間企業、慈善団体など、あらゆる資金源から資金を得ることができます。今回の合意では、2030 年までに先進国から途上国へ年間 300 億ドルの資金拠出を行うことが明記されていますが、この資金拠出には法的拘束力はありません。

Q:地球の30パーセントを守ることは、大きな取り組みですが、それで充分なのでしょうか?

JH: それは会議で最も注目されたポイントであり、大切なことです。また、残りの70%の地域が“持続可能な形”で管理されていることも重要です。残念ながら、今回の合意では、CIが主張している、人間の福利や気候の安定化にとって、明らかに重要と考えられる特定の地域に焦点を当てる文章を盛り込むことができませんでした。

私たちの新たな調査によると、人々に最も直接的な便益をもたらす地域は、同時に哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類といった陸生脊椎動物全種の少なくとも60%が生息しており、なおかつ、地球上の炭素の80%以上を貯蔵している重要地域とも重なっていることもわかっています。この目標を達成するには時間が少ないため、各国政府の努力と資源をこうした優先的地域へ集中させることが重要です。

しかし良いニュースもありました。人間のニーズを満たすために最も重要な場所に優先順位をつけることが、世界中の国々から広く支持されたことです。最終文書には入らなかったものの、このような“対象を絞った”アプローチを保全に適用しようという意欲は見られます。


Q:今回の合意はどのように実施されるのでしょうか?

JH: 私たちはいつも、目標を立てることは始まりにすぎない -世界的な合意があったことですが- 、これからは、それぞれの国や地域で実務作業を行うことと言っています。

今回のCOP15では、各国の行動計画が生物多様性のグローバルな枠組みに沿ったものとなったことが、ひとつの大きな成果です。以前はそうではありませんでした。以前は、世界戦略と整合しない国家計画もありました。2010年に日本の愛知県で開催された、国連生物多様性サミットでは、しっかりとしたモニタリングの枠組みがなかったために、過去10年間の目標が達成できなかったという失敗がありました。その失敗を教訓に、今回の合意では、目標達成のために十分な行動が取られているかどうかを定期的に評価するモニタリングの枠組みが盛り込まれています。


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本記事は、CI本部スタッフブログ「https://www.conservation.org/blog/cop15-reaches-ambitious-plan-for-nature-now-countries-must-accelerate-action」を日本向けに翻訳・編集したものです。




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