今年もやって参りました
今年も気候変動枠組条約(UNFCCC)第12回締約国会議(COP12)兼、京都議定書第2回締約国会議(COP/MOP2)にやって参りました。今年は、東アフリカの雄、ケニア・ナイロビです。去年に引き続き、今回も(なるべく)連日COP/MOPの状況を、CI的視点からお伝えして行きたいと思います。
☆ 今年のCOPは、ナイロビ! ☆
東アフリカは、初めて来ましたが、空港を出るなりサバンナが広がり、いかにもアフリカーってイメージが眼前に広がってて、なかなか雄大です。今回のCOP では、ナイロビで6000人規模の会議を開くキャパがあるのか、早くから懸念されていたのですが、そのお陰でホテルの予約が大変で、結局市内から離れた何もないところのホテルに泊まることになってしまいました。会議場までの移動が大変で、毎朝大渋滞の中を1時間半かけて通っています。唯一、ホテルからの眺めがいいのが救いです。なんせ、市街地に隣接する広大なナイロビ国立公園のサバンナが地平線の果てまで広がっているのですから!
さて、会議は、11月6日月曜から始まったのですが、我々CI-Japanは、月曜到着だったので、2日目からの参加です。
☆ 2013年以降の削減目標の議論 ☆
今回のCOPでの大きな話題は、ひとつは2013年以降(post2012)の附属書I国の削減目標をどうするかという京都議定書3.9条(去年の COP-blog「寝たキングコングをついに起こした!?」などで詳述しています)に関する「Ad Hoc Working Group Workshop(個別作業部会ワークショップ:AWGワークショップ)」での議論の行方。2日目は、朝からAWGワークショップが開かれ、多数の国から様々な意見が出されました。EUからは、EUが平均気温上昇を2℃以内に安定化させる目標であることと、そのためには2050年までに先進国が 60-80%の温室効果ガス(GHG)を削減しないとの意見が出され、途上国のリーダー格であるブラジルからは、各国の「歴史的な責任」と「排出量よりも気温」を指標とした目標設定が提案されました。一方、日本からは、新たな手法の開発が必要との意見とともに、気候変動対策に「めっちゃ真剣(=”deadly serious”の筆者訳)」に取り組んでいるとの意思表明がありました。まあ、総論賛成ながら、まだまだどの国も好きなことを言っている段階という感じでしょうか。というのもこの議題が、COP、COP/MOPの正式議題ではなく、拘束力のない「ワークショップ」という形で取り上げられているので、みんな比較的気楽にいろんな意見を出している状態と感じました。
一方、我々CIにとっても関心は、大きく「森林破壊の防止(Avoided deforestation→詳しくは去年Blogの「SPEAK for the TREES!!」などを参照してください)」と「植林CDM(AR-CDM)」です(これらのCIにとっての重要性にとっては、やはり去年のCOP- Blog参照のこと)。
☆ Avoided deforestation ☆
SBSTAでは、朝一番のセッションで、Avoided deforestationが協議されましたが、主に今年8月にローマで開かれたワークショップについての報告がされた後、各参加者からの意見表明がありました。その口火を切ったのは、気候変動に関する国際先住民族フォーラムの代表者で、先住民族が気候変動対策の名の下に先祖代々受け継いできた土地や生計手段をCDM植林や水力発電CDM事業などに奪われているとのことでした。これは、当然ながら非常に重要な問題で、いくら気候変動対策だからといって、その事業が先住民族を初めとする途上国の(特に貧しい)人々の生活や文化を破壊してはならないわけです。ただ、現状ではCDMは「市場メカニズム」であることと、ホスト国政府が事業の持続可能性に関する承認を与える権限を持つことを理由に、残念ながら真剣に議論されていないのが現状です。他には、アメリカが議論を技術的手法に絞るべきとする一方で、ブラジルが政策協議をすべきとするなど、相変わらずの対立が見られましたが、概ね低調な議論に終始し、具体的な協議は木曜日のコンタクト・グループ(去年Blogの「コンタクト・グループ??」を参照してください)でされることになりました。
☆ CDM関連 ☆
AR/CDMについては、今年は大きな交渉議題はなく、サイドイベントもこのテーマではほとんど企画されておらず、少し肩透かし気味です。午後に開かれた CDM理事会によるQ&Aセッションでは、日本政府の林野庁の方や、中南米グループから、「土地の適格性条件」が最近厳格化されたことに対する反対意見が出されました。また、アフリカの参加者からは、CDM一部の国(中国、ブラジル、インド)に偏っていて、地域的な公平性が確保されていないとの意見が出されましたが、理事会は、CDMは市場メカニズムだから、地域はマーケットによって決まるものだし、そもそもCOP/MOPで議題とされるべき事項だと逃げてしまい、あまり議論になりませんでした。地域偏在は、CDMが「途上国の持続可能な開発に資する」ことを目的とするものである以上、真正面から取り組むべき事項だと思うんですけどねえ。CDM理事会Q&Aは毎年開けれているのですが(確かCOP9ミラノが最初だったような気がします)、年々理事会の答えが杓子定規な「お役所答弁」になってきていて、あまり有意義な情報交換になってないように感じられ、残念でした。
♪ 今日の無駄話 ♪
ナイロビの会議開催キャパで、宿泊とともに心配されていたのが、参加者の会議場への移動。まずは、公共交通が外国人が利用でいる形で発達していない(ローカルは、マイクロバスにしがみついて、通勤等しているようですが)。そして、治安が悪い(ケニアの人達は、みんな穏やかで親切で、歩くスピードも日本一速い大阪人の5倍はゆっくりしてるのに、なぜか普通の人が街中でライフルかついでたりするのです)。その対策として、民間旅行会社が、各参加者と個別に契約して、ホテル~会議場間をピストン輸送するというシステムが取られています。まず、このシステムを理解するのに1日かかったのですが、当然5倍ゆっくりな人達なので、ピックアップも時間通り来ないのです(渋滞してるというのもあるんだけど)。7日も、行きも帰りも1時間待ってようやく迎えた登場という次第でした。この先が思いやられるわあ。。。
【写真は、筆者ホテルからのナイロビ国立公園の眺め】
(文責:Yasu)
☆ 今年のCOPは、ナイロビ! ☆
東アフリカは、初めて来ましたが、空港を出るなりサバンナが広がり、いかにもアフリカーってイメージが眼前に広がってて、なかなか雄大です。今回のCOP では、ナイロビで6000人規模の会議を開くキャパがあるのか、早くから懸念されていたのですが、そのお陰でホテルの予約が大変で、結局市内から離れた何もないところのホテルに泊まることになってしまいました。会議場までの移動が大変で、毎朝大渋滞の中を1時間半かけて通っています。唯一、ホテルからの眺めがいいのが救いです。なんせ、市街地に隣接する広大なナイロビ国立公園のサバンナが地平線の果てまで広がっているのですから!
さて、会議は、11月6日月曜から始まったのですが、我々CI-Japanは、月曜到着だったので、2日目からの参加です。
☆ 2013年以降の削減目標の議論 ☆
今回のCOPでの大きな話題は、ひとつは2013年以降(post2012)の附属書I国の削減目標をどうするかという京都議定書3.9条(去年の COP-blog「寝たキングコングをついに起こした!?」などで詳述しています)に関する「Ad Hoc Working Group Workshop(個別作業部会ワークショップ:AWGワークショップ)」での議論の行方。2日目は、朝からAWGワークショップが開かれ、多数の国から様々な意見が出されました。EUからは、EUが平均気温上昇を2℃以内に安定化させる目標であることと、そのためには2050年までに先進国が 60-80%の温室効果ガス(GHG)を削減しないとの意見が出され、途上国のリーダー格であるブラジルからは、各国の「歴史的な責任」と「排出量よりも気温」を指標とした目標設定が提案されました。一方、日本からは、新たな手法の開発が必要との意見とともに、気候変動対策に「めっちゃ真剣(=”deadly serious”の筆者訳)」に取り組んでいるとの意思表明がありました。まあ、総論賛成ながら、まだまだどの国も好きなことを言っている段階という感じでしょうか。というのもこの議題が、COP、COP/MOPの正式議題ではなく、拘束力のない「ワークショップ」という形で取り上げられているので、みんな比較的気楽にいろんな意見を出している状態と感じました。
一方、我々CIにとっても関心は、大きく「森林破壊の防止(Avoided deforestation→詳しくは去年Blogの「SPEAK for the TREES!!」などを参照してください)」と「植林CDM(AR-CDM)」です(これらのCIにとっての重要性にとっては、やはり去年のCOP- Blog参照のこと)。
☆ Avoided deforestation ☆
SBSTAでは、朝一番のセッションで、Avoided deforestationが協議されましたが、主に今年8月にローマで開かれたワークショップについての報告がされた後、各参加者からの意見表明がありました。その口火を切ったのは、気候変動に関する国際先住民族フォーラムの代表者で、先住民族が気候変動対策の名の下に先祖代々受け継いできた土地や生計手段をCDM植林や水力発電CDM事業などに奪われているとのことでした。これは、当然ながら非常に重要な問題で、いくら気候変動対策だからといって、その事業が先住民族を初めとする途上国の(特に貧しい)人々の生活や文化を破壊してはならないわけです。ただ、現状ではCDMは「市場メカニズム」であることと、ホスト国政府が事業の持続可能性に関する承認を与える権限を持つことを理由に、残念ながら真剣に議論されていないのが現状です。他には、アメリカが議論を技術的手法に絞るべきとする一方で、ブラジルが政策協議をすべきとするなど、相変わらずの対立が見られましたが、概ね低調な議論に終始し、具体的な協議は木曜日のコンタクト・グループ(去年Blogの「コンタクト・グループ??」を参照してください)でされることになりました。
☆ CDM関連 ☆
AR/CDMについては、今年は大きな交渉議題はなく、サイドイベントもこのテーマではほとんど企画されておらず、少し肩透かし気味です。午後に開かれた CDM理事会によるQ&Aセッションでは、日本政府の林野庁の方や、中南米グループから、「土地の適格性条件」が最近厳格化されたことに対する反対意見が出されました。また、アフリカの参加者からは、CDM一部の国(中国、ブラジル、インド)に偏っていて、地域的な公平性が確保されていないとの意見が出されましたが、理事会は、CDMは市場メカニズムだから、地域はマーケットによって決まるものだし、そもそもCOP/MOPで議題とされるべき事項だと逃げてしまい、あまり議論になりませんでした。地域偏在は、CDMが「途上国の持続可能な開発に資する」ことを目的とするものである以上、真正面から取り組むべき事項だと思うんですけどねえ。CDM理事会Q&Aは毎年開けれているのですが(確かCOP9ミラノが最初だったような気がします)、年々理事会の答えが杓子定規な「お役所答弁」になってきていて、あまり有意義な情報交換になってないように感じられ、残念でした。
♪ 今日の無駄話 ♪
ナイロビの会議開催キャパで、宿泊とともに心配されていたのが、参加者の会議場への移動。まずは、公共交通が外国人が利用でいる形で発達していない(ローカルは、マイクロバスにしがみついて、通勤等しているようですが)。そして、治安が悪い(ケニアの人達は、みんな穏やかで親切で、歩くスピードも日本一速い大阪人の5倍はゆっくりしてるのに、なぜか普通の人が街中でライフルかついでたりするのです)。その対策として、民間旅行会社が、各参加者と個別に契約して、ホテル~会議場間をピストン輸送するというシステムが取られています。まず、このシステムを理解するのに1日かかったのですが、当然5倍ゆっくりな人達なので、ピックアップも時間通り来ないのです(渋滞してるというのもあるんだけど)。7日も、行きも帰りも1時間待ってようやく迎えた登場という次第でした。この先が思いやられるわあ。。。
【写真は、筆者ホテルからのナイロビ国立公園の眺め】
(文責:Yasu)
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