奄美大島トリップレポート(前編) 海と山と川 ~ 大自然に触れたくて~

 こんにちは!広報の磯部です。子供の冬休みを利用して、お正月に奄美大島へ行ってきました。普段、都会暮らしをしている我が子に、できるだけ自然を感じてほしくて、4泊5日という限られた時間の中でしたが、色々な体験を盛り込んできました。奄美大島で出会った方々から聞いたお話から、原生自然の豊かな奄美と、それを維持できている奄美独特の事情も知ることになり、色々と感じるものがありました。本ブログでは、そうした旅の様子をご紹介したいと思います。

金作原原生林

1日目:

東京から奄美大島は、直行便があるので便利です。行きの所要時間3時間、帰りは2時間でした。1月の東京は最高気温10℃、最低気温が2℃くらいでしたが、奄美大島では最高が16℃、最低が10℃程度なので、随分暖かく感じられました。奄美空港で島のガイドマップをもらってから、ミニ四躯を借り、そのまま龍郷町にあるゲストハウスへ。途中で「ハートロック」の看板を見つけたので、寄ることにしました。道路から海岸へ抜ける道が素敵で、“トトロの葉っぱ”と表現されるクワズイモや、マングローブに似たアダンが生い茂っており、緑に覆われた小道になっています。亜熱帯の象徴的な木々を見て到着早々に心がときめきました。

海岸と道路をつなぐのはこんな道


”トトロの葉っぱ”クワズイモ

海岸にでると、いきなり目に入ったのは、なんと軽石。たくさん打ち上げられていました。東京から随分離れた場所に来た気持ちでしたが、昨年末にニュースになっていた小笠原の海底火山噴火の影響です。ここまで到達しているのだと、事態の大きさを感じました。





14時頃の干潮時間だったのがタイミング良く、アオサに縁取られた、透き通ってキラキラ光る美しい潮溜まりを見ることができました!

ハートに見えますか?「ハートロック」

夜行性である島の希少な生き物たちをぜひ見たくて、夜の時間も有効活用すべく、親子共々早起きで疲れた初日でしたが、ナイトツアーに参加することにしました。仮眠をとって、18時に集合場所である「黒潮の森 マングローブパーク」へ向かいました。



奄美大島は、地史的、気候的な特有性から、独自の生物多様性を有している島です。約1200万年前には、ユーラシア大陸と地続きだった奄美大島は、約200万年前に大陸から切り離され、現在の島へと別れていきました。大陸に残った種や他の島へと別れた種は、捕食者により絶滅しましたが、奄美大島には、そうした捕食者がいなかったおかげで、アマミノクロウサギなどの生物が固有種として残っています。なんと、アマミノクロウサギの中には、島内のあらゆる場所に生息しているハブと上手くやっている子がいるそうです。変温動物であるハブがアマミノクロウサギの巣を借りて温まらせてもらう代わりにうさぎの子を食べないという共存関係が見られるそうです。でももちろんアマミノクロウサギの赤ちゃんがハブに食べられてしまう危険もあります。そこでアマミノクロウサギのお母さんは、赤ちゃんを土の中に埋めて隠し、こっそりと授乳しながら子育てをするとのことです。また、奄美大島では、近年、野生動物の観察等を目的とした夜間の交通量増加によるロードキルの増加から、交通の管理が厳しくなっています。2021年10月29日より施行された新たな規制では、アマミノクロウサギたちが多く出没することで有名な三太郎線周辺の夜間交通は、事前に登録したクルマのみ、それぞれの道の入口から30分に1台という間隔でしか通れないことになっています。この日にガイドをしてくださった、奄美ナイトツアーサービスの横尾伸広さんの話では、希少な生き物や植物を盗む密猟が絶えないので、夜間は警察による覆面パトロールも実施されているとのことです。また、横尾さんたちのようなガイドは毎日同じ場所を通っているので、マングースの罠をチェックしたり、ノネコや野犬などの被害がでないよう、生き物たちのパトロールも兼ねているということでした。

動きがノソノソと遅く、耳も小さいアマミノクロウサギを見て思うのは、生存競争にかなり弱いだろうということです。古代の大陸移動も超え、奇跡的幸運の上に存在する貴重な生き物を絶滅危惧種になるまで数を減らした大きな原因は、マングースですが、もともとは、ハブを退治させるために人間が持ち込んだ生き物です。「期待の星」だったはずのマングースは今では悪者になり、駆除の対象となり、ここ数年は罠にかかることも少なくなっているそうでなので、だいぶ個体数は減っているようですが、この顛末は悲しいことです。その他にアマミノクロウサギの天敵とされているノネコもノイヌも、人間が持ち込んだものです。だからこそ、人間には生態系を取り戻す責任があると思います。奄美大島では、行政の支援が盛んで、鹿児島県と島全体で環境保全に取り組んでいます。捕獲したノネコについては殺処分をしないため、希望譲渡者を探す取り組みも行われています。

夜間の3時間に及ぶツアーでは、ガイドさんのご尽力もあり、アマミノクロウサギやケナガネズミの他、アマミアカガエル、アマミイシカワガエル(超レア!)、ヒメハブ、リュウキュウコノハズク(一瞬だけ)も見かけることができました。



歩くのがとてもゆっくりなアマミノクロウサギ

食事中のケナガネズミ

アマミアカガエルを発見。ガイドさんに撮ってもらいました!


フルオープンの自衛隊仕様ジープに3時間乗り続けた結果、身体は芯から冷え切り、親子で抱き合い耐えましたが、ライトを消して真っ暗になったところで、見上げると満点の星空が。宇宙をも感じる夜空にまたまた感動。色々な事を考えながらも、空を見ると時が止まったかのようでした。


2日目:

前日は22時位までツアーだったので、帰宅は23時過ぎ。疲れ果てました。なので、翌日は何も予定を入れていなくて、島の北部をクルマで回ることにしました。本当は、歴史や文化の展示がある奄美パークへ行きたかったのですが、コロナの影響で臨時休業。そのため、奄美十景の一つ、「あやまる岬」を目指しました。この「あやまる岬」、文字で見ると頭の中では、ごめんなさいの“あやまる”をつい連想してしまいがちですが、岬にある石碑には、「岬一帯のなだらかな地形が、綾に織られた手鞠に似ていることからあやまると名付けられた」と説明がありました。奄美の少女たちがお正月になると手鞠で遊んでいたことからつけられたなんて、素敵な地名です。




このあやまる岬の手前には、蘇鉄(ソテツ)群生地があります。圧巻の存在感。ソテツは奄美大島そこかしこで見られる植物です。奄美の人々は、古くからソテツを食用ととして利用したり、田畑の肥料や薬にもなるため、捨てるところなく利用されてきたそうです。





あやまる岬へ向かう途中に、野鳥が多く見られるという「大瀬海岸」という海岸があったので、行ってみました。観光マップにも地名のみ出ている程度の場所だったのですが、私たちはここにハマり、気づいたらかなり長いこといました。干潮時だったため、遠くまで広がるひたひたの砂地が楽しく、相当な距離の沖の方へ歩いて出られるのです。午後2時辺り、私たち親子以外には、小さな子連れ家族がいるのみ。たくさんの野鳥たちの群れがいて、とても静かで、きれいな場所でした。人が少ないきれいな場所でしたが、こういうところでもやはりペットボトルなどのゴミが落ちています。ゴミ袋を持っていたので、拾えるだけ拾って、宿へ持ち帰りました。




後半へ続く→


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