アマゾンの未来のために戦う3人の先住民の女性たち
アマゾン流域の4分の1以上のエリアには、先住民が暮らしており、その流域を管理しています。これらのコミュニティでは、女性は世話役や、母親、教師、ヒーラーなど、さまざまな役割を担っています。
また、彼女たちは、自分たちのコミュニティが依存している自然を保護する最前線にいることも少なくありません。2021年には、アマゾン全域のコミュニティから24人の先住民女性がコンサベーション・インターナショナルの「アマゾン先住民女性フェローシップ・プログラム」の第1期生として参加しました。
このアマゾン全域にまたがるプログラムは、女性たちを資金調達やトレーニング、メンターシップ、ネットワーキングの機会とつなぎ、それぞれの国で保全活動を開始または拡大させるものです。
フランス政府およびアマゾン流域の先住民組織の集合体であるCOICA(Confederation of Indigenous Organisations of the Amazon Basin )の支援を受け、フェローたちは、コロンビアでの薬用ハーブの収穫やエクアドルで廃棄物を価値あるものへ変える活動など、自然を保護し彼らの文化を守る伝統的な知識に根ざしたプロジェクトを主導しました。その中の3人のリーダーをご紹介します。
1. 先祖代々の慣習を取り戻し、コミュニティを再生させる
ボリビア東部のチキタニア地方で育ったエベリン・ガルシアさんは、その地方に固有の樹木や野菜、ベリー類にあふれた緑豊かな森に囲まれて暮らしてきました。ボリビアでパンデミックが発生したとき、ガルシアさんは、自分のルーツと祖先の伝統的な知識を活用すれば、これらの植物を病気の治療やコミュニティの食糧確保に役立てることができると気づきました。
「私のプロジェクトは、コミュニティの女性や少女たちとともに、クツキという薬用植物の再評価です。」と、モンコック族のメンバーであるガルシアさんは話します。「パンデミックが起こり、私たちは祖父母や両親の経験的知識を活かす必要がありました。」
クツキは、風邪や発熱、呼吸器系の問題など、さまざまな病気の治療に使われる小さなハーブで、COVID-19の症状を緩和するための重要な資源となるものでした。「アマゾン先住民女性フェローシップ・プログラム」を通じて、ガルシアさんと他の女性たちは、地元の学校やコミュニティセンターで、地域に自生するこの薬用植物に関する祖先からの知識を生徒たちに教えるカリキュラムを作成しました。
「"能力がない""差別されている "と感じている女性たちに言いたい。今こそ立ち上がり、私たちの持つすべての夢を現実にするときなのです。今はもう、自分の意見を表明する権利のない時代ではないのです。」
未来の女性自然保護活動家に向けて、ガルシア氏のアドバイスはこうです。「すべての夢を実行に移し、今いる場所から立ち上がり、地域社会や家族の中でリーダーシップを発揮してください。」
2. ファッションで汚染に立ち向かう
エクアドル中央部のアマゾンの森の奥深くで、先住民族のキチュワ族の女性たちがゴミを宝へ変える取り組みが進んでいます。
カティ・グアタトカさんは、「アマゾン先住民女性フェローシップ・プログラム」の支援を受けて、種子や木材などの有機素材やプラスチックなどの無機廃棄物を、手作りのジュエリーや布地、キッチン用品などへ変える先住民女性グループ「アワナ・コレクティブ」を立ち上げました。グアタトカさんによると、このグループは、キチュワ族の女性が経済的に自立するのを助けると同時に、彼女たちが暮らしを頼る自然を守ることにつながるのだそうです。
「このプロジェクトは、私が所属するアワナの女性たち、そして地域の女性たちの知識と技術を強化するものです。」と、グアタトカさんは言います。
グループの女性たちは、キチュワ族の伝統的な技術や素材を用いてデザインを制作しています。例えば、商品のひとつに「シグラ」というものがありますが、これはキチュワ族の言葉で、カブヤサボテンで作られたバッグのことを指します。
また、グアタトカさんはキチュワ族の女性たちとともに、持続可能な環境管理を推進し、荒廃した森林を修復して、将来の世代が土地から生計を立てられるようにするための活動も行っています。
「ここは私の家、ここは私のジャングル、ここは私の場所、ここは私の母なる地球です。」と彼女は語りました。「それを大切にし、後世に残していきましょう。」
3. コロンビアでの針を持たないミツバチの保護活動
コロンビア南部のミリティ・パラナに住む先住民族ユクナ(族)の女性、カルメンサ・ユクナさんは、蜂を怖いと思ったことがありません。
アマゾンの彼女が暮らす地域では、ミツバチには針がないからです。そして、彼らは秘密の超能力を持っています。蜂蜜にさまざまな薬効があるのです。微生物や真菌の繁殖を防ぐことができるため、先住民族ユクナ(族)は何世紀にもわたって蜂蜜を傷や感染症の治療に使ってきました。さらに、このハリナシバチは植物の受粉や地域の森林の再生に欠かせない存在でもあります。
現在、ユクナさんは、先祖代々受け継がれてきたこのミツバチの知識とそのハチそのものを存続させるために活動しています。アマゾン先住民女性フェローシップ・プログラムを通じて、ユクナさんはハチの研究を行い、現在、彼女の地域におけるこの種の世話と管理に貢献しています。また、このミツバチの保護に必要な資金を得るため、彼女は地域の年配の女性たちと協力して、収穫した蜂蜜の余剰分を売る手伝いをしています。
「ミツバチが森林の中で果たす役割はとても大きく、人間は彼らの働きにはまだ及びません。自分たちの住んでいる土地を、そして地球を大切にしましょう。」とユクナさんは語ります。
※本ブログ記事は2022年8月9日に投稿されたCI本部のブログ記事を和訳したものです。
投稿 : CIエディトリアル・ディレクター、カイリー・プライス
翻訳協力: 西川聖哲
編集: CIジャパン
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