2023年の振り返り:記録的猛暑の年、自然が気候危機の重要な鍵に


2023年は記録的な猛暑となりました。世界のあらゆる場所で気温の急上昇が気候変動による自然災害の要因となり、人びとの命をも奪う洪水、山火事、干ばつや危険な暴風雨を引き起こしました。しかし、新たな研究は、自然が気候危機の解決を担う重要な存在であることを明らかにしています。

本記事では、驚異的な量の炭素を吸収する菌類の可能性から森林の健康状態を測る新たな研究まで、自然が気候変動対策にどのように役立つのか、その一部を紹介します。


菌類は、気候対策の新たな味方か?

菌類による多様な生態系は、樹木の生育に必要な栄養分を地下に運ぶだけでなく、気候変動との戦いにおいて、目には見えにくいですが重要な役割を担っています。最新の研究によると、菌類は気候変動の原因となる炭素を大量に吸収し、その量は化石燃料の利用由来で1年間に排出される量の3分の1以上に相当するといいます。

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保護された森林は、気候変動に大きく貢献する

地球の生態系に関する多くの研究のように、この研究も宇宙からのデータをもとに解析されました。 コンサベーション・インターナショナルと協働する他団体の科学者たちは、国際宇宙ステーションに搭載されたレーザーによって生成されたデータを使い、世界初の三次元森林マップを作成しました。このマップによって地球規模で森林の構造と状態を測定することが可能になり、森林が蓄える炭素の全量を割り出すことができるようになりました。 

コンサベーション・インターナショナルの科学者で、この調査の共同研究者であるパトリック・ローダンツ(Patrick Roehrdanz)は、「このデータは、気候変動を緩和する可能性のある、炭素をもっとも多く蓄えている地域を特定する際、どのように選定すべきかを判断する手がかりとなります」と話します。 

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今のままの取り組みでは、世界の気候目標の達成は厳しいことが明らかに

9月に世界ではじめて公表された「グローバルストックテイク(世界全体の気候変動対策の進捗を点検する報告書)」は、気候変動の最悪の事態を回避するためには、さらなる取り組みが必要であることを明らかにしました。すべてのセクターにおいて速やかに排出量を削減し、何兆ドルもの世界的な投資を低炭素かつ気候変動に対応した開発へとシフトさせるべきだと訴えています。それでもまだコンサベーション・インターナショナルの気候政策専門家であるキリーサ・カスプジーク(Kiryssa Kasprzyk)によれば、それでもまだ前向きに考える余地があるといいます。それは農業セクターの気候スマート技術の導入やグリーンボンドなど民間資金の調達にヒントがあるようです。 

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何が森林減少を引き起こし、どうすれば食い止めることができるのか

2023年、各国が危険な暑さへの対応に追われる中、コンサベーション・インターナショナルが中心となって行った研究では、化石燃料の排出に次ぐ温室効果ガスの大きな要因とされる森林減少の原因について、先例のない包括的な検証が行われました。

 「この新たな研究は、政策や投資を気候変動対策における目標へ向けて後押しするものであり、それ以外のものを回避する上で重要です」と主著者であり気候経済学の専門家ジョナ・ブッシュ(Jonah Busch)は話しています。森林減少を防ぐ確実な方法として証明されているものとは、いったいどのようなことでしょう? 

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カーボンクレジットを活用する企業が気候変動対策を主導する

環境金融の非営利団体であるエコシステム・マーケットプレイス(Ecosystem Marketplace)の報告によると、カーボンクレジットを活用している企業は、そうでない企業と比べて自社のカーボンフットプリントに対してより積極的に取り組んでいることがわかりました。この報告書は、資産総額が110兆米ドルに上る7,400社以上の企業のボランタリーカーボン市場における取引と気候変動に関する情報開示を分析したものです。カーボン市場に投資している企業は、炭素排出量を前年比で2倍近く削減する可能性が高いだけでなく、サプライチェーンにおける気候変動への対応についても競合他社を上回っているといいます。 

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小さな国家から、気候正義を実現する「記念すべき瞬間」が生まれる

太平洋に浮かぶ小さな島国が、気候正義のための大きな一歩を踏み出しました。

人口32万人の島国バヌアツは、海面上昇や破壊的な暴風雨など、気候変動の脅威にさらされています。国連の重要な決議案が採択された背景には、気候変動対策を怠った責任を排出国に問うという狙いがあります。バヌアツが裕福な国々へ送ったメッセージ、気候変動の影響を最も受けやすい国々の窮状を無視できないこと、そして自国だけでなく国際社会の一員として気候変動に対処する責任があること等、その内容とは?

コンサベーション・インラーナショナルの気候担当エミリー・ナイロップ(Emily Nyrop)が、この決議の意味と、気候正義をいかに発展させるかについて説明します。 

投稿 :Vanessa Bauza  ※原文はこちら
翻訳編集: CIジャパン

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