おかげさまで大盛況
☆ CIサイドイベント ☆
14日の午前中は「植林CDM: 気候変動対策および適応による貧困・脆弱コミュニティへの便益」と題して、サイドイベント会場のICRAF本部にある階段状になった講義室のようなアフリカ・チューリップ・ツリー・ルームで、CIのサイドイベントを開催しました。
去年と一昨年も、CI(あるいは他団体と共催)のサイドイベントを、同様のテーマでやってたのですが、今年の入りは格別多くてびっくりです。定員120名くらいの講義室だったんですが、立ち見(というか座り見)も多数出るなど、お陰様で盛況でした。内容も、これまでのものよりもずっと良かったし(ちなみにオーガナイズは、僕ではなく同僚のTobyが担当)、自画自賛で恐縮ですが、僕がCOP5以来に出た全てのサイドイベントの中でも、かなり良い方だったと思います。
スピーカーもバランスが取れてて、まずは国際開発NGOのCARE Intlが、彼らがつい最近始めた植林CDMについての紹介。僕もCAREがカーボン・プロジェクトをやってたとは初耳だったので、興味深く聞かせてもらいましたが、開発NGOだけあって、CI以上に貧困やMDGs(ミレニアム開発目標)などへのインパクトを強調してました。
次に、ウガンダの国家森林局の担当者が、同国内での社会林業の事例と、その事業から得られた小規模地権者・農家と進める事業の重要性を、途上国の立場から具体的に語ってくれました。
続いて、CIも参加する、企業とNGOの連合により開発された、植林・土地利用事業におけるカーボン、生物多様性、コミュニティへの同時便益創出のためのガイドラインである、CCB基準が紹介され、多くの聴衆から関心が寄せられました。
ここまでは、具体的な事業や、事業推進にかかる技術的な話だったのに対し、次には、元EU議会議員のTom Spencer氏から、なぜ森林・植林が気候変動にとって重要なのか、国際社会は京都でのCOP3で何を間違えたのか(森林保護がCDMの対象に含まれなかった)、そして今後は、フェアトレードならぬ「フェア・フォレスト」、すなわち木材、あるいは炭素吸収源としての価値だけでなく、水源涵養、生物多様性、そして地元コミュニティにも便益をもたらすような森林・植林のあり方を促進すべしとの内容を、素晴らしい演説で訴えました。また、EUが気候変動対策に本気なら、EU-ETS(排出権取引制度)に植林CDMも含めるべきと主張しました。
最後に、世界銀行バイオ・カーボン基金のBenoit Bosque氏から、植林CDMや森林保護を推進するための植林CDMの具体的改善点として、①森林保護防止、補強植林、土壌吸収源管理を含める、②植林CDMによるクレジット創出枠(附属書I国=先進国の90年排出量の1%)の撤廃または緩和、③89年以前に伐採された土地であることという対象地条件の緩和(90年以降に伐採された土地であっても、CDM化のために故意に伐採した土地でないことを証明する)、④植林CDMから発生するクレジットの有効期限の撤廃、そして⑤小規模植林CDMの上限である年間8,000t-CO2の緩和、が提案されました。CIとしてもどれも納得の提案です。
会場からも多くの質問や意見が出されたのですが、先日も登場したケニアの大学教授からは、多くの途上国、しかも最貧国では、森は人々の生活・文化・命そのものであり、そのことを忘れたCDMでは、何も解決しないとの力強い発現があり、またしても場内から拍手喝さいを受けていました。
前にも書きましたが、今回のCOPでは、CDMの持続可能な開発への貢献が、大きな共通テーマとなっています。直接の担当者ではなかったものの、今回のCIのサイドイベントが、その流れをさらに大きくすることに少しは貢献できたのではないかと満足したサイドイベントでした。
☆ Avoided Deforestation 続報 ☆
14日は、補助機関会合(SBSTAとSBI)が再開され、CIがフォローしている森林破壊防止についても討議され、合意されました。協議では、日本政府から森林破壊の進展による社会・環境影響を十分認識する必要があるとの発言もありました。この議題自体は、明日からのハイレベル・セグメントの本会議で、SBSTA報告の中に盛り込まれ、合意されることになると思います。
昨日のBlogにも書いたように、実質的には第2回のワークショップの開催概要が決められただけで、それ自体は大したことが無いのですが、来年のCOP13での合意に向けて議論していこうというコンセンサスが得られたことは、一安心です。
今後は、ワークショップに向けて、締約国が意見表明(サブミッション)した上で、COP13 に向けて、技術的な問題(ベースライン設定やモニタリングの方法など)に加えて、政策・制度(インセンティブの付与も排除されない)、さらには他の森林関連条約や国際機関との連携方法なども議論されることになります。
♪ 今日の無駄話 ♪
朝夕の会場-ホテル間の送迎サービスですが、参加者の増える2週目に入り、予想通り混乱の度合いを増してきました(笑)。我々は辺鄙なホテルに泊まっているので、先週までは柔軟に対応してもらってたのですが、今週からCOP関係の宿泊者が増え、かつみんなそれぞれ行き帰りの時間が違ったりするので、大混乱です。今朝なんかは、一番早い人が7時半、その次が7時45分、一番遅く(うちですが)が8時に迎えに来てほしいとリクエストしていたみたいなんですが、結局みんなまとめて迎えに来てもらえたのが9時過ぎという按配で、一番早くから待っていた人は、1時間半以上も待ちぼうけだったようです。明日からはいよいよハイレベル・セグメントなので、人が増える、渋滞もひどくなる、ということで、さらに混乱しそうです。とほほ
【写真は、満員御礼のCIサイドイベントの様子】
14日の午前中は「植林CDM: 気候変動対策および適応による貧困・脆弱コミュニティへの便益」と題して、サイドイベント会場のICRAF本部にある階段状になった講義室のようなアフリカ・チューリップ・ツリー・ルームで、CIのサイドイベントを開催しました。
去年と一昨年も、CI(あるいは他団体と共催)のサイドイベントを、同様のテーマでやってたのですが、今年の入りは格別多くてびっくりです。定員120名くらいの講義室だったんですが、立ち見(というか座り見)も多数出るなど、お陰様で盛況でした。内容も、これまでのものよりもずっと良かったし(ちなみにオーガナイズは、僕ではなく同僚のTobyが担当)、自画自賛で恐縮ですが、僕がCOP5以来に出た全てのサイドイベントの中でも、かなり良い方だったと思います。
スピーカーもバランスが取れてて、まずは国際開発NGOのCARE Intlが、彼らがつい最近始めた植林CDMについての紹介。僕もCAREがカーボン・プロジェクトをやってたとは初耳だったので、興味深く聞かせてもらいましたが、開発NGOだけあって、CI以上に貧困やMDGs(ミレニアム開発目標)などへのインパクトを強調してました。
次に、ウガンダの国家森林局の担当者が、同国内での社会林業の事例と、その事業から得られた小規模地権者・農家と進める事業の重要性を、途上国の立場から具体的に語ってくれました。
続いて、CIも参加する、企業とNGOの連合により開発された、植林・土地利用事業におけるカーボン、生物多様性、コミュニティへの同時便益創出のためのガイドラインである、CCB基準が紹介され、多くの聴衆から関心が寄せられました。
ここまでは、具体的な事業や、事業推進にかかる技術的な話だったのに対し、次には、元EU議会議員のTom Spencer氏から、なぜ森林・植林が気候変動にとって重要なのか、国際社会は京都でのCOP3で何を間違えたのか(森林保護がCDMの対象に含まれなかった)、そして今後は、フェアトレードならぬ「フェア・フォレスト」、すなわち木材、あるいは炭素吸収源としての価値だけでなく、水源涵養、生物多様性、そして地元コミュニティにも便益をもたらすような森林・植林のあり方を促進すべしとの内容を、素晴らしい演説で訴えました。また、EUが気候変動対策に本気なら、EU-ETS(排出権取引制度)に植林CDMも含めるべきと主張しました。
最後に、世界銀行バイオ・カーボン基金のBenoit Bosque氏から、植林CDMや森林保護を推進するための植林CDMの具体的改善点として、①森林保護防止、補強植林、土壌吸収源管理を含める、②植林CDMによるクレジット創出枠(附属書I国=先進国の90年排出量の1%)の撤廃または緩和、③89年以前に伐採された土地であることという対象地条件の緩和(90年以降に伐採された土地であっても、CDM化のために故意に伐採した土地でないことを証明する)、④植林CDMから発生するクレジットの有効期限の撤廃、そして⑤小規模植林CDMの上限である年間8,000t-CO2の緩和、が提案されました。CIとしてもどれも納得の提案です。
会場からも多くの質問や意見が出されたのですが、先日も登場したケニアの大学教授からは、多くの途上国、しかも最貧国では、森は人々の生活・文化・命そのものであり、そのことを忘れたCDMでは、何も解決しないとの力強い発現があり、またしても場内から拍手喝さいを受けていました。
前にも書きましたが、今回のCOPでは、CDMの持続可能な開発への貢献が、大きな共通テーマとなっています。直接の担当者ではなかったものの、今回のCIのサイドイベントが、その流れをさらに大きくすることに少しは貢献できたのではないかと満足したサイドイベントでした。
☆ Avoided Deforestation 続報 ☆
14日は、補助機関会合(SBSTAとSBI)が再開され、CIがフォローしている森林破壊防止についても討議され、合意されました。協議では、日本政府から森林破壊の進展による社会・環境影響を十分認識する必要があるとの発言もありました。この議題自体は、明日からのハイレベル・セグメントの本会議で、SBSTA報告の中に盛り込まれ、合意されることになると思います。
昨日のBlogにも書いたように、実質的には第2回のワークショップの開催概要が決められただけで、それ自体は大したことが無いのですが、来年のCOP13での合意に向けて議論していこうというコンセンサスが得られたことは、一安心です。
今後は、ワークショップに向けて、締約国が意見表明(サブミッション)した上で、COP13 に向けて、技術的な問題(ベースライン設定やモニタリングの方法など)に加えて、政策・制度(インセンティブの付与も排除されない)、さらには他の森林関連条約や国際機関との連携方法なども議論されることになります。
♪ 今日の無駄話 ♪
朝夕の会場-ホテル間の送迎サービスですが、参加者の増える2週目に入り、予想通り混乱の度合いを増してきました(笑)。我々は辺鄙なホテルに泊まっているので、先週までは柔軟に対応してもらってたのですが、今週からCOP関係の宿泊者が増え、かつみんなそれぞれ行き帰りの時間が違ったりするので、大混乱です。今朝なんかは、一番早い人が7時半、その次が7時45分、一番遅く(うちですが)が8時に迎えに来てほしいとリクエストしていたみたいなんですが、結局みんなまとめて迎えに来てもらえたのが9時過ぎという按配で、一番早くから待っていた人は、1時間半以上も待ちぼうけだったようです。明日からはいよいよハイレベル・セグメントなので、人が増える、渋滞もひどくなる、ということで、さらに混乱しそうです。とほほ
【写真は、満員御礼のCIサイドイベントの様子】
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