インドネシア西ジャワ州グリーンウォールプロジェクトの現場を訪ねて Vol. 2

By コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 高松美穂


「インドネシア西ジャワ州グリーンウォールプロジェクトの現場を訪ねて Vol.1」はこちら 

プロジェクトで村のコミュニティに設置された3つのウォータータンク


グリーンウォールプロジェクトサイトから水を引き、コミュニティへ供給する「ウォーターステーション」も実際に見ることができました。2011年に設置されてから、現在では3つのタンクで500世帯に安定的に水を供給できるようになりました。タンクにつながっている白いパイプ(1本あたり5.8m)をつなぎ、7キロ離れたグリーンウォールプロジェクトサイトにある上流から、上から下に流れる重力だけで水を引いていると知り、驚きました。 


タンクにつながるパイプを3時間毎(夜間は除く)に入れ替え、タンク内の水の量を調整している

ウォータータンクが設置される前は、コミュニティの人びとは急斜面を下って1キロ先までバケツを持って水を汲みに行っていたそうです。水は生活に欠かせないため、人手が必要なだけでなく、時に危険が伴う作業であったことが想像できます。しかし、グリーンウォールプロジェクトの成果で枯渇していた4か所の水源が回復し、森林エリアからコミュニティの居住エリアまで7キロものにパイプを設置する作業をコミュニティが主体的に実施したことで、水へのアクセスが劇的に改善しました。住民は管理費として5,000ルピア(約50円)をコミュニティに支払い、タンクの管理はコミュニティが行っています。 

ウォータータンクからコミュニティの居住エリアへと続くパイプ

今の課題は、最初に設置したパイプが寿命を迎えているということ。このタイプのパイプはおよそ10年が交換のタイミングといわれているようです。また、所々壊れてしまったり、住民が増加したため、さらにもう1本のパイプを上流から引くためには2,000本のパイプが追加で必要であることが明らかになりました。水へのアクセスが改善したことはとても素晴らしいことですが、設備を定期的にメンテナンスできる環境を整え、持続的にコミュニティがウォーターステーションから水を得られる方法もあわせて考えていく時なのかもしれません。 


視察に同行してくれた現地のチームと一緒に

Photo: © Conservation International / Miho Takamatsu

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