森林がらみの議論白熱!
3日目を迎え、徐々に時差ぼけも解消に向かいつつあります。COPやCOP/MOPの本会議の方も、議題や議長の選出なんかの事務的なものが一通り終わって、今日は例のCOP11議案6項が議論されるなど、議論が白熱してきました。
■植林/再植林CDMに関するサイドイベント:
COPでは、毎回、政府代表団による正式な国際交渉とは別に、会場内外のあちこちで公式・非公式の「サイドイベント」といわれる並行イベント(その多くがシンポジウム形式)が執り行われます。昨日レポートした「巨木の寸劇」も、非公式(つまり正式な予定に組み込まれていない)なものでしたが、立派なサイドイベントのひとつです。28日の夕方には、CIが世界銀行のBioCarbonFund(BioCF)と共同で、植林/再植林CDMに関するサイドイベントを開催しました。このイベントでは、BioCFのべノア・ブスケ氏の他、母親であり未亡人であり学校の先生でありコミュニティーリーダーでもあるウガンダのBeatriceさん、昨日のイベントでもスピーチをしたマサイのYusufさん、そしてCIのJohn-O Nilesから、気候変動における植林および森林保護の必要性、森林が持つさまざまな機能・便益の重要性、地元コミュニティにおけるCDM事業への取り組みについての、具体的な経験に基づく報告がされました。特に現地で実際に活動に取り組むBeatriceさんとYusufさんからは、コミュニティにとっては植林はカーボン目的で行うものではなく、食料確保、貧困削減、居住環境の改善などを目的に実施しているものであるとの強いメッセージがあり、日本を含めた先進国での「CDM熱」が、本来の目的である持続可能な開発への貢献がややおざなりとなって進んでいることへの警鐘となったと感じました。会場には、日本政府代表団の方も含めて、さまざまな国やセクターからの参加者があり、活発な質疑応答が繰り広げられましたが、森林の価値が、カーボン吸収源を含めた経済的価値だけを有するのではなく、生態系サービスや倫理・文化的価値などを含むものであるとのを会場一同が再認識する場となったと思います。中には、そもそも植林や森林保護と気候変動、もっといえばCDMとをつなげることは、先進国の論理であり、まかりならん!との意見も会場から出されましたが、「共通だが差異のある責任」を先進国・途上国みんなが負っているという条約の精神に則って、あらゆる努力がなされるべきだと感じました。
■議案6項:
昨日のレポートでも触れた議案6項が、今朝のCOP本会議で議論されました。共同提案国であるパプアニューギニア(PNG)の国連大使から議案の説明があり、その後オーストラリアを筆頭に24カ国が意見表明を行い、そのほとんどが前向きな発言でした。途上国の多くが明確にPNG提案を支持したほか、これまで森林シンクには懐疑的立場を取ることの多かったEUを代表してUKが「PNG提案に感謝」したことは、熱帯雨林の喪失に心を痛める我々コンサベーショニストにとっては、心強いものでした。我が日本のポジションは、これまでの国内外での持続的な森林管理(Sustainable Forestry Management)への取り組み実績を強調する内容で、いささか明瞭性に欠いたものの、概ね今後のSBSTA(科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合)での議論は歓迎するとの内容でした。ただ、第一約束期間(2008~2012年)でのクレジット認証の可能性については、モロッコのマラケシュで開かれたCOP7で、それを認めない、との合意があることから、そこの議論を再開すべきでないとの強い立場でした(これはEUも同じ)。ここについては、PNGを含めた積極推進派(我々としても早く導入されればと思っています)との間でギャップがあるようです。今回の提案、考え方によっては、技術移転などを伴う現行のCDM事業の恩恵を受けにくい国々が、なんとか自国にもカーボンマネーを呼び込もうという取り組みといううがった見方も中にはあるようなんですが、PNGをはじめとする途上国の多くに生物多様性豊かな森林が存在し、そのほとんどが大変なスピードで失われているという事実はあるので、何とかそれを阻止する具体的な方法の必要性をCOPが認識しつつあるというのは、希望が持てるかなと思います。ちなみにUSは「これは京都議定書に関する事項であり、条約に関する事項を議論するCOPで議論すべき事項でない」との発言をして、会場内からは???という反応でした。この議案については、議長がアルゼンチンを委員長とするコンタクトグループの設置を提案し、承認されたので、今後はコンタクトグループを舞台に非公式な交渉に委ねられることになりそうです。
■COPでの食事事情
僕は、今回で6回目のCOP参加となります。これまで、ボン(COP5、6.5)、マラケシュ(7)、ミラノ(9)、ブエノスアイレス(10)、そして今回のモントリオールと、ミラノを除きそれまで訪れたことのない国・都市を訪問する機会を得ることができ、大変ありがたいCOPではあるんですが、現実的には、ほとんど朝から晩(時には夜中まで、あるいは徹夜)まで会場に缶詰で、せっかくの知らない土地を知る機会がほとんどないんです(>_<)!食事も、大概会場内の売店で買ったサンドイッチを昼も晩もというケースも多くて、間違っても充実してるとはいえません。会議のスケジュールが詰まってて、昼飯抜きになることも多いし。(それでも一応、ボンではソーセージとビール、マラケシュではクスクス、ミラノでは本場イタリアン、ブエノスではステーキを食べてきましたが。やっぱり、外国を訪問して、その国の料理を食べないのは失礼になりますからね!)ただ、今回は会場となってる国際会議場がモントリオールの中華街に隣接してるんで、昨夜はサイドイベントが終わった後9時ごろから繰り出してみました。大好きな牛肉の黒豆ソースに豚のから揚げ、鴨肉の炒め物、そして広州焼飯。なかなか美味かったです(もちろん、これ全部一人で食べたのではなく、久々に再会した人達といっしょにです)。今日は、何かカナダらしい料理を食べたいなと思うけど、代表的なカナダ料理って何?メープルシロップ??
【写真は、議案6を協議するCOP11本会議】
(By Yasu)
■植林/再植林CDMに関するサイドイベント:
COPでは、毎回、政府代表団による正式な国際交渉とは別に、会場内外のあちこちで公式・非公式の「サイドイベント」といわれる並行イベント(その多くがシンポジウム形式)が執り行われます。昨日レポートした「巨木の寸劇」も、非公式(つまり正式な予定に組み込まれていない)なものでしたが、立派なサイドイベントのひとつです。28日の夕方には、CIが世界銀行のBioCarbonFund(BioCF)と共同で、植林/再植林CDMに関するサイドイベントを開催しました。このイベントでは、BioCFのべノア・ブスケ氏の他、母親であり未亡人であり学校の先生でありコミュニティーリーダーでもあるウガンダのBeatriceさん、昨日のイベントでもスピーチをしたマサイのYusufさん、そしてCIのJohn-O Nilesから、気候変動における植林および森林保護の必要性、森林が持つさまざまな機能・便益の重要性、地元コミュニティにおけるCDM事業への取り組みについての、具体的な経験に基づく報告がされました。特に現地で実際に活動に取り組むBeatriceさんとYusufさんからは、コミュニティにとっては植林はカーボン目的で行うものではなく、食料確保、貧困削減、居住環境の改善などを目的に実施しているものであるとの強いメッセージがあり、日本を含めた先進国での「CDM熱」が、本来の目的である持続可能な開発への貢献がややおざなりとなって進んでいることへの警鐘となったと感じました。会場には、日本政府代表団の方も含めて、さまざまな国やセクターからの参加者があり、活発な質疑応答が繰り広げられましたが、森林の価値が、カーボン吸収源を含めた経済的価値だけを有するのではなく、生態系サービスや倫理・文化的価値などを含むものであるとのを会場一同が再認識する場となったと思います。中には、そもそも植林や森林保護と気候変動、もっといえばCDMとをつなげることは、先進国の論理であり、まかりならん!との意見も会場から出されましたが、「共通だが差異のある責任」を先進国・途上国みんなが負っているという条約の精神に則って、あらゆる努力がなされるべきだと感じました。
■議案6項:
昨日のレポートでも触れた議案6項が、今朝のCOP本会議で議論されました。共同提案国であるパプアニューギニア(PNG)の国連大使から議案の説明があり、その後オーストラリアを筆頭に24カ国が意見表明を行い、そのほとんどが前向きな発言でした。途上国の多くが明確にPNG提案を支持したほか、これまで森林シンクには懐疑的立場を取ることの多かったEUを代表してUKが「PNG提案に感謝」したことは、熱帯雨林の喪失に心を痛める我々コンサベーショニストにとっては、心強いものでした。我が日本のポジションは、これまでの国内外での持続的な森林管理(Sustainable Forestry Management)への取り組み実績を強調する内容で、いささか明瞭性に欠いたものの、概ね今後のSBSTA(科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合)での議論は歓迎するとの内容でした。ただ、第一約束期間(2008~2012年)でのクレジット認証の可能性については、モロッコのマラケシュで開かれたCOP7で、それを認めない、との合意があることから、そこの議論を再開すべきでないとの強い立場でした(これはEUも同じ)。ここについては、PNGを含めた積極推進派(我々としても早く導入されればと思っています)との間でギャップがあるようです。今回の提案、考え方によっては、技術移転などを伴う現行のCDM事業の恩恵を受けにくい国々が、なんとか自国にもカーボンマネーを呼び込もうという取り組みといううがった見方も中にはあるようなんですが、PNGをはじめとする途上国の多くに生物多様性豊かな森林が存在し、そのほとんどが大変なスピードで失われているという事実はあるので、何とかそれを阻止する具体的な方法の必要性をCOPが認識しつつあるというのは、希望が持てるかなと思います。ちなみにUSは「これは京都議定書に関する事項であり、条約に関する事項を議論するCOPで議論すべき事項でない」との発言をして、会場内からは???という反応でした。この議案については、議長がアルゼンチンを委員長とするコンタクトグループの設置を提案し、承認されたので、今後はコンタクトグループを舞台に非公式な交渉に委ねられることになりそうです。
■COPでの食事事情
僕は、今回で6回目のCOP参加となります。これまで、ボン(COP5、6.5)、マラケシュ(7)、ミラノ(9)、ブエノスアイレス(10)、そして今回のモントリオールと、ミラノを除きそれまで訪れたことのない国・都市を訪問する機会を得ることができ、大変ありがたいCOPではあるんですが、現実的には、ほとんど朝から晩(時には夜中まで、あるいは徹夜)まで会場に缶詰で、せっかくの知らない土地を知る機会がほとんどないんです(>_<)!食事も、大概会場内の売店で買ったサンドイッチを昼も晩もというケースも多くて、間違っても充実してるとはいえません。会議のスケジュールが詰まってて、昼飯抜きになることも多いし。(それでも一応、ボンではソーセージとビール、マラケシュではクスクス、ミラノでは本場イタリアン、ブエノスではステーキを食べてきましたが。やっぱり、外国を訪問して、その国の料理を食べないのは失礼になりますからね!)ただ、今回は会場となってる国際会議場がモントリオールの中華街に隣接してるんで、昨夜はサイドイベントが終わった後9時ごろから繰り出してみました。大好きな牛肉の黒豆ソースに豚のから揚げ、鴨肉の炒め物、そして広州焼飯。なかなか美味かったです(もちろん、これ全部一人で食べたのではなく、久々に再会した人達といっしょにです)。今日は、何かカナダらしい料理を食べたいなと思うけど、代表的なカナダ料理って何?メープルシロップ??
【写真は、議案6を協議するCOP11本会議】
(By Yasu)
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