環境再生型農業って何?


みなさんは、「農業」と聞くと何を思い浮かべますか? 
天候に左右されやすい、大変な職業。農家さん。私たちが毎日口にする食糧を生産してくれる大切な職業・・・日本の幼稚園や保育園に通ったことがある方は、秋に行うさつまいも掘りなどを思い出すかもしれません。また、農業と聞くと野菜などの食べ物を思い出すかもしれませんが、私たちが毎日着る衣服の材料となる綿花なども農作物の1つです。しかし、農業は身近にあるべき存在のはずなのに、あまり考える機会はないですよね。本記事では、「農業」と「環境」の関わりについて紹介したいと思います。


農業がもたらす環境への負担 

農作物を育てるためには、栄養のある土壌、水、太陽の光、受粉を手助けするや小動物利用しなければいけません。それと同時に農作物を育てることは、自然環境にダメージをもたらすことも事実です。農業は森林破壊や生態系の破壊の大きな要因だとも言われています日本では、なかなか想像することが難しいかもしれませんが、世界では効率を追求した産業的大規模な集約農業が主流です。世界の増加する需要に応えるために、農家は大量生産をしなければいけないのです。大量生産しより多くの利益を得るためには、土地開発を行い農地を広げ、化学農薬を使用して生産性を上げるという選択肢が取られます。そうすることで、森林が破壊されてしまったり、農薬の使用によって土壌の質が悪化していったりします。しかし、このような従来の農業方法農薬や家畜ふん尿による汚染や生息地の破壊など、環境のダメージが大きいので、近年では環境再生型農業という方法が注目されています。 

環境再生型農業とは 

環境再生型農業は、化学肥料や農薬に頼らない伝統的な農法見直す農業と言うことができます。複数の種類の作物を育てたり、使用する化学肥料の量を減らすことで、土壌を修復し、改善することにつながりますたとえば1種類の作物を育てるのではなく複数の作物を育てること土壌の生態バランスを整え、栄養素の偏りや病気の蔓延、害虫の増殖を防ぐのに役立ちます。また、不耕起栽培と言われる、土を耕さない栽培法は、土壌の有機物を回復させます。被覆作物活用では土壌侵食を防止し、炭素の蓄積も増進します。することが挙げられます。毎年、異なる作物を育てる輪作も、土壌内の栄養素や微生物などの有機物が活性化すると言われています。 

環境再生型農業に切り替えること、土壌の状態修復し、再生、空気中の二酸化炭素をより多く吸収(隔離)することができるだけでなく、生産量を上げたり、干ばつに強い土壌を作るとも言われています。環境により良い効果をもたらす環境再生型農業は、持続的で、気候変動を抑制する1つの手段として注目を浴びています。



©Benjamin Drummond

自然再生基金(Regenerative Fund for Nature)について

以前紹介した、国際的なラグジュアリーグループのケリングとコンサベーション・インターナショナルは、世界各地の有望かつ革新的な環境再生型農業のプロジェクトを支援し、100万ヘクタールの農地や放牧地において、環境再生型農業へに移行を促進するため、自然再生基金(Regenerative Fund for Nature)を立ち上げました。第1期の支援では、綿花・羊毛・カシミヤ・革の生産を、持続可能で環境に優しいものにすることに取り組んでいる地域活動グループへの支援に力を注いでいます。


環境再生型農業の難点 

環境再生型農業は、気候変動を抑制する手段として注目されていますが、簡単に取り入れられる農法ではありません。従来の、農機や化学肥料に頼った農業よりも、もっと人の手を入れる必要があります。また、土壌回復や炭素隔離の成果を得るまでに時間がかかると言われており、すぐに結果が見えないことも難点です。そして、環境再生型農業の成果を出すためには、勧められている農法全てを取り込まないと、結果が出にくいとの研究もあります。

環境再生型農業について私が感じたこと 

私が環境再生型農業について知ったきっかけは、Netflixで公開されている"Kiss the Ground"というドキュメンタリーを鑑賞したことです。大学で環境学を学ぶうちに、私たちの身の回りの生活で起こっていることが、環境問題と関わっているということに気づき、食べ物と環境問題について興味を持ち始めました。私たちの生活に欠かせない農業。従来の方法を見直して、より多くの人の手間を加えるだけで土壌の健康を改善することができ、気候変動を抑制する方法の1つにもなるのは素晴らしいアイデアだと感じます。ただ、現代の大量生産を目的とした農法を離れるのは難しいとも感じました。より多くの方々が、環境再生型農業について知って、少しでも農家さんや企業の方にインパクトを与えられることを願っています。



カバー写真: ©Benjamin Drummond

記事作成:CIジャパンインターン 佐伯栞

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