【UNFCCCボン準備会合】:総括

 6月3日より2週間、ドイツのボンで国連気候変動枠組み条約の準備会合が開催されました。その1か月前には、地球の観測史上で初めて、CO2の大気中濃度が440ppmに到達とのニュースが報道されました。地球上の気温上昇を2℃未満に抑えるために、今年の時点で440ppmに到達するスピードは、今後の気候変動対策が追いつかなくなる事が危惧されました。気候変動は、一刻の猶予も許さない地球全体の問題である事が、改めて現実として突き付けられたのです。
 今回のボン準備会合には、170カ国以上から約3千人の人々が参加しました。 今年より、交渉は「ダーバン・プラットフォーム(ADP)」「実施に関する補助機関(SBI)」「科学上及び技術上の助言に関する補補助機関(SBSTA)」の3トラックで進みました。2015年までに、全世界が参加する気候変動対策である「2015年合意」を作り上げ、2020年に実施を開始する。このタイムラインを達成するために、今年はワルシャワで開催されるCOP19前の最後の交渉の場でした。
 ADPの交渉は大変ゆっくりとしたペースで進み、SBIに至っては、アジェンダも採択できずに終了するという事態となりました。条約の実施を交渉するSBIでは、途上国の気候変動対策に直結する「被害と損失(Loss and damage)」「国家適応計画」「キャパシティ・ビルディング」など、多くのアジェンダを交渉する大変重要なスロットです。SBIが立ち上がらないことに、多くの途上国は嘆き悲しんでいました。
 他方、SBSTAではその分多くのスロットが費やされることとなり、「途上国における森林減少と劣化に由来する排出の削減(REDD+)」をはじめ、多岐のアジェンダにわたり前進を遂げる事ができました。
 「2015年合意」に向けて、残された交渉の回数はあとわずかです。気候変動問題は、地球上の全ての国々の協力と努力なしには、達成することができません。2015年合意に向け、全ての国々が様々な知恵を絞り、次世代から感謝されるような世界的な枠組みに合意しなければならない事を、我々全員が胸に刻まなければいけません。人類の叡智を結集させた合意を作るまでに、あと、2年半です。UNFCCCがその舞台である事を、参加する全ての国々が改めて認識し、タイムリミットから逆算しながら国内準備を進めていく事が求められています。このプロセスにおいてリーダーシップをとる国は、今後、世界においてリーダーシップをとる国となるでしょう。

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