嵐の前の静けさ?!

先週から続いた各議案に関するコンタクトグループ(CG:部会?)の議論も、一部の意見の対立の大きいものを除いて次々と収束に向かっているようで、昨日から始まった補助機関会合(科学的・技術的助言のための補助機関SBSTAおよび実施に関する補助機関SBI)総会(Plenary)では、CGで合意された決議案についての協議・採決が次々と進められています。我々が傍聴したSBSTAでは、特に国際航空・海運からの排出に関して堂々巡りが続き、休憩をはさんで夜中に再度召集されたものの、結局合意にはいたらずに先送りとなりました。航空・海運(特に航空)からの排出は大きなものなのですが、削減に向けた方向性は未だ打ち出せない状況です。

補助機関会合以外では、我々がフォローしている議案6(Avoided deforestation)や条約3.9条(将来コミットメント)については、その後CGが開かれることもなく、なかなか交渉の状況が見えてきません。突如CGが開かれたりする場合に備えて、会場内のモニターで随時会議予定をチェックしているのですが、今のところ動きはありません。今COPの最大の懸案事項ともいえる3.9条は、果たして何らかの合意がなされるのでしょうか?週末にCG議長に話を聞いたときも、「先行きは全く分からない」とのことでした。会期終盤に向けて、COP名物の徹夜交渉なんかに発展する可能性も十分ありえる状況かと思います。ここ2-3日は嵐の前の静けさといったところでしょうか。

その一方で、今日から本会議場では、COPとCOP/MOP合同でのいわゆる大臣級会議(ハイレベルセグメント)が始まりました。各国の代表団トップが、順番に延々と声明を読み上げていくというUN会議でのお約束シーンです。会議によっては、爆弾発言があったりして大いに荒れることもあるのですが、今回はどうなることでしょうか。日本の小池環境大臣のスピーチは明日(8日)の午前に予定されています。

今日午前中のハイレベルセグメントのオープニングセレモニーでは、カナダのポール・マーティン首相の演説に込められた非常に強いメッセージが印象に残ります。首相は、まずオゾン層破壊を防止する具体的な数値目標を定めた議定書が今回と同じモントリオールから発信されたこと、そしてそれが大きな成果を上げていることに言及し、気候変動問題についても同じ地で実効的なポスト2012に向けた成果を得るのだとの決意を示しました。そのためには、先進国はその義務から逃れることはできないと訴えるとともに、途上国に対しても経済発展と気候変動への適応政策を統合することによって持続可能な発展を実現していくことの重要性を語りました。したがって温室効果ガスを排出する全ての国が一丸となって真剣な協議をする必要があり、問題を先送りすることは許されないことを強調しました。

このように活字にしてしまうと私の文章力のせいか総論的で通り一遍の演説のようになってしまいましたが、実際にオープニングセレモニーに参加して感じたのはこの演説には熱意が込められていたということです。実際にホスト国があれだけの強力な演説を行ったということは、このCOP11、COP/MOP1の議長国として自らに大きな責務を課したと言えます。その意気込みは確実にセレモニー参加者に伝わったと思いますし、会場から随所に拍手が送られ、最後はスタンディング・オベーションでこの演説を称えた点も皆が鼓舞された様子を表していたように感じます。

このカナダの熱意をポスト2012(京都議定書3.9条)の交渉を行っている各国の交渉担当者をどう受け止めたのでしょうか。非常に気になるところです。

☆寒いです
今日は、このモントリオールに来て一番の寒さとなりました。予想最高気温は-5℃、最低は-13℃!さすがに寒さに強い僕(Yasu)でも寒いです!2分ほど外を歩いただけで耳が痛くなってきます。思わず「温暖化が進めばいいのに!」、な~んてね。ハイレベルセグメントに合わせて、ますます会議参加者は増えてます。みんな寒い中、気候変動防止に向けて頑張ってます(?)

(by Yasu & Yoshi)

【写真はハイレベルセグメントで演説するPaul Martinカナダ首相】

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